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集英社 集英社文庫
いちご同盟 /三田誠広

『四月は君の嘘』を繰り返し読み返していると、ちゃんと読まなきゃいけない気がして手を出してみました。この『いちご同盟』は、『四月は君の嘘』内でかなり重要な要素として出てくるし、それ以前に、『四月は君の嘘』それ自体が、『いちご同盟』のオマージュ的な要素が強いのな。ピアノを弾く主人公の北沢と野球部のエース徹也、そして、入院中の直美は、そのまま『四月は君の嘘』の公生、渡、かをりにダブって見える。キャラだけでなく、もちろん、『四月は君の嘘』で引用されているシーンをはじめ、ダブって見えるようなシーンも多く、『四月は君の嘘』を楽しむ上で、いろいろと興味深い。

ただ、それにしても、この『いちご同盟』、凄く昭和の香りがする作品だなぁ。

淡い三角関係の切ない青春ストーリーということで、いやー、今の40歳前後の人が10代で読んでいたら、もしかしたらはまったんじゃないかなーと思うんだけど、今の10代の感性にはあわないだろうし、もちろん、今、40代でこれを読むと、作者側の想いが透けて見えてたまらんわー。出たのは、1990年らしいのだけど、なんというか、等身大の10代を書いたというより、当時の40代の大人が、当時の10代に自分を重ねて描いた感がありありで、ストーリーが綺麗で純粋なだけに、かえって醜悪な印象すら覚える。10代向けというより、ある世代のノスタルジー的な色彩の強い作品なのな。おそらく、今、この作品をきちんと楽しめるのは、作者と同じような年代、全共闘世代とかじゃないかしらん? 読んでいると、北沢や直美は作りモノ感が強い一方、明らかに、その親たちを書いているほうが筆がのってるのよなー。正直、作品としては、非常に歪だと思う。

[ 2014.11.05 ]

三田誠広作品の感想