海の底
-
角川書店 角川文庫
海の底 /有川浩 -
怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!! なんというスプラッター。いや、「海から突如現れた巨大エビの大群に人々が食われていく」という内容が、リアル指向で生々しく描写されていて、とにかくすげぇーーーーっっっ!!
桜祭りで一般開放されていた米軍横須賀基地が、海から突如襲来した巨大エビの大群に蹂躙される。突然の阿鼻叫喚の中、優柔不断な政府により動けない自衛隊と、貧弱な装備で壮絶な戦いを強いられる警察機動隊。そして、巨大エビに制圧された横須賀基地では、若い自衛官と少年少女が取り残され、潜水艦「きりしお」に逃げ込んでいた……。
という感じで、警察機動隊vs巨大エビの戦いと、「きりしお」に逃げ込んだ少年少女の、巻末の解説を引用すれば“『中学生日記』的”な密室ドラマの、大きく二つのストーリーを組み込んだ内容なのだけど、とにかく、序盤の巨大エビに襲われる生々しい展開が、インパクトありすぎて、怖ぇーっ!! そして、その中、限られた戦力と情報で、着実に手を打っていく、警察組織ではアウトローな存在として描かれる赤石警部が、めちゃカッケェーーーっっっ!! 一方の中学生日記も、正直、好みではなかったのだけど、少年少女の人間ドラマとしては良く出来ていて、いやぁ、面白かった面白かった。
まあ、二つのストーリーはぜんぜんリンクしてないため、相乗的に盛り上げるどこをか、むしろ、双方の面白さを微妙にスポイルしてる部分が多くて、なんでわざわざストーリーを二つ組み込んで中途半端にしちゃってるの?という部分は残念だけど、それを差し引いても、人が食われるインパクトと機動隊の奮闘が、非常に素晴らしい作品でした。めちゃ面白かったっ!!
[ 2009.05.06 ]