迷宮街クロニクル
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ソフトバンククリエイティブ GA文庫
迷宮街クロニクル(1) 生還まで何マイル? /林亮介 -
最高傑作級っ!! 死と隣り合わせの迷宮探索に賭ける若者たちを描いた、非常に良く出来た群像劇。2003年の京都を舞台にリアリティある若者たちの描写、そして、迷宮探索であっけなく死ぬ探索者と、その死を受け止める周りの人々の描写が、とにかく素晴らしいっ!!
数年前に話題になったWeb小説『和風Wizardry純情派』を加筆修正し、一般小説化したモノ。Webサイトは、ここ か。Webサイトから内容を引用すると、“大昔に大流行したWizardryというアメリカのゲームの舞台を2003年の京都市にもってきたらどうなるだろう”というものです。や、話題は聞いていたのだけど、正直、Web小説には興味ないんで読んでませんでしたよ。
いやぁ、ホント素晴らしい。『Wizardry』は、昔 PC88辺りで遊んで、非常に思い出深いゲームなのだけど、それを 2003年の現代日本にすげー巧く落としこんでいて、Good Good。2003年というと、もう、5年前か。5年前というネットの描写は、古き良き時代を感じさせるよなぁ。そして、ミニストップをはじめ、それこそ2003年の京都という設定は、非常にリアルに雰囲気出してるし、当然、Wizの雰囲気を巧く利用してるのも巧いなぁ。そしてなにより、やっぱ、死に纏わる描写が非常に素晴らしい。や、次が中巻ということは、上中下の全3巻かしらん。もう、続巻もめちゃくちゃ楽しみですっ!!
[ 2008.11.19 ]
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ソフトバンククリエイティブ GA文庫
迷宮街クロニクル(2) 散る花の残すもの /林亮介 -
やっぱ、身近にある死とリアリティのバランスが、素晴らしいなぁ。リアルな京都を下敷きに、複数の登場人物の多面的な視点による構成が物語に厚みを持たせた上で、フィクションである死と隣り合わせの迷宮街を構築している内容が、ほんとうに、巧くて、おもしろいっ!! ていうか、わりと無慈悲にキャラを消費しすぎだよっ!! 死亡率14%と謳ってるのだけど、これ、もっと高いんじゃなかろうか(^^;。……ただ、ここまでキャラが多い群像劇のスタイルだと、「誰だっけ?」というキャラも多く、読んでてツライのも、正直なところ。や、他のライトノベルと比べて、登場人物紹介はわりと充実してるほうだとは思うのだけど、もっと強化して欲しいなぁん。
[ 2009.04.17 ]
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ソフトバンククリエイティブ GA文庫
迷宮街クロニクル(3) 夜明け前に闇深く /林亮介 -
死亡フラグっ!! 死亡フラグっ!!<ちげー。や、迷宮探索関係なく、わりとありがちな長距離恋愛のメロドラマがメインテーマになってる件。しかも、ライトノベルらしい10代の初々しい恋愛じゃなくて、結婚が視野に入った20代のドロドロした雰囲気で、うわぁ~。
現在の京都に『Wizardry』の迷宮があったら?というシリーズ3作目。迷宮街では第四層を結ぶゴンドラの設置が検討される一方、故郷に残された真壁の恋人の由加里は、恋人の安否を心配する日々に、もう、精神は崩壊寸前っ!! と、うわぁ~、ライトノベルの主人公なのに、なんという酷い描かれ方だっ、真壁啓一(^^;。この3巻になって、とにかく他人を省みない自己中ぶりがクローズアップされて酷い酷い酷すぎる(笑)。……次で最終巻ということで、いろんなフラグが立ちまくりなのが凄い凄い。たまりにたまったフラグに、次が、とにかく楽しみすぎるっ!!
[ 2009.10.22 ]
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ソフトバンククリエイティブ GA文庫
迷宮街クロニクル(4) 青空のもと 道は別れ /林亮介 -
シリーズ最終巻なので、もっと盛り上げるものかと思ったら、良くも悪くも最後まで淡々といつもの調子。特に、ゴンドラ攻防戦は、規模の割りには、盛り上がりに欠ける印象なのが、残念でした。せめて、もっと真壁周辺を描けばいいのに(^^;。や、ゴンドラ攻防戦のいろんな人の視点の中には、今まで以上にかなり違和感を覚えるものも多かったので、なおさらそういう風に思いました。……しかし、盛り上がりもなく進むので、このままどうするんだ?と思いながら読み進めてたのだけど、ラストはすごく綺麗に纏めてあって、これは満足。なんと幸福を感じる読後感。終わりよければ、全てよしっ!!
[ 2010.03.19 ]