クジラのソラ


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
クジラのソラ01 /瀬尾つかさ

めちゃくちゃおもしろいんですがっっっ!! 《ゲーム》をはじめとする熱いながらも切なさを感じさせる設定といい、一癖も二癖もある個性的で複雑な想いを抱えたキャラクターといい、非常に素晴らしい。や、「妹じゃないもん。わたしの方が、少しだけお姉さんだもん」って、もうくらくらですよ~~。

異星人に征服された地球に唯一課せられたのは、艦隊戦を模した《ゲーム》を開催すること。人々は異星人の高度なテクノロジーに支えられた《ゲーム》に熱狂することとなる。……《ゲーム》に優勝し宇宙に旅立った兄に憧れ、ワールドグランプリ優勝を目指す雫と、《ゲーム》の裏にある不幸と別れを知る天才メカニック・聖一は出会う。

各種人気投票で高評価だったので手を出してみたのだけど、いやぁ、設定とキャラがダントツに素晴らしいっ!! それをきっちり描き切る筆力もなかなかです。なんといっても秀逸なのは、艦隊戦を模した《ゲーム》の設定。チームプレイとコンピュータゲーム的な要素を加味したモータースポーツといった感じで、非常に魅力的な新しいスポーツ?ゲーム?になってるのよねん。そこに、不幸な味付けとまっすぐなスポ根少女を掛け合わせた内容で、ほんとに面白い。そして、雫といい、冬湖といい、智香といい、郁恵といい、キャラも素晴らしいのよ~~。

それにしても、メカニックによる差が大きいのに宇宙に旅立つのはプレイヤーだけ、というのが、凄く違和感あるのだけど、それ自体が伏線になってるのかしらん? 一応、それっぽい仕込みもあることはあるし……。

[ 2007.02.21 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
クジラのソラ02 /瀬尾つかさ

素晴らしいと思っていた《ゲーム》が、早くも別物になってしまった……。

国内大会を突破した雫、冬湖、智香のチーム<ジュライ>は、アジア予選も勝ち進み、いよいよワールドグランプリ本戦へ。って、展開速すぎるだろ~~。しかも、読者置いてけぼり風味に明後日の方向に話が進んでいて、ええっと(^^;。いや、つまらなくはないのだけど、ストーリー展開の見せ方や読者への情報の提示の仕方は、かなりダメだと思うぞ。なにもこんなに慌てていろいろ詰め込まなくてもいいのにっ!! そして、2巻でここまで進めるなら、1巻でもっと伏線をはっとかないとダメだろっ!! 結局、設定や背景の説明に厚みがないので、展開やキャラの行動に説得力がないんだよなぁ~。

しかし、キャラは、ほんと生き生きしてて素晴らしいですな。ていうか、今後、どう展開するんだ、コレ(^^;。

[ 2007.02.23 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
クジラのソラ03 /瀬尾つかさ

素晴らしいぃ~~~。凄い勢いで風呂敷を広げつつ、きちんと盛り上がる盛り上がる。そして、なんだそのラストの展開はーーーーっ!! すげーよ、すげーよ、次巻はどうなるぅぅ~~~。

くじら憑きの兆候を見せる冬湖。そして、WG準決勝の敵として、宇宙に消えたはずの冬湖の両親が立ちふさがる。WG裏で、いったいなにが起こっているのか!? といった内容。前巻のコズミックイーターとの戦いと比べると、敵の脅威は弱まってる予感もするのだけど、風呂敷だけは広がる広がる。そして、広げた風呂敷の分だけきちんとおもしろく盛り上げていて、いやぁ、ほんと素晴らしいわぁ~。いよいよ次巻で最終話ということで、ほんとむちゃくちゃ盛り上がっていて、すげー楽しみ。きちんと、風呂敷はたためるのかっ(^^;。

[ 2007.05.22 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
クジラのソラ04 /瀬尾つかさ

郁恵と冬湖を失い、打ちひしがれた雫は、やがて周囲の励ましに触れ、そして再び立ち上がる……。素晴らしい、素晴らしい。いやぁ、雫が再び立つまでの描写は、めちゃくちゃ素晴らしいっ!! ……ただ、その後は、その盛り上った期待を、なんだかスルーされちゃったような感があって、ガックリだったりするんだけど(^^;。

シリーズ最終巻。ホント、最終巻に相応しい盛り上がり。そして、物語も、雫らしい決着の付け方で、いやぁ、良かった良かった。でもだ、しかしだ、再起後の雫は、どうにも描写が足りないと思う。あと、もうちょっとがっぷり四つの戦闘を描いて欲しかったなぁ。そういう部分で、ちと物足りないラストでした。やっぱこう、ラストの方は、もうちょっとページをかけて欲しかったなぁ。

[ 2007.11.24 ]