追放幼女の領地開拓記


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追放幼女の領地開拓記 ~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~ /一色孝太郎

「小説家になろう」ですごく好きな作品の書籍化っ!! 開拓村の領主に任ずるという体裁で魔の森に追放された少女が、チート能力を使って辺境の開拓を進めるという物語。いやー、少女一人称形式って、すげー好きなんですよ。まあ、タイトルでは"追放幼女"とあるけれど、年齢はスタート時8歳、そもそも転生者なので幼女感はぜんぜんなくて、幼女というより少女だよなー。

追放少女が辺境を開拓するという物語は、まあ、よくあるのだけど、本作の主人公は、ゾンビやスケルトンを従えるゲーム世界のラスボスへの転生というのがおもしろい。魔物を倒して骨を手に入れれば入れるだけ、スケルトンを量産できるというのは、アイデアの勝利だよな。テスラ社の人型ロボットとかのイメージだと思うのだけど、中世ヨーロッパ風ファンタジー世界に「電源不要のスマートロボットを大量投入して産業革命を起こす」と言われると妄想が進む。ゴーレム使って自動化みたいな作品もよくあるのだけど、魔物を倒せば倒すほど戦力増強、大量生産による数の暴力を用いた産業化、という着想は、なかなかおもしろいよね。

Webのほうで書籍化の告知があったのは随分前だったと思うのだけど、書籍化まで時間があったためか、ストーリーを変えない範囲でわりと加筆されているのも良い。ただ、書籍化でも地図がないー。いやー、Web版でも、各村の位置関係がわかりづらかったので、地図が欲しかったんだけどなぁ。この手のファンタジーだと地図載せるだろ、地図。あと、乳母のマリーのイラストがやたら若いのだけど、これはいったい……。

一応、ゲーム世界転生で、悪役令嬢転生でもあるのだけど、そちらの要素は書籍化でもあまり深ぼってはないか。ゲームでは、侯爵令嬢の地位を使って悪役を演じていたのに、なぜ、シナリオ開始前に追放されたのか?というのは、物語上の大きな謎の一つになっていると思うのだけど、Web版でも言及は少なく、どう展開させてくんだろうか?

[ 2025.06.23 ]