2009年 5月 2日
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メディアファクトリー MF文庫J
◆ 剣の女王と烙印の仔I /杉井光 -
いつも通りの杉井光節で、おもしろいことはおもしろいんだけど、う~ん、全体にバランスが悪くて、どうにも未整理のまま、書きながらストーリーを考えてるような、ちぐはぐな印象なのが、ちょっと……。
周りを不幸に巻き込むという烙印を背負った少年が、女王気質な少女と出会うボーイ・ミーツ・ガール。杉井光には珍しいファンタジー世界を舞台に、いつも通りの杉井光らしいキャラがアレコレする話なのだけど、ストーリーを描きたいのか、キャラを描きたいのか、軸足が定まってないようにしか思えない程度にちぐはぐで、わりと重めの設定や背景の描き方も、どうにも中途半端。コミカルにするにしろ、重くシリアスにするにしろ、もっと徹底的にやって欲しいなぁ。や、好み的には、もっと重くシリアスにして欲しいところだ。
[ 剣の女王と烙印の仔 ]
▽ 雷句誠:「金色のガッシュ!!」作者、9月からマガジン増刊の新雑誌で連載(まんたんウェブ) - 毎日jp(毎日新聞)
2009年 5月 3日
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エンターブレイン ファミ通文庫
◆ “文学少女”見習いの、初戀。 /野村美月 -
ななせぇーーーーーーーっっっ!! ……や、新キャラの新入部員が主人公ということで、多少、不安に思っていた外伝だったのだけど、いやぁ、本編同様、面白い面白い。ていうか、ななせが、ああうう、最高傑作級ぅ~~っっっ!!
遠子先輩が卒業し、心葉一人が残された文芸部に、心葉に一目惚れした少女・菜乃が入部する……。という感じで、恋する少女・菜乃を中心として、遠子先輩なき文芸部を描いた外伝。うひゃぁ、少女小説少女小説した導入も素晴らしいのだけど、菜乃とななせの絡みがさいこーーーっっっ!! そして、『曽根崎心中』を題材としたメインストーリーが、これまた感動的。貝殻の件が思い出しただけでも号泣、めちゃくちゃ泣ける、ううぅ(T-T)。いやもう、ほんとに素晴らしいとしか言えない作品でしたっっっ!! ていうか、この外伝もまだしばらく続くのか、うひぃ。
[ “文学少女”シリーズ ]
2009年 5月 4日
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角川書店 ビーンズ文庫
◆ 彩雲国物語 黄梁の夢 /雪乃紗衣 -
過去の清苑(静蘭)や邵可に纏わるイベントを描いた短編集。静蘭の流罪の経緯など、今までも陰に陽に語られてきた話ではあるのだけど、うわぁ、重くてキツい内容だ。……どの短編も、過去の番外編を書くのであれば欠かせない内容だし、決して悪くはないのだけど、陰鬱な雰囲気で、読後感としては、どよんと、いまひとつだったり。
[ 彩雲国物語 ]
▽ いち早くGW終了のお知らせ(T-T)。
▽ 昨日の LNF は、おっぱい、おっぱい、おっぱいと、おっぱいの話ばかりで、特に、MF文庫Jの作家の先生方は、自重しなさすぎです。……もっとやれっ!!<をい
▽ きりかえてハイスクール・オーラバスターの話とか|MEGALO VISION 若木未生公式blog。[文庫]『オーラバ』(→感想) は、徳間デュアル文庫に移籍して夏頃に新作刊行&イラストも変更かー。
2009年 5月 6日
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角川書店 角川文庫
◆ 海の底 /有川浩 -
怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! なんというスプラッター。いや、「海から突如現れた巨大エビの大群に人々が食われていく」という内容が、リアル指向で生々しく描写されていて、とにかくすげぇーーーーっっっ!!
桜祭りで一般開放されていた米軍横須賀基地が、海から突如襲来した巨大エビの大群に蹂躙される。突然の阿鼻叫喚の中、優柔不断な政府により動けない自衛隊と、貧弱な装備で壮絶な戦いを強いられる警察機動隊。そして、巨大エビに制圧された横須賀基地では、若い自衛官と少年少女が取り残され、潜水艦「きりしお」に逃げ込んでいた……。
という感じで、警察機動隊vs巨大エビの戦いと、「きりしお」に逃げ込んだ少年少女の、巻末の解説を引用すれば“『中学生日記』的”な密室ドラマの、大きく二つのストーリーを組み込んだ内容なのだけど、とにかく、序盤の巨大エビに襲われる生々しい展開が、インパクトありすぎて、怖ぇーっ!! そして、その中、限られた戦力と情報で、着実に手を打っていく、警察組織ではアウトローな存在として描かれる赤石警部が、めちゃカッケェーーーっっっ!! 一方の中学生日記も、正直、好みではなかったのだけど、少年少女の人間ドラマとしては良く出来ていて、いやぁ、面白かった面白かった。
まあ、二つのストーリーはぜんぜんリンクしてないため、相乗的に盛り上げるどこをか、むしろ、双方の面白さを微妙にスポイルしてる部分が多くて、なんでわざわざストーリーを二つ組み込んで中途半端にしちゃってるの?という部分は残念だけど、それを差し引いても、人が食われるインパクトと機動隊の奮闘が、非常に素晴らしい作品でした。めちゃ面白かったっ!!
[ 海の底 ]
2009年 5月 7日
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朝日新聞出版 朝日ノベルズ
◆ たたかう! 図書委員 /水月郁見 -
ゴミ。主人公が図書委員の眼鏡っ娘ということで買ってみたのだけど、ストーリー構成も演出も、ひたすら出来が悪くて酷すぎ。当然のごとく、キャラも魅力がないどころか描写自体がちぐはぐで、えっと、ここまで酷くて、なんで本になってるの?
眼鏡っ娘が猫耳宇宙人と融合して正義のヒロインになるという内容紹介だったので、萌え系ストーリーかと思ったら、序盤では、無駄に長いくせに中身の薄い社会派的な設定ばかりを語り、中盤になってやっとストーリーが動き出したと思ったら、シリアスで重い雰囲気のまま、突如、荒唐無稽でアホらしい展開になるという……。ええっと、ギャグ? もしかしてギャグ路線のストーリー展開のつもりだったの? 笑えねぇ~~。いや、ギャグがやりたかったんなら、出来の悪い前半ばっさり削って、10ページぐらいの短編に纏めちゃえば良かったんじゃね? ただ、10ページに纏めたにしても、荒唐無稽なわりに、ストーリーラインは常識的で起伏に欠けるので、正直、笑えないと思うけど。
[ たたかう! 図書委員 ]
2009年 5月 10日
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一迅社 一迅社文庫
◆ 星図詠のリーナ /川口士 -
主人公の目的が地図作りということで、「物語として地味すぎるだろ~」と思ったのだけど、どうしてどうして、非常に面白かったです。ベースは手堅いファンタジーとして作られていて、その上で、キャラが生き生きしているのがいいねぇ。
地図が好きな王女リーナが、ガチ百合な侍女サラと一緒に地図作りの旅に出かける……。という感じで、リーナとサラの仲睦まじい二人に、老騎士タルヴと粗野な傭兵ダールを加えたやりとりが、ほんと面白い面白い。ていうか、リーナとサラのうれしはずかし湯浴みシーンだけで、もうもう、ばんざーい、ばんざーいっ!! <をい
ストーリー的には、特に後半は、あまり地図作りなどの設定を生かしきれてない上に、展開にムリがあったりするのは残念だったけれど、まあ、手堅く正統的なファンタジーとしては、ぜんぜん出来は悪くない。や、やっぱり地図作りは地味目なので、今後どう続けるかは不安ではあるけど、続く続刊に期待です。
[ 星図詠のリーナ ]
2009年 5月 11日
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アスキー・メディアワークス 電撃文庫
◆ スイート☆ライン /有沢まみず -
“お兄ちゃん”って(爆笑)。や、お兄ちゃんネタは大笑いだったけれど、いまさらアイドル声優モノっ!! しかも、後発としては、かなり地味目な上に設定の出来も悪くて、こんな酷い企画を、編集の人は、よく通したなぁ(^^;。
非オタの高校生・正午は、アニメ業界で働く姉の策略で、声優・永遠の男性恐怖症の克服を手伝うことに……。という感じの話なのだけど、ええっと、声優設定と男性恐怖症を克服しなければいけない理由付けに無理がありすぎ。や、正直、声優である必要はないんじゃね? そもそも、声優ネタにしたのは、オタク受けを狙ったものなんだろうけど、その方向に関しては、安易な上に作りこみも甘くて、ダメダメ。「読者をバカにしすぎてる」と言っていいと思う。
男性恐怖症の女の子をメインにしたどたばたラブコメとして見れば、ふつーに面白いんだけど、それを、設定の酷さで足を引っ張ってるのがなぁ。もったいない。
[ スイート☆ライン ]
2009年 5月 12日
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講談社 アフタヌーン新書
◆ オタク成金 /あかほりさとる・天野由貴 -
かつて一時代を築いた あかほりさとる の栄光と転落の軌跡と、作家論やオタク業界への想いを綴った新書。栄光と転落の軌跡を纏めてみると、以下の通り。
- 『タイムボカン』等の脚本をやっていた小山高生に弟子入り(1986年)
- もともとアニメの脚本家志望だったが、企画&営業職として業界入り
- 『アイドル伝説えり子』の企画がはじめてのアニメ関連の仕事(1987年)
- たくさんの企画書を書いていたが、企画書では金にならないので、小説を書くことを思いつく
- エニックスへ一般応募。ゲームブックの『ジーザス』が作家としてのデビュー作(1989年)
- 『ガルフォース』のノベライズが成功してるのをみて、『シュラト』のノベライズを提案し成功(1989年)。
- 『シュラト』後、積極的にノベライズ中心に活躍。特に、『ラムネ』(1990-1991年放送)で、小説、漫画、ラジオドラマと幅広く手がける
- “三爆シリーズ”で、今までの経験を生かして、初のオリジナル&メディアミックス展開(1993年)
- しかし、“三爆シリーズ”に続く『セイバー~』(1995-1996年放送) 後は、全て失敗し没落
- 一応、あかほりは、長いスランプの末、『かしまし』(2006年放送)で復活したとの認識している
- 今までの累計の売上は、150冊、2,200万部
やはり、作家としてよりも、メディアミックスの売り方を確立した手腕と、その企画力がずば抜けて凄いよなぁ。……それにしても、『かしまし』は蛇足なんだけど、“三爆シリーズ”&『セイバー』で天下を取ったあと、ぱったり人気がなくなった悩みについても、多少なりと本人から語られているのが、非常に興味深かったです。
そして、本書の後半はラノベ&オタク業界へに対して危惧を語る流れへ。あかほりの主張を、私的に纏めてみると、以下の通り。
- ラノベは本を読まない人にも読みやすいのが特徴だったのに、今は普通の小説になってしまった。本なんて40人中5人しか読まないようなものなので、普通の小説になったら売れるわけがない
- それでも以前は、アニメ化すればそれが宣伝になってまだ売れたが、深夜アニメ中心になってからは宣伝効果も薄くなり売れなくなってしまった
- そもそも深夜アニメ自体が不振。漫画雑誌も売れず、ネットもオタクの中で閉じているので、新しくオタクコンテンツへ入る人が少なくなっている
- 最近のラノベは、アイデア重視な作品が多い。アイデア重視だとエンタメ的に肝心なキャラが弱くなってしまい、また、作家生命も短くなり、先行きがない
- 今は、人気作家でも年収600万程度。この年収だと、オタク以外の作家志望者が現れず、業界は縮小する一方
つまりは、「オタク向けだとジリ貧なので、これからは一般人にも訴求するような努力をしなければいけない」という話になっていくんだけど、そもそも、あかほりの「売れている」とみなす基準がやたら高くて、90年代と比べれば、そりゃ、衰退してるようにも見えるだけだよなぁ。
[ オタク成金 ]
2009年 5月 14日
あかほり が作家デビューした1989年は、オタク向けのアニメの放映本数が激減していた「アニメ冬の時代」。ライトノベルも 80年代中頃までは、アニメの影響を受け、ノベライズも盛んに行なわれてましたが、80年代後半になると、アニメに代わって TRPG や RPG の影響を強く受けるようになります。1988年に創刊された 角川スニーカー文庫や富士見ファンタジア文庫も、TRPG や RPG の台頭を受けたものです。あかほり がデビューした エニックス文庫にしても、代表作は『ドラゴンクエスト』のノベライズだったわけだし。
ここで、あかほり の素晴らしいところは、当時は、ほとんど見向きもされていなかったものの潜在的にはパイの大きいアニメに着目して、少女小説で開発された斬新な文体を取り入れて商品化したところにあると思っています。つまり、『オタク成金』でまさに主張してるみたいに、もともとのライトノベルよりも大きなファン層向けに、ライトノベルの旧来の方法よりも間口の広い手段を使って、きちんと計算の上で狙ってたように見えるのです。ただそれは、ライトノベルの“普通”ではありません。
少女小説は、少年向けのライトノベルに先んじて、1989年には、すでに空前の大ブームを迎えてました。あかほり は、150冊2,200万部を売り上げたとのことですが、ティーンズハートの花井愛子も負けてません。80年代後半のごく短期間で、200冊2,000万部を売り上げてます。少女小説の作家は、こぞって花井愛子の、会話中心で改行バリバリ、擬音擬態語を多用した文体を模倣し、それが女子中高生に大きく受けて、次々と新しいレーベルが刊行されて少女小説のバブル期に突入していったのが、ちょうど、あかほり がデビューする直前になります。
花井愛子がこの特徴的な文体を開発したのは、「10代の女の子が普段使っている共感しやすい言葉で、漫画のようにすらすら読めるように」ということ狙ったということみたいですが、あかほり は、まさに、この「漫画のようにすらすら読める」部分を狙って、花井愛子の文体を模倣し、狙い通りに大ヒットにいたることになります。
しかし、大ヒットを飛ばした あかほり も、『セイバー~』が終わると、ぱったり人気がなくなります。あかほり本人は、人気がなくなった理由を、“飽きられた”と分析してますが、特に、三年で読者が入れ替わるといわれてるライトノベルでは、“飽きられた”というのは、通常ありえません。一般的には、1995年の『エヴァンゲリオン』、1997年の『To Heart』で変化したオタク業界の流れについていけなかったという認識ではないでしょうか。当時、「あかほり はいなくなったのに、同系統の黒田洋介が未だ活躍してるのは何故だ?」という議論がよく行なわれてたことが思い出されます。また、人気のなくなった理由の一つの示唆として、少女小説のブームの終焉の状況が参考になるように思えたりします。
少女小説は、もともと、中高生をターゲットとして書かれてましたが、誰にでも読みやすい文体を生かす方向に進化しつづけ、やがて、小学生でもすらすら読めるような内容にシフトしていきます。しかし、小学生でも読める内容が、そのまま中高生が読みたい内容でありません。誰もが読みやすいことは、みんなが読みたいものとはイコールではないわけです。やがて、少女小説は、メインの読者が小学生ばかりになった頃、一気に売上が萎んで瓦解していきました。当時の少女小説で生き残っているのは、安易に読みやすい方向にシフトせずに、中高生向けを固持し続けたコバルト文庫とホワイトハートのみです。
2009年 5月 16日
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東京創元社 創元推理文庫
◆ スペース /加納朋子 -
おおおおぅ、読了後、思わず前作の『ななつのこ』『魔法飛行』を読み直してしまいましたよっ!! 読んでいる間は、いきなり駒子には関係なさそうな長文の手紙が続いたりして、むしろ違和感を覚えながら読み進めていたのだけど、読み終えてみると、既刊を踏まえた、綺麗にストンと落ち着くところに落ち着くような内容。いやぁ、素晴らしい素晴らしい。
年末のデパートで神出鬼没のアルバイト青年の瀬尾と再会した駒子は、ある謎と想いを秘めた十数通の手紙を託す……。という感じで、『ななつのこ』『魔法飛行』に続く「駒子シリーズ」の第三弾。今回のメインは、短大に進学し一人暮らしはじめた姉から、実家の妹への手紙。読んでる最中は、「いきなりはじまった、駒子とも瀬尾とも関係なさそうなこの手紙はなんなんだ?」と思わずにいられない構成に、ひっかかりを感じながら読み進めたわけだけど、手紙後の駒子と瀬尾の会話と、さらに続く「バック・スペース」が、うわーうわー。なんという迂遠な、遠回りすぎるにもほどがある~~。いやぁ、第三者視点からの駒子周辺の描写も興味深く、非常に暖かい想いになる恋愛ストーリーでした。
[ 駒子シリーズ ]
2009年 5月 17日
▽ LD で持ってはいるけど、ふと [OVA]『DETONATORオーガン』の DVD-BOX(→Amazon) を購入。って、新品はすでに見つからず、中古だとプレミアがついててビックリ。Amazonなんて定価12,600\ が7万近くになってたりして、酷いことになってるよ。<Amazonのマーケットプレイスは当てにならないという話もあるけど(^^;。……でも、そのうちBD版が出て、値崩れしそうな予感。
▽ 「ライトノベルのSF化」の話が、10年以上前のラノベに載ってた。 : 今日もだらだら、読書日記。あかほりさとるが、10年前の『セイバーマリオネットJ』のあとがきで、『オタク成金』(→感想) と同じ危惧を語っていたという話。「まるで成長していない……」。
2009年 5月 19日
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徳間書店 トクマ・ノベルズEdge
◆ クロノレイヤーに僕らはいた /木本雅彦 -
だはははははははっ、その妙に古い小ネタの数々は、いったい、どういう世代を狙ってるんだっ!!(爆笑)。いや、古いだけじゃなくて、ほんと細かいネタや会話のセンスがすごく変で、笑える笑える、おもしろいっ!!
他人と会話をするのが苦手な少年・良人は、たまたま体験版でもらったネットゲーム「クロノレイヤー・オンライン」にはまり込んで行く。人付き合いが苦手ななりに、だんだん知り合いも増えていくが、知り合った人たちは、イタい人間ばかりだった……。と、ネットゲームは詳しくないのだけど、モデルは『Second Life』? ていうか、いろいろとセンスが変すぎるだろっ!! いやぁ、ネットの関係が少しずつリアルに影響を与えていくという感じのストーリー展開なのだけど、知り合っていく人間が、みんな電波なので、これは怖い(^^;。まあ、展開はムリ筋なので、正直、いまひとつなのだけど、やっぱり、ひとつひとつの小ネタや会話が妙にズレてておかしくておかしくて、おもしろすぎですっ!!
[ クロノレイヤーに僕らはいた ]
2009年 5月 21日
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小学館 ガガガ文庫
◆ にこは神様に○○される?2 /荒川工 -
うわぁ、ハートフルで暖かくて綺麗に纏まってやがる。や、1巻では、もうちょっとセクハラな神様のコミカルな方向性が強かったと思ったのだけど(^^;。
まあ、1巻同様、ストーリー性は弱く、にこと神様あいんの会話を中心としたコミカルなノリを楽しむというベースはそのまま。起伏の弱いストーリーなので、物足りない部分もあるのだけど、相変わらず、荒川工のふざけた筆致を元に、ツンデレな にこ と、セクハラな あいん の二人のノリは楽しくて、おもしろいおもしろい。それにしても、いつまでもだらだらと続けられそうなノリだったのに、ひさしぶりの2巻かと思ったら、ほんと綺麗に纏めて終わってしまったなぁ……。
[ にこは神様に○○される? ]
▽ 新型インフルエンザがとうとう東京・神奈川へ。って、聞く範囲の症例とかみてると、もう、新型インフルエンザも、普通のインフルエンザ扱いでいいんじゃね?
2009年 5月 24日
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一迅社 一迅社文庫
◆ 女帝・龍凰院麟音の初恋3 /風見周 -
おっぱい! おっぱい! おっぱい! おっぱい!、だははははははっ!! 今、全てのライトノベルの中で、最高であると信じて止まない『女帝・龍凰院麟音の初恋』ですが、相変わらずの、ベタに素直になれないツンデレ全開なラブコメで、いやぁ、素晴らしい素晴らしいっ!!
悠太の恋のライバル登場で、麟音を巡るバトルが発生!? という感じで、まあ、ゲストの翔は所詮、噛ませ犬なのだけど、やはり、麟音と美麗のツンデレぶりが素晴らしい素晴らしい。や、麟音が素晴らしいのは当然なんだけど、美麗もそこそこ美味しいキャラに育ってきていて、Good、Good。キャラがめちゃくちゃ素晴らしいわけだけど、その上で、お約束なストーリー展開と、笑える演出が楽しすぎる。“略”ってなんだよ(爆笑)。
ホント、史上最高の作品といっても過言ではないわけだけど、それにしても、前巻の引きの“月見里さまと麟音さまが、交際してなかったかもしれないなんて”というのは、どこに行ったんだ(^^;。
[ 女帝・龍凰院麟音の初恋 ]
▽ ここ数日、体調不良でキーを打つのもままならない酷い状況でした。……もしや、新(以下略。
2009年 5月 25日
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一迅社 一迅社文庫
◆ 文芸部発マイソロジー /早矢塚かつや -
ゴミ。いや、程度の低い中二病全開なゴミのような内容が、意図的なのはわかるんだけど、それで、読者のメリットになるの? 作者が書いてて楽しいだけの読者不在な内容が、どうして売り物として市場に出ちゃったのか、わけがわかりません。
中二病な作品を非難されたことをきっかけに、文芸部を飛び出して新たに作った第二文芸部で、思いっきり中二病でオナニー全開の合作を作り始める……。という感じで、最初の頃は学園ラブコメかしらんと読み進めていたら、中二病でオナニー全開の神話世界の話がストーリーの中心になっていくという。いや、その神話世界の話が面白いんだったら、それはそれでいいんだけど、設定どおり、中二病でオナニー全開の程度の低いストーリーって、それ、作者は面白いかもしれないけれど、読者にはそれほど面白くないからっ!! ……こういう作品のセオリーで言ったら、作中作は、中二病で酷い作品といいつつ、きちんと読める内容に仕立てた上で、第二文学部の日常パートもしっかり作り込むべきじゃないの? 中二病でオナニーという設定を免罪符に、作者が好き勝手してるだけの作品なんて、ダメだろ~~。
[ 文芸部発マイソロジー ]
2009年 5月 26日
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富士見書房 富士見ファンタジア文庫
◆ BLACK BLOOD BROTHERS 11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― /あざの耕平 -
ただただ、感無量。とにかく感動的で納得できる、非常に綺麗なラストでした。
うわぁぁぁ、目まぐるしく攻守入れ替わる「九龍の血統」との圧巻の最終決戦。そして、涙なしには読めない、もうもう綺麗で感動的なミミコとジロー、コタロウのラストシーン。や、最終的にはジローがコタロウに食われるという設定に、最後はどうなっちゃうんだろうと思っていたのだけど、とにかく綺麗で納得できるラストが、ほんと素晴らしいっ!! たんたんとした静謐ともいえる雰囲気の筆致で描かれていて、もう泣ける泣ける。最後の最後は、ちと遊びすぎという気もするんだけど、ほんと、ひたすら素晴らしいシリーズでしたっ!!
そして、あとがきで語られる登場人物たちのその後が、余韻を感じさせつつリアルに想像できて、またまた泣ける。もう読了後の余韻も含めて、感無量としかいえません。ほんと、クオリティの高いいいシリーズだったなぁ。とにかく最高のシリーズをありがとうございました。……まあ、あとがきのようなその後を続けるのも可能なのかもしれないけれど、多少物足りなさを感じさせつつ、ここで幕を下ろすのが、やっぱり、いちばん綺麗だと思ったり。
2009年 5月 27日
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集英社 スーパーダッシュ文庫
◆ 鉄球王エミリー 鉄球姫エミリー第五幕 /八薙玉造 -
疾風怒濤に駆け抜けた最終巻。いやぁ、無駄も遊びも少なく一気に終わってしまったのは残念だったけれど、その代わりに密度の濃い展開が、凄い凄い。綺麗に纏められたラストも素晴らしかったですっ!!
内乱に続くヴィルヘルミーネの侵攻によって存亡の危機にあるラゲーネン王国とエミリーの行く末は……。というわけで、最終巻。うわぁ、グレンの成長がすさまじいなぁ。開眼するグレンと、そして、最終バトルのエミリーとグレンの連携プレイが、もう、圧巻で素晴らしいっ!! とにかく手に汗握る熱いバトルの連続が素晴らしい最終巻でした。……まあ、あまりに凝縮された怒涛の展開だったので、シリーズ当初の魅力だった、容赦のない展開を下品で個性的なキャラで彩る内容は、ちょっと弱まってしまった印象でそこは残念。や、もう一人二人は死ぬと思ったんだけどなぁ。<をい
[ 鉄球姫エミリー ]
▽ なぜかバカ売れライトノベル・IS〈インフィニット・ストラトス〉が品薄に 作者は元アリスソフトのシナリオライター: せなか:オタロードBlog。うちのラノベリンク や リクリップス を見ると、まだ感想も少なく、ラノベ界隈ではそんなに話題になってるわけではなさそうだけど、そうか、元アリスソフトのシナリオライターなのかー。……でも、アリスソフトって、あまりシナリオが強い印象はなかったりするんだけど(^^;。
▽ 編集者は十枚舌を使う - ジュブナイルポルノ作家わかつきひかるのホームページ - 楽天ブログ(Blog)。ミクシィの交流によって、同じ編集者でも作家によって態度や扱いを変えてるのが丸見えになってるという話。直しの多い少ないやプロットのOK/NGなんかは、作家によって違うのは至極当然だと思うのだけど、それにしても、作家の情報交換が盛んになると、編集さんも大変だ……。
2009年 5月 28日
- 06/10 [文庫] ウィザーズ・ブレインVII 天の回廊<下> /三枝零一
- 06/10 [文庫] ロウきゅーぶ!(2) /蒼山サグ
- 06/17 [漫画] 海皇紀(40) /川原正敏
- 06/18 [新書] 帝都たこ焼き娘。 大正野球娘。3 /神楽坂淳
- 06/20 [文庫] SH@PPLE―しゃっぷる―(6) /竹岡葉月
- 06/20 [文庫] 白夢 放課後の霧使い /瀬尾つかさ
- 06/23 [漫画] おおきく振りかぶって(12) /ひぐちアサ
- 06/25 [文庫] ぱんどら(仮) /西野かつみ
- 06/25 [文庫] ゼロの使い魔17 /ヤマグチノボル
06/25 [文庫] ラノベ部3 /平坂読→ 延期- 06/25 [漫画] よみきりものの…(6)(仮) /竹本泉
▽ キルタイムコミュニケーションから「あとみっく文庫」が7月に創刊 - 平和の温故知新@はてな。今更、ラノベの新しいレーベルかっ!! 非18禁な二次元ドリーム文庫とか、そゆことなのかしらん?
2009年 5月 29日
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小学館 ガガガ文庫
◆ 神のみぞ知るセカイ 神と悪魔と天使 /有沢まみず -
おもしろいし、ノベライズとしての出来も悪くないのだけど、う~ん、ページ数が足りないのか、どうにも構成が酷いんだよなぁ。せっかくの同時攻略ネタなのに、肝心の攻略の過程が駆け足な上に、ぜんぜん同時攻略になってないのが残念。
若木民喜の漫画『神のみぞ知るセカイ』(→感想) のノベライズ。まあ、ちょっとゲームネタのコダワリは弱くなって、桂馬がカッコよくなりすぎてる感はあるので、違和感はなくはないけれど、全体的には原作に忠実な手堅い内容なので、原作好きなら、そう不満もないノベライズとして仕上がってるのが好印象。……ただ、同時攻略を狙ったせいか、ストーリー構成の出来が悪いのが、とにかく残念。あと、ノベライズとしての不満は少ないのだけど、+αの魅力もないというか、どうしても漫画版には一歩劣る感はあるので、ぶっちゃけ、ノベライズで読む意味ってほとんどないんじゃね?と思ったりも(^^;。
[ 神のみぞ知るセカイ ]
2009年 5月 31日
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集英社 スーパーダッシュ文庫
◆ 小学星のプリンセス☆3 わたしたち、けっこんします!! /餅月望 -
大団円。というか、大団円に纏めるためのオーソドックスすぎる最終巻で、可もなく不可もなく特筆すべき要素もなし。もうちょっとシリーズが長くて思い入れも深いと、同じ内容でも印象も違うんだろうけど、う~ん、終わるのが早すぎたよなぁ。
[ 小学星のプリンセス☆ ]