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アスキー・メディアワークス 電撃文庫
アニメアライブ /秋傘水稀 -
最悪だっ。親、だしてきやがった。作者もアホだけど、こんな出来の悪いプロットを許した担当編集も万死に値する。親が出てくるまでは、かなり良かっただけに、もったいない、もったいなさすぎる。そもそも、「アニメーターは低賃金だからアニメーターになるな」というなら理解できるんだけど、「アニメーターは低賃金だから、クリエーターを目指すな、起業するな」ってのは、わけがわからないよ。
そゆわけで、同人ゲームの企画・脚本をやっていた大学生が、周りが就職活動をはじめたのをきっかけに、創作活動を諦めるか、就職活動をするか、うじうじ悩む話。……そういう悩みだったら、とりあえず、就職活動で、ゲーム業界を狙えばいいんじゃないかな? 「夢を掴んでアニメーターになっても、アニメ産業の構造的問題で、アニメーターでは食べていけない。だから、夢を追いかけちゃいけない」って話なんだけど、アニメーター以外の夢ならぜんぜん問題なくない? てか、就職活動するから創作辞めるって、おいおい、どういうことだよ? 社会人に比べたらぜんぜん暇だろ? 社会人で同人やってる人とか兼業の人とかに謝れっ!! それ以前に、アニメーターに謝れっ!!
と、根本的な部分がいろいろ間違ってる作品なのだけど、もう一方の軸になっている アニメ制作パートは素晴らしかった。魅力的な女の子たちの創作へ賭ける熱い想い。情熱のあまり、ぶつかり合う青春っ!! 芽生える信頼っ!! そして、逆境すらもチャンスに変える素晴らしい展開っ!! アニメ制作のチームが、脚本、アニメータ、声優、音響、それぞれ一人づつなので、リアルに制作風景を描いたら、永遠と一人必死に描いてる隣で、三人がお茶でも飲んでダラダラしてる絵姿しか想像できないのだけど、そこら辺は上手くごまかしていて、この4人の構成だからこそ、ラストが生きる作りになっているのが、ホント素晴らしい。……ああぁ、どうして、マイナスにしかなっていない就職話を入れちゃったんだ? アホだ、あまりに残念すぎる、もったいない。四の五の言わず、アニメだけ作ってればいいのに。
ホント、途中までは、すげー良かったのに。アニメ制作ものとしても素晴らしく、アンネも観前も奈菜も魅力的でいい娘たちなのに、なんでこーなったっ!!(T-T)。
[ 2012.10.12 ]