おきらく女魔導士とメイド人形の開拓記


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おきらく女魔導士とメイド人形の開拓記 ~私は楽して生きたいの!~ /佐々木さざめき

おもしろいおもしろい、傑作。女の子の一人称形式が特徴的な本作。その軽快な語り口と主人公のいい加減で楽天的な性格、そして軽いノリの物語が非常にあっていて素晴らしい素晴らしい。文章も読みやすく、また、フックを散りばめながら先を気にさせる展開で、いやー、一気に読ませる読ませる。

内容は、時間凍結の魔法で眠りについた主人公が、文明崩壊後の世界で目覚め、文明的な生活を復活させていく話。主人公は天才魔導士のミレーヌ22歳。……おかしい、語り口から感じるイメージはどう考えても10代前半ぐらいで、設定間違ってるんじゃねーか?(笑)。このミレーヌの一人称で物語が綴られているのだけど、いやー、この語り口がいい意味で頭が悪く(←褒めてます)、とにかく楽しい。一人称形式の小説はたくさんあるけど、このミレーヌの語り口は、ほんと、物凄く好きだわ。あー、あと、ラストの外伝が読後感を最高にしてくれる。

平和で文明的な生活を望んでいるだけなのに、天使、女神と祭り上げられ、大きな騒動に巻き込まれていく展開も愉快。とんとん拍子に文明化していくのは、読んでて楽しいです。まあ、町の人口が急激に増えたり、貨幣経済を導入したら、負の側面も必ずあるはずなんだけど、そういうところはあえて無視していて、あくまで軽く明るいノリのストーリー。リアルなシミュレーションを期待してると多少物足りない部分もあるけど、そもそもそういうリアルさを期待する話でもないよな。とにかく軽く楽しくおもしろい物語で素晴らしかったですっ!!

[ 2017.09.14 ]