東京スピリット・イエーガー
-
宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
東京スピリット・イエーガー 異世界の幻獣、覚醒の狩人 /大泉貴 -
ストレートに熱い展開が素晴らしいなっ!! 大泉貴の作品は照れも衒いもなく、新人のように真っ直ぐに書けるところが魅力だと思うのだけど、この作品もまさにそんな良さのある作品ですね。あとがきに『パシフィック・リム』を見て勢いで書いたみたいなことが書いてあるけど、まさに、良くも悪くも、勢いだけで書いたような荒削りな作品だなー。
そゆわけで、人気スマホゲーム『ソーシャル・スピリット・イエーガー』は、実は、モンスターの侵略から現実世界を守れる人を探すのが真の目的だった。『ソーシャル・スピリット・イエーガー』にはまっている主人公・久住大吾は、現実世界で、いきなりモンスターとの戦闘に巻き込まれる……、という感じの内容。勢いだけで書かれたような話なので、設定やストーリー構成などは、一言、雑。大泉貴は、もともと技量があるタイプの作家ではないので、時間をかければ完成度が高くなるかというと疑問なのだけど、でも、ちょっと雑すぎるのは気になるよね。まあその分、荒削りな勢い重視のストーリー進行が魅力的で、能力の覚醒から巨大怪獣との戦闘まで一気に描かれるのは、手に汗握っておもしろい。ヒロイン瑠奈とのラブコメも、いや、瑠奈もいいキャラなんだけど、いまいち設定が生かせてないというか、設定と描写がちぐはぐで、いろいろともったいないか。あとは妹も、続編次第だったのかもしれないけれど、この一冊だけだと、無駄で意味不明だ(^^;。大泉貴らしくて良い作品だけど、完成度の低いところが、ちょっと残念だよねー。
[ 2015.06.09 ]