麗しのシャーロットに捧ぐ


富士見書房 富士見ミステリー文庫
ヴァーテックテイルズ 麗しのシャーロットに捧ぐ /尾関修一

うわ~、きちんと練られた構成で、かなり良い出来だと思いますっ!! ゴシックホラーな内容で、あまりライトノベルらしくない部分もあるのだけど、富士ミスなら、コレもありかなぁ。や、富士ミスのくせに、ラブがないのはどうかとも思うのだけど。

第6回富士見ヤングミステリー大賞<佳作>。陰鬱な雰囲気の洋館。棺を背負い出入りする墓守。人形に偏愛する主人。血染めの日傘を差した女の幽霊の噂。突然止めてしまったメイドたち。一人残ったメイドのシャーロットは、出入りを禁じられていた部屋のドアを、好奇心に負け開けてしまう……。いやぁ、ほんとに構成の出来が良くて素晴らしいです。綺麗に収束するラストはある意味感動っ!! さらに、ホラー特有の怖さもきちんと表現できていて、Good です。好みとはかなり違うけれど、富士ミスにも、たまにはこゆのもいいかしらん。

ただ、同意見多数な予感もするけど、この内容でこのイラストはどうよ。いや、この作品の雰囲気には、少なくともアニメ調の絵は合わないと思うんだけどなぁ。富士ミスなんだから、実写系のイラストにするなり、もっと冒険してもいいと思うんだけど。あと、文体も、もっと重いものにした方が、雰囲気にマッチすると思ったり。ここまで出来が良いなら、イラストにしろ文体にしろ、もっとゴシックホラーな雰囲気に徹した方が良かったんじゃないかしらん。

[ 2007.01.28 ]