猫泥棒と木曜日のキッチン


新潮社 新潮文庫
猫泥棒と木曜日のキッチン /橋本紡

テンプレート的な作品だなぁ。いや、橋本紡の『毛布おばけと金曜日の階段』(→感想) 辺りを感じさせる内容ではあるんだけど、どうにも、売れ線を狙ったような、ありがちな作品になっちゃってるんだよなー。つまらなくはないんだけど、これなら、作者は橋本紡じゃなくてもいいんじゃね?

母親の失踪をきっかけに、死んだ子猫を拾っては庭に埋葬するようになった女子高生・みずきを主人公とした青春ストーリー。猫関係の話はわりと良かったものの、キャラの配置や行動なんかが、あまりにテンプレートすぎるんだよなー。「親がいなくなり、取り残された姉弟」「子猫の礫死体を拾う姉」とネタが重いのが、なおさら、テンプレート的な作品の薄さを際立たせてしまっていて、酷い。インパクトと雰囲気だけで作品を作るんじゃなくて、もうちょっと、キャラを深く描いて欲しかったなぁ。

[ 2008.12.19 ]