荒野の恋


エンターブレイン ファミ通文庫
荒野の恋 第一部 catch the tail /桜庭一樹

うわー、これを少年向けライトノベルでやるのかーーーっ!! や、20年以上前の少女小説という趣で、なかなかに面白かったっ。眼鏡だしなっ!!

そゆわけで、各地で評判なので買ってみた。桜庭一樹は、以前読んだ『竹田くんの恋人』があまりに酷かったので、私的に回避リスト入りしてたのだけど、なるほど、これなら評判が良いのも頷けるわ。最近では、かなり珍しいテイストの恋愛モノ。というかコレ、せめて20代、出来れば30代以上向けな予感なのは、気のせいですか(^^;。接触恐怖症&吊り橋効果をはじめとして、懐かしさを感じさせるモチーフの選択も、いやぁ、巧いねぇ。これを出すとは、ファミ通文庫、懐深いわ。うひ~、これはもう次巻も期待だわ~~。

[ 2005.05.31 ]


エンターブレイン ファミ通文庫
荒野の恋 第二部 bump of love /桜庭一樹

最高傑作級。思春期の少女を書かせたら、もう、絶品。眼鏡だしなっ!!

そゆわけで、非常に良質な少女小説。こんな一昔前のコバルト風な作品が、なんでファミ通文庫からでてるんだ? や、桜庭一樹の文章は間の使い方に違和感を感じることがあって、この作品も2箇所ほどそういう部分はあったのだけど、それ以外は、満点。全てが素晴らしい。特に、文そのものが素晴らしいのよ。単語の選択から読点の使い方まで、ほんとさいこー、素晴らしい~~。このレベルから楽しめる作品はそうないので、ほんと、とにかく絶賛、絶賛、大絶賛っ!! 文だけでなく思春期の微妙な感情も、絶妙に描かれていて、ほんと素晴らしい。ついでに、ミギー氏によるイラストも非常に似合って素晴らしい。ほんとにさいこーーーっ!!

それにしても、中身はこんなに素晴らしいのに、裏表紙のあらすじのセンスのなさは、いったいなんなんだろう(^^;。

[ 2006.02.02 ]


文藝春秋
荒野 /桜庭一樹

眼鏡っ娘・荒野の、少女から大人へ変わっていく様を描いているのはファミ通文庫そのままなのだけど、がはっ、第三部の某イベントは、もうガッカリですよ(T-T)。そして、イラストがないのは、ある意味、正解だと思ったりして。や、もし、そんなイラストがあったら、涙ちょちょぎれてますっ!!

そゆわけで、ファミ通文庫の『荒野の恋』第一部&第二部に、書き下ろしの第三部を加えた単行本『荒野』。ライトノベルレーベルのファミ通文庫から文藝春秋に移ったことで、もっと生々しくなるかと思ったら、第一部、第二部と比較しても、毒のない爽やかな青春ストーリーになっていて、あれれ? 第一部、第二部の素晴らしさは再確認できたものの、第三部は、正直、物足りないかな。かなり無難で予定調和的。せっかく直木賞を受賞して、好きに書ける自由を得たんだろうに、なにもファミ通文庫の編集部でも普通にO.K.にするような、無難な内容にしなくてもいいのに……。

まあ、無難で物足りない部分はあるものの、荒野を中心にした人々の描写は、やっぱり秀逸。大人でも子供でもない時期の、荒野の描写は、ほんと上手いや。荒野、さいこ~~。眼鏡っ娘、ばんざ~~~~いっ!!

[ 2008.06.04 ]