タタの魔法使い
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KADOKAWA 電撃文庫
タタの魔法使い /うーぱー -
ラストが素晴らしかったっ!! 突きつけられた選択肢の嫌らしさと、そこから一矢報いる展開っっっ!! いやー、新人らしく稚拙さは目立つものの面白さがなにより優先される電撃文庫らしい作品でしたっっっ!!
そゆわけで、ラノベブロガーのうーぱーさん が作家デビュー。第24回電撃小説大賞<大賞>。ラノベブロガーでライターや編集者になる人はちらちら見かけるのですが、ラノベ作家になる人はわりと珍しく、それこそ『涼宮ハルヒ』の谷川流の再来となることを期待したくなる。……twitter等で流れてくる感想を見る限り、微妙に酷評が目立つような気がしますが(^^;。
で、本作の内容は、高校一つ丸ごと異世界転移するというもの。異世界転移というと「小説家になろう」っぽいものを想像してしまうけれど、むしろ、楳図かずお『漂流教室』的なノリだよね。いや、さすがに違うか(^^;。異世界チートで俺TUEEEEEEするわけではなく、200人近くの死者・行方不明者を出しながらも見知らぬ異世界をサバイブし元の世界への帰還を目指す展開。それを、ドキュメンタリーという体裁にしていたり、卒業文集もそうなんだけど、アイデアが非常にいいのよ。
ただ、そのドキュメンタリーの体裁が少し厄介で、……せっかくのアイデアなのに、作者の圧倒的な力量不足でわりと悲惨なことになってる。いや、このドキュメンタリー、生存者の姉が関係者にインタビューして纏めたという体裁なのだけど、そのンタビューを集める技量などをみると明らかにプロの仕事なハズが、その実際の文章はどう読んでも素人。それどころか、第三者視点のドキュメンタリーなハズなのに、普通の小説になっちゃってる部分も多々散見されて、いやー、特殊なことをやろうとしたせいで、それが作者の力量不足を強調する結果になってるのよね。すごく痛いわ。でも、普通に書いてたら単に下手なだけの小説になるような気もしていて、読んで面白いのは確かなのだけど、なかなかシンドイな。
[ 2018.02.15 ]