螺旋階段のアリス/虹の家のアリス


文藝春秋 文春文庫
螺旋階段のアリス /加納朋子

相変わらず、綺麗で暖かい連作短編。やっぱ、加納朋子さんの作品は、良いわぁ~~。

ミステリ小説に憧れ、脱サラして探偵事務所を開業してしまった仁木と、なし崩し的に、探偵助手に納まった美少女・安梨沙が、ちょっとした依頼を解決していく物語。うーむ、どことなく、昔のゲームを思い出させるような設定(^^;。で、加納朋子さんらしく、どれも日常的な匂いのする事件なのだけど、やはり、探偵が主役なので、いつもより、ミステリ色が強いのかしらん。私的には、ミステリっぽくない方が好きなんだけどなー。あと、恋愛要素が弱いのも、ちょっと。……まあ、総じて、加納朋子さんらしくて良い作品なのだけど、そんなわけで私的には、めちゃくちゃ面白い~、という風ではなかったりして。

しかし、タイトルからわかるように、『不思議の国のアリス』をモチーフにした作品なのだけど、『不思議の国のアリス』というと、國府田マリ子の叫び声ばかり連想してしまい、にんとも。<って、それは、『美幸ちゃん』だって(汗; ……あと、表紙のイラストは、それで、美少女はないだろ(^^;。

[ 2003.11.20 ]


文藝春秋 文春文庫
虹の家のアリス /加納朋子

この表紙のイラストはあまりに酷いと思う。どこをどう見ても美少女探偵助手が大活躍する話には見えない。……同じ加納朋子さんの作品でも、創元や幻冬舎の装丁はかなりセンスがいいのになぁ。

まあ、ハードカバー版だとかなりマシなので、ハードカバーを買えという策略な予感もするけれど、ハードカバーなんてあんなに読みにくいものを、私は、買いたくないのよなー。

で、肝心の内容の方は、子どもも成人するほどの年齢なのに脱サラして憧れの私立探偵になった仁木順平と、好奇心旺盛で頭脳明晰な押しかけ美少女探偵助手の安梨沙が一風変わった事件に立ち向かう、というシリーズ2冊目の連作短編。相変わらず、加納朋子の作品は非常に冴えた内容なのだけど、う~ん、他の加納朋子作品と比べると、かなり刑事事件に近づいてしまってるのが残念無念。いや、好み的には、日常のちょっとした謎の方、さらに言えば、ミステリというより人間ドラマの方がいいのよ。あと、今回は、安梨沙の活躍もちょっと弱いのがなぁ。……出来はいいし、十分面白かったのだけど、そういう部分でちと残念でした。

[ 2006.06.06 ]