妙なる技の乙女たち


ポプラ社
妙なる技の乙女たち /小川一水

SFというより、働く女性たちを描いた連作短編。いやぁ、働くのって大変だなぁ。

一応、軌道エレベータの城下町というSF風な近未来が舞台になってはいるけど、別段、現代日本にしても、いいよんね。あくまで、不満や悩みを抱えつつ日々を生きる職業女性たちの物語。駆け出しのデザイナー、水上タクシーのドライバー、中小企業の経営者、保母さん、派遣の客室乗務員、彫刻家、OL……。各話ごとに出来不出来はあるけれど、総じて、リアルな悩みと仕事のやりがい&大変さを感じることが出来る内容で、なかなか面白かったです。中でも良かったのは、「天上のデザイナー」と「セハット・デイケア保育日誌」かしらん。「天上のデザイナー」は、「あなたに捧げる、この腕で」のせいで、ちと台無しな感じがするんだけど。いや、アレは書いちゃいかんだろ。まあ、それはともかく、きちんと仕事を描いている内容が、ほんとに良かったです。ホントに、SF的なエッセンスや恋愛要素は要らなかったんじゃないかな。

[ 2008.02.19 ]