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KADOKAWA
ボクは再生数、ボクは死 /石川博品 -
サイバーでエロスでバイオレンスっ!! 倫理観の薄いVR空間を舞台にしてることもあって、登場人物に欲望丸出しのいかれたヤツしかいない。冒頭から下半身オムツでVRゲームにログインするとかわけがわからない。まあ、ストーリーからして、風俗にはまった主人公が風俗に通うためにVTuberになって金を稼ぐ話だもんな。
そんな感じでサイバーなので、舞台は近未来のVR空間。これ、ひと昔なら、サイバーパンク的なSFなんだろうけど、今描くと、FPSのゲーム配信になるという気づきが凄い。配信中のチャット演出も含め、身近なリアル感。スーパーチャットもちゃんとある。これがVTuberの見ている世界か。<多分違う(^^;
近未来なのに身近に感じるのは、ほんと、VTuberのゲーム配信みたいな雰囲気づくりが上手いせいなんだけど、いや、「スフィア」と呼ばれるVR空間が、00年代に話題になった「セカンドライフ」そっくりなんだ。オムツもペットボトラーの慣れの果てだよな(笑)。近未来のようで古臭い。
てっきりヒロインかと思った斎木さんの立ち位置が残念ながらも面白いんだけど、一方、思った以上にヒロインだったツユソラの立ち位置が非常に素晴らしいね。ツユソラだけはちゃんと近未来してる。ツユソラを含めた終盤の展開が上手いよなぁ。ツユソラがいなかったら、単なる変態小説で終わっていたと思う。SF的なエッセンスも感じさせる良い作品でした。
[ 2020.11.26 ]