刃の王


朝日新聞出版 朝日ノベルズ
刃の王 堕刻使いの旅立ち /神野オキナ

いかにも神野オキナらしい現代ファンタジー。コミカル路線ではなくシリアス寄りなのだけど、うわぁ、暗くて陰鬱な気分になる話だなぁ。や、むしろ、もっと陰鬱な話にすればいいのに。

中学生になり微妙に関係が揺れ始めた幼なじみの兜太、明良、弓美里。そんな三人が、異世界よりもたらされた邪神の力・堕刻を偶然手に入れることにより、運命に翻弄されていく……。という感じで、結局のところ、大きな力を手に入れたオタク少年と異世界の巨乳少女の物語という、いかにも神野オキナらしい内容で、一応、シリアス寄り。や、シリアスはともかく、もっとエロ寄りかと思ったら、「当然そういう展開だろっ!!」と思ったところはことごとくスルーされて、いやん。主人公が中学生だから、エロは抑え気味なのかしらん。……まあ、一冊かけてプロローグみたいな話で、この一冊だけで見れば、華もなく爽快さもなく陰鬱な気分でもやもやするだけで、正直、いまひとつ。むしろ、シリーズ化前提で今後に期待させることを狙った作りだと思うのだけど、果たして、続きは出るのかしらん?

[ 2009.11.12 ]