暴走少女と妄想少年


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年 /木野裕喜

第1回『このライトノベルがすごい!』大賞<優秀賞>。高校入学初日、女の子との出会いを妄想しながら学校に向かう沖田善一は、その道中、いきなり見知らぬ美少女の跳び蹴りをくらい病院送りに……。という感じで、ムチャな性格の美少女に振り回される少年というオーソドックスなボーイ・ミーツ・ガール。新人さんにしては読みやすい文章だし、オーソドックスなだけに、真っ当に面白かったっ!!

いやぁ、なんと言っても魅力的なのはヒロインの明華武瑠。萌えたり可愛かったりするタイプのヒロインではないのだけど、いろいろとムチャすぎる(笑)。まさに、暴走少女と呼ばれるに値する暴走ぶり。そこがまさに面白いっ!! しかし、私の世代で必殺技というとギャラクティカマグナム抜きに語れないのだけど、やっぱり世代が違いますか、そうですか。……しかしながら、暴走少女の武瑠と対をなす、妄想少年にあたる善一の方はといえば、序盤はともかく、そんなに妄想妄想しているわけではなく、そこは残念。いや、武瑠の行動は人並みはずれてヒドイ(笑)のだけど、善一は比較的普通なので、結局、普通のボーイ・ミーツ・ガールの域を超えてない。オーソドックスなラブコメとして、きちんとふつーに面白いだけに、やっぱりそのレベルで終わってしまっているのは残念無念。もう少し、この作品ならではの要素があれば、もっともっと面白くなると思うんだけどなぁん。

[ 2010.09.06 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年2 /木野裕喜

やっぱし、物凄くオーソドックスなラブコメディだよなぁ。前半のコメディ路線も楽しいのだけど、特に、終盤の展開が素晴らしいっ!! ……ただ、新ヒロイン導入は悪くないけど、安易な三角関係は、なおさら、“普通”になってしまった感じ。十分面白くはあるんだけど、これといった尖がった部分がないのは、ちょっとツライんじゃないかなぁん。“普通”であることが魅力になっているかというと、そういう作りにもなっていないし。や、あとがきによると、“妄想”が売りのような書き方になっているけど、そこまで特長になってないよね。やるなら、もっと徹底的にやるべきじゃないかしらん。

[ 2010.12.26 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年3 変態転校生現る! /木野裕喜

イケメン転校生・クリス登場。イケメンなのに変態なクリスは、武瑠に猛烈アタックを開始する……。と、つまらなくはないけど、えっと、ヒロイン誰だったっけか?<をい(^^;。や、下ネタ大好きな新キャラのクリスは楽しいけれど、暴走少女である武瑠は、すっかり影が薄くなって、ますます特徴のない地味な作品になってるよ。終盤の展開も、ちょっと唐突。どうにも、描写も弱くて、普通にラブに寄せられても、印象弱い作品でしかないんだよなぁ。

[ 2011.05.18 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年4 海だ! 水着だ! 夏休みだ! /木野裕喜

単なる水着回かと思ったら、ちゃんと恋愛モノしてるっ!! 主人公・善一が不自然に鈍感というわけではなく、ヒロインたちの気持ちに気づきつつ、きちんと多角形恋愛モノを進めているのは素晴らしいねぇ。や、ヒロイン・武瑠がちゃんと恋愛に絡んでくるようになって、Good、Good。……ただ、毎度思うことだけど、特徴のない作品だよな。というか、いよいよ"妄想"だけでなく"暴走"的な要素も弱まって、ラブコメのコメディ部分が弱くなりすぎな予感。だからといって、ラブ主体で行くには、いちゃあまな要素も、修羅場展開もムリっぽいしなぁ。

[ 2011.08.15 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年5 /木野裕喜

おおう、まさかそういう展開とはっ!! 素晴らしいっ!! 文化祭。とうとう杏子は善一に……。と、ラブコメのストーリー展開としては、なかなか興味深いのだけど、全体としては、やっぱり地味な印象は否めないよな(^^;。魔法も超能力もない普通の学園モノといっても、キャラもストーリーもパッとしないのは、ちょっとツライ。青春物語としては、そう悪くはないと思うのだけど。

そういえば、独身でいぢられる先生と言えば、最近は30歳とか40歳ぐらいが多いと思うのだケド、この作品の綾子先生は25歳か。正直、若すぎるというか、昭和の時代の作品かっ!!

[ 2011.11.14 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年6 毎日が大騒ぎ! /木野裕喜

にやにやが止まらない~~~~。シリーズ当初は「オーソドックスで地味で売りがない」と思ってたのだけど、いつの間にか、まったく他のラノベでは類を見ない、すっごく変わったラブコメ作品になってるよ。善一と武瑠と杏子の特異な三角関係も凄いと思うんだけど、さらに、すごく小学生ちっくな恋愛感がたまらない。今の時代、手をつなぐのも一大決心が必要な恋愛感覚って、むしろ新鮮で凄いっ!! それでいて、武瑠と杏子の敵愾心による行動が、うひゃぁ~~。恋愛に限らず、善一の妄想やクリスの下ネタも、考えてみると、まんま小学生のセンスなんだよな。エロや萌えに走るでなく、なんか凄く異質な方向性に進んでて、いまさらながら、なにこのラノベ。変だぜ。

[ 2012.04.12 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
暴走少女と妄想少年7 恋する暴走少女 /木野裕喜

うわ~、すんげぇ恥ずかしい。なにこのピュアで直球な恋愛描写。いまの時代、下手するとギャグになっちゃうと思うんだけど、それを真っ当にシリアスにやってきちんと成立するんだから凄いよな。素晴らしい。……それにしても、善一、武瑠、杏子の三角関係に、きちんと決着付けるとは思わなかったので、ちとビックリした。<をい

小学生のような、おままごとのような恋愛感が特徴な作品だったけれど、ラストも恥ずかしくなるぐらいピュアで綺麗でした。展開としては、物凄くオーソドックスなんだけど、それを、ここまで直球に描くとは、今の時代では、むしろ凄いよな。まあ、年齢設定は、高校生でなく、せめて中学生にしとけよ、と思わないわけではないけど、いや、高校生だからこそ、素晴らしいのか。ここ数巻は、いい意味で化けた作品だと思うのだけど、この最終巻も綺麗な恋愛モノとしてまとまっていて、ほんと、素晴らしかったです。……結局、“妄想”はどこかにいってしまったけれど、暴走少女こと武瑠の小学生然とした行動様式が、作者の恋愛感ともマッチして、いまどき稀有な恋愛ストーリーに仕上がったんだと思う。このセンスを上手く伸ばしたら、凄い作品が出てくると思うんだけど、次回作はどうするんだろ。

[ 2012.07.28 ]