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KADOKAWA 電撃文庫
ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒 /菊石まれほ -
今年、2021年の電撃の新人作品。第27回電撃小説大賞《大賞》受賞作。
誰もが脳内に情報端末を埋め込み人型ロボットが普及しはじめた世界を舞台に、一人と一台のコンビが謎のウィルスによる電脳事件を解決する物語。電脳SFでよく見かける設定とテーマ。しかし、この設定で地名等も実在の固有名詞を使っているのに、近未来ではなくパラレルな世界にしてるのはなんでだ?
それはともかく、いやぁ、新人のデビュー作としては、非常にクオリティが高い。人間はもちろん、人工のプログラムであるはずのロボットのトラウマや心の闇を描きつつ進展する物語が、なかなか昏くて素晴らしい。人型ロボット・ハロルドの描かれていない部分も含めた過去が怖くて、そして、その内面の描写が凄いよね。
ただ、やっぱりオーソドックスでありがちな内容という感じで、電撃文庫の新人デビュー作としては、ちょっと物足りないかなー。いや、より尖がってる作品が多い銀賞や選考外ではなく、あくまで大賞なので、らしいといえばらしいけれど。
[ 2021.03.24 ]