スレイヤーズ
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KADOKAWA 富士見ファンタジア文庫
スレイヤーズ(1) /神坂一 -
Kindleで 全巻セットが大安売り だったので買ってみたり。
『スレイヤーズ』ってライトノベルではビッグタイトルだけど、私的には、20年近く前に当時の最新刊までまとめて読んで、そのあと、何巻かは追ってたものの、結局、途中で読まなくなっちゃってたのよね。って、当時読んでた頃の日記 が残ってた(汗;。うん、恋愛要素がなくて物足りない、というのは、20年後の今読んでも、まったく同じ感想だ。
で、久しぶりに読んでみて、まずは、リナ一人称形式ってのがインパクト強いわ。そして、驚くほどさくさく読める読みやすさ。リナ一人称とこの軽いノリがすごく読みやすくしてるのんね。内容的には、今のライトノベルよりもターゲットの年齢層は低いように思うのだけど、その割に、生理とかレイプとか、ネタがどぎついなぁ。あと、リナって、こんなに弱かったっけ? 今でいう俺THUEEEE系のキャラかと思っていたのだけど、むしろ敵に比べて圧倒的に弱く、主人公補正のおかげで運よく勝ってるという印象。どうにも勝ち方がご都合主義っぽくて、もう少しリナの能力値を上方修正しても、良かったんじゃないかと思うぐらい。
この一巻は、長編シリーズの一巻目というより新人賞受賞作らしく、一冊で綺麗に終わってるのんね。綺麗に纏まってるけど、わりと粗削りな感じ。ああ、あの竜破斬も使わず、いきなり重破斬で赤眼の魔王の7分の1を倒してるんですけど(^^;。リナ、ガウリイ、ゼルガディスというキャラは印象に残って覚えていたのだけど、ストーリーのほうは、かなり忘れてるなー。
[ 2015.11.01 ]
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スレイヤーズ(2) アトラスの魔道士 /神坂一 -
いかにも新人賞受賞作の第二巻という感じ。新人賞上がりの作品は、第一巻で綺麗に纏まってるため、第二巻に苦労のあとが見えることが多いのだけど、『スレイヤーズ』も今と同じように苦労してたのんね。
そゆわけで、第一巻では世界の危機を救ったのに、この二巻はむちゃくちゃスケールが縮んで、単なる町の権力争いなんですが……。敵もせいぜい普通の魔族で、うーん、正直いまひとつ。ストーリーもキャラも、これと言った見どころがないんだよなー。これ、とりあえず続編を書いてみただけ、という感じでしょ。シリーズの今後につながるような伏線を張っているわけでもなく、よくここから、人気シリーズに持っていけたなー。
[ 2015.11.02 ]
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スレイヤーズ(3) サイラーグの妖魔 /神坂一 -
ここでシルフィール登場かー。シルフィールは、『スレイヤーズ』の中では正統派ヒロインしてて、昔読んだ時には、わりと好きだった記憶があるのだけど、今読むと、萌え的表現が発達する前のヒロインなので、物足りないなー。やはり、90年代とそれ以降のライトノベルでは、ヒロインの描写において雲泥の差がある予感。リナみたいに女の子してないキャラだったら、今でも通用する魅力があるんだけどねー。
で、この三巻は、赤法師レゾ再戦で、ゼルガディスも再登場。二巻はいまひとつ何が書きたいのかわからん話になってしまっていたけれど、この三巻は原点回帰で一巻の内容に寄せてきたということか。ここら辺、長編シリーズの方向性について、まだまだ試行錯誤してる感があるなー。二巻に比べるとかなりおもしろくなってきてるケド、本格的に盛り上がってくるのって、ゼロスとかが登場するようになってからでしたっけ?
[ 2015.11.03 ]
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スレイヤーズ(4) 聖王都動乱 /神坂一 -
アメリアって短編集ではなく本編のキャラだったのか。<をい
いやもう、いろいろ忘れててアレなのだけど、そもそもアメリアって、こんなキャラでしたっけ? もっと正義バカが酷くて迷惑なキャラだったように覚えてるのだけど、なんだか大人しいな。うーん、読んでて鈴木真仁の声が想起されるし、アニメ版の印象が強かったのかなー。でも、『スレイヤーズ』のアニメって、あんまり見てた記憶ないんですけど。
ま、それはともかく今回は、セイルーン王家の後継者争い。「王子様が四十がらみのむさいおっさん」という一発ネタだけの話だ(^^;。でも、初見じゃないせいか、そこまでインパクト強く感じないなぁ。おっさん王子のフィルよりも、むしろ、シルフィールの反応のほうに笑う。ストーリー展開そのものも、いたってオーソドックスだよね。まあ、後継者争いはともかく、リナも魔族に狙われるようになり、ようやく長編らしい物語が展開しはじめた感があるけれど、このあと、どうなるんだったっけか?
[ 2015.11.04 ]
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スレイヤーズ(5) 白銀の魔獣 /神坂一 -
ゼロスきたーーーーーーっ!!
獣神官ゼロスの登場と同時にリナのパワーアップイベントが発生して、対ラスボス用の新魔法「神滅斬」を習得。物語も写本がらみで世界の謎に迫っていく展開になり、『スレイヤーズ』は、ここら辺から各段におもしろくなってくよな。……ですよね?(^^;
『スレイヤーズ』って、あくまでその特長は、軽いノリと魅力的なキャラクターたちにあると思うの。その魅力的なキャラたちの中で、特に、ゼロスの存在が光ってるんだよなー。あの飄々としたお茶目な性格で、必ずしも味方というわけではない立ち位置、さらにリナたち人間と比べて圧倒的な強者というが、ほんと素晴らしいっ!! あ、ただ、作品の特長がキャラの魅力がといっても、女性キャラに関しては、女の子としての魅力は皆無に等しく、やはり萌え文化以前の描写は物足りんよなー。個性的で「おもしろい」とは思うけれど。
魔族側の幹部でいろいろ事情を知っているゼロスがリナに絡んでくることで、物語もようやく方向性が定まっていく感じ。いやー、赤眼の魔王とその腹心たち、そして、金色の魔王。そういう魔族や魔法や異世界の設定なんかも、もの凄く楽しくてたまらないわ。やっぱ『スレイヤーズ』、おもしろいわーーーっっっ!!
[ 2015.11.05 ]
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スレイヤーズ(6) ヴェゼンディの闇 /神坂一 -
「おひとりで倒してもらわなければ困ります」
これなー、今になって読むと、マジ、こう思うわー。今回は、ゼロスがリナを試す展開なので、物語の都合上苦戦するのも仕方ないとは思うけれど、でも、魔族とはいえ、しょせんそんなに強くもない相手なら、さくさく倒してほしいわ。不自然な苦戦とか、ご都合主義な大逆転とか、そういう演出いらんよなー。たまには、すっかりイジメのような扱いを受けてる残念魔法「崩霊裂」の立場も考えてあげてください……。
しかし、「最近のラノベ」で嘲笑されることの多い「俺TUEEEE」って、むしろ昔のライトノベルに比べて、進化、改善されてる部分だよな。『スレイヤーズ』を読んでると、そう思うことがほんと多い。なんでもピンチからの大逆転を描けばいいってわけじゃなくて、ちゃんと敵の強さに応じてメリハリをつけて戦闘を描いてほしいよね。ご都合主義感が強いのも気になる。や、『スレイヤーズ』はそこら辺がすごく下手。この巻のセイグラムにしたって、ここで苦戦する構成と演出を見せられても、緊迫感もなにもなく、正直、ページの無駄だろ……。前巻でせっかくリナはパワーアップしたわけだし、苦戦するのって、もう上級魔族だけでいいんじゃね?
[ 2015.11.06 ]
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スレイヤーズ(7) 魔竜王の挑戦 /神坂一 -
魔竜王ガーヴ登場。今までの敵と比べて圧倒的に強いはずなのに、そこまで強そうに見えない件。やっぱり、どんな敵でも、同じように苦戦して同じように倒す展開なのがツライよなー。もちっと圧倒的な感じを演出できないものか……。
そゆわけで今回は、ゼロスに導かれて、異界黙示録を読みに行く展開。それを、魔竜王と側近たちが邪魔する流れだけど、魔竜王側がいろいろ残念すぎる。普通に考えれば、人類の味方は魔竜王の方だと思うのだけど、三流の悪役のような扱いは酷いよな(笑)。リナも受け身的に誘導されてるだけという状況の中で、やっぱ、ゼロスの行動が光るなー。結局みんな、ゼロスの掌の上で踊らされてるだけ、という。
あと、あとがきの次巻へのヒキの話が興味深かった。一冊で完結しなかったので続きが気にならないようなラストにした、という話なのだけど、他のライトノベルと見比べて、真逆の発想で信じられない。や、『スレイヤーズ』って、なにかと読者に対して親切に、そして、極力ストレスがかからないように書かれてるように思うのだけど、そこら辺の気配りがあってこそ、驚くほどサクサク読める文章につながってるのかしらん。
[ 2015.11.07 ]
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スレイヤーズ(8) 死霊都市の王 /神坂一 -
第一部完。裏で暗躍していた冥王フィブリゾがいよいよ登場するわけだけど、そんな絡みの薄いキャラが正体とか、プロットおかしいだろっ!! ……いや、ストーリー自体は、オーソドックスで堅実な展開か。リナの実力での勝利というより、冥王の自滅というのが、いまいち締まらないけれど。
とはいえ、魔竜王に続くラスボス冥王の登場は、盛り上がる盛り上がる。魔竜王を瞬殺し、サイラーグのような舞台を用意し、さすがにラスボスの貫禄で、第一部のラストにふさわしい面白さだわ。そういえば、「魔竜烈火咆」が使えなくなる設定と演出なんかも、昔読んでたときも感心した記憶があるなー。まあ、ガウリイが捕らわれの姫さまという役どころなのは、さすがにどうよという気もするけど(笑)。オーソドックスな展開は、やっぱおもしろいねぇ。
で、「光の剣」を失う展開は、ちとビックリだけど、第二部は、獣王とか赤眼の魔王との再戦という感じになるのかしらん? ただ、「光の剣」がないと、魔族に有効な攻撃が「神滅斬」ぐらいになってしまい、いよいよ対魔族戦の描写が単調で酷いことになりそうな気がする。大丈夫なのかしらん。
[ 2015.11.08 ]
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スレイヤーズ(9) ベゼルドの妖剣 /神坂一 -
第二部スタート。とりあえず、次の敵は覇王? まあ、覇王将軍シェーラの顔見せという感じで、内容的には、これといった見どころがないんですが……。
しかし、今回、ゲストとして、ルークとミリーナというキャラが出てくるのだけど、まったく印象に残ってない(汗;。『スレイヤーズ』はキャラが魅力的な作品といっても、結局印象に残っているのは、リナ、ガウリイ、ゼルガディス、シルフィール、アメリアとアメリアの親父にゼロス。あとは、短編側の川村万梨阿ぐらいなんだよなー。これって、ラノベのキャラが優れてたわけでなく、アニメの印象が強かっただけな気もするなー。ルークとミリーナも、アニメでちゃんと目立ってたのかもしれないけれど、いやー、『スレイヤーズ』のアニメはまともに見てなかったからなー。マジ、覚えがない。
[ 2015.11.09 ]
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スレイヤーズ(10) ソラリアの謀略 /神坂一 -
ん? また、ルークとミリーナが出てきたけど、もしかして、第二部は、ゼルとアメリアの代わりに、ルークとミリーナがレギュラーなのかしら?? やはりルークとミリーナは、ゼルとアメリアに比べて、キャラとしての魅力が数段落ちるような……。
それはともかく、すぐに、覇王将軍と対決する展開になるのかと思ってたら、しばらくガウリイの剣を探しながら、各地で事件に巻き込まれる展開なのか。いやー、キャラはいまいちだわ、物語は凡庸だわ、正直、おもしろくない。昔読んだときは、第二部の途中で読むのを止めたのだけど、この展開が続くようなら、そりゃ、読むの止めるわなー。
[ 2015.11.11 ]
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スレイヤーズ(11) クリムゾンの妄執 /神坂一 -
旅を続けるリナとガウリイは、またまた事件に巻き込まれ……。ぶっちゃけ、凡庸すぎて、これというものがさっぱりないわけですがっ!!
『スレイヤーズ』って、第一部もいまいちな部分が散見されたのだけど、第二部になってからは、どうにも、おもしろくない。好みの問題というより、出来そのものがいまいちだと思う。いや、いまだに人気のある90年代を代表するライトノベルであることは承知してるけれど、正直、その人気って、アニメ側のイメージによる補正と、思い出補正が強いんじゃないだろうか? 軽いノリとさくさく読める読みやすさは、確かに素晴らしいんだけどね。まあ、読み直してみて思ったのだけど、『スレイヤーズ』って、思ってた以上に同じく90年代を代表する あかほりさとる の作品に近く、思ってた以上に最近のライトノベルとは差異が多い。なるほど90年代って、こういうノリの作品が人気だったというのは理解できるけど。
[ 2015.11.13 ]
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スレイヤーズ(12) 覇軍の策動 /神坂一 -
ようやく覇王将軍シェーラが現れたと思ったら、あっさり倒されて退場した件。ま、倒され方が倒され方だし、さすがに、ここまであっさりと退場とかありえないので、どうせ、また復活するんだろうなー。どちらにしろ、ここにきて、やぁぁぁぁぁぁぁぁっっっと、第二部も物語が動き始めたという感じかしらん?
あと、黄金竜ミルガズィアとエルフ族のメフィがパーティに加わってきたけれど、この二人はなかなか楽しそうで、期待。まあ、ラストまであと残り三冊で物語も動き出し、パーティも強化されと、さすがにここから盛り上がってくるっしょ。
[ 2015.11.14 ]
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スレイヤーズ(13) 降魔への道標 /神坂一 -
前巻から加わったミルガズィアとメフィは、やっぱ、おもしろいなっ。で、てっきり復活すると思ってたシェーラは、マジに前巻でお亡くなりになっていたのか。そして、覇王グラウシェラ。うーん、第二部スタートから暗躍してた敵だったのに、こんなに陳腐で大した活躍もせずに倒されて、いったい……。やっぱり、第二部は無駄に長くて、ストーリー構成の面では失敗してるんじゃないか?
まあ、巻を長く重ねていることで、リナとガウリイの関係の変化なんかは見どころになってくるのだけど、でも、『スレイヤーズ』って、さくさく読めるぶん描写が淡泊なので、そういう心情面が大きな見どころになってしまうのは、そもそも作風からして間違ってるよなー。
[ 2015.11.16 ]
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スレイヤーズ(14) セレンティアの憎悪 /神坂一 -
おー、『スレイヤーズ』で、いきなりこんな重い話をやるとは思わなかった。凄いな。ただ、本来、番外編でやるべきネタじゃね? この物語単体はいいと思うし、これをやりたかったからゼルやアメリアを出さずに、ルークとミリーナをレギュラーに持ってきたという意図は理解できるけれど、でも、第二部を丸々使って、『スレイヤーズ』でやるようなネタじゃないよなー。
『スレイヤーズ』って、そこそこ重いネタは突っ込んでくるのだけど、それって、軽いノリがベースにあるから許容されるのであって、そこを忘れて、重いネタをメインのコンセプトに持ってきても、他のシリアスなファンタジーに勝てないと思うんだけどな。そもそも、そこまで描写に凝ってるわけでもなく、ストーリー構成も工夫を凝らしたわけでもなくて、所詮、ワンアイデアを形にしただけの習作のレベルにしかなってないんだよなー。短編ならありだけど、これを何冊もかけてやっちゃうのかー。……ダメだろ。
で、次の一冊でシリーズ完結のはずなんだけど、まったくそういう気配がないのは、えっと、どういうこと?
[ 2015.11.17 ]
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スレイヤーズ(15) デモン・スレイヤーズ! /神坂一 -
えー、獣王というか、ゼロスとの対決はないのー?
えっと、第二部開始時から狙ってたラストだと思うのだけど、打ち切りかと思うぐらい唐突感ある(汗;。ぶっちゃけ、いろいろ失敗してるとしか。リナとガウリイの関係性の変化は悪くはないけど、ほんと見るべきところはそのぐらいで、やっぱ、第二部、ダメだよね。
これで、『スレイヤーズ』の本編を一通り読んだことになるのだけど、ライトノベル界のビッグタイトルのわりに、思った以上に出来が悪いぞ(^^;。それでもいまだに評価されているのは、やっぱり、出版されたタイミングなのかなー。
『スレイヤーズ』の出た1990年頃を振り返ると、当時、自分が読んでたのって、夢枕獏の『キマイラ・吼』、菊地秀行のエイリアンシリーズ、秋津透の『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』、松枝蔵人の『聖エルザクルセイダーズ』、田中芳樹の『銀河英雄伝説』辺りか。私に限らず、エロスとバイオレンスな夢枕獏や菊地秀行が主流だったと思ってた人が多いと思うのだけど、そこに、『スレイヤーズ』が突然出てくるわけよ。『スレイヤーズ』って、とにかく軽くて、さくさく読める。そして凄くアニメやゲームっぽい。そのインパクトたるやっ!! 『スレイヤーズ』ではないけれど、私も、はじめて富士見ファンタジア文庫を読んだときの驚きはよく覚えてるしな。
あと、「最近のラノベ」として象徴される「萌え」にしろ「俺TUEEEEE」にしろ、そういう要素のない『スレイヤーズ』はむしろ不満しかなく、ライトノベルも25年経って、やっぱ、進化してるんだよなぁ。
[ 2015.11.18 ]