陰陽ノ京
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メディアワークス 電撃文庫
陰陽ノ京 /渡瀬草一郎 -
渡瀬草一郎の『空ノ鐘の響く惑星で』が終了したので、その渡瀬草一郎のデビュー作『陰陽ノ京』に手を出してみました。『陰陽ノ京』は、第7回電撃ゲーム大賞の金賞だったのかぁ。第7回というと、『天国に涙はいらない /佐藤ケイ』や『ウィザーズ・ブレイン /三枝零一』と同期かしらん。
というわけで、渡瀬草一郎デビュー作。平安時代に実在した慶滋保胤を主人公に、安倍晴明らと共に陰陽道で鬼を払う、という内容。うわぁ、渡瀬草一郎って、デビュー先からこんなにレベル高かったのかー。文章も読みやすく、構成もしっかりしていて、非常に Good。なにより、ライトノベルのくせに、平安時代の描写がファンタジーではなくて、きちんと史実の上に組み立てられてるのが素晴らしい。そして、そういう部分だけじゃなくて、なんといっても、吉平と貴年の淡い関係がいいよなー。あとは、時継の想いもなかなか。……とにかくバランスの良い、非常に良質な作品。まあ、好み的には、もっとラブ寄りの方がいいんだけど、そこも今後に期待できそう。続刊も楽しみです。
[ 2007.07.23 ]
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メディアワークス 電撃文庫
陰陽ノ京 巻の二 /渡瀬草一郎 -
びみょ~~。そもそも、この作品の“売り”ってなに? いや、1巻の良さを引き継いでるわけでなく、新しい魅力を出してるわけでなく、何というか、方向性も定まらずに、「とりあえず続けてみた」という印象しか持てませんでした。ストーリー展開も捻りもなにもなく、作者の人が、この2巻でなにがやりたかったか、さっぱりわからないんですがー。あと、保胤は、さすがにあそこまで人が良いとあまりに人間臭さがなくて、すごく薄っぺらいというか、うそ臭いようにしか思えません。ファンタジーらしからぬ平安の時代を扱ってるので、このうそ臭さはなおさら違和感を感じるんだよなー。
[ 2007.08.08 ]
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メディアワークス 電撃文庫
陰陽ノ京 巻の三 /渡瀬草一郎 -
二巻に続き、三巻も微妙だ。どうも、各キャラの立ち位置が、明確になってないんじゃないかな。特に、鷹晃と保胤の扱いが微妙なせいで、捻りのない、中途半端な構成になってしまっている予感。文章は読みやすく、各キャラの関係性を中心にそこそこ面白い部分もあるのだけど、構成面は明らかに失敗してるよね。もったいない。
[ 2007.08.09 ]
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メディアワークス 電撃文庫
陰陽ノ京 巻の四 /渡瀬草一郎 -
もったいねぇ~~。いや、これはこれで凄くいい話なんだけど、きちんと泣けるように最適化されてないのよ(T-T)。こんなベタなネタだったら、もっとあざとく泣ける話にしたてないとダメだと思うんですけどぉ~~。
不慮の事故で死んだ少女。保胤の甥にあたる光榮は、不憫に思った彼女に、一夏だけの仮初めの命を与える……。という風に、「これに泣かずに、何に泣くっ!!」って感じのストーリーなんだけど、演出といい展開といい、必ずしも泣けるようには作られてないんだよなぁ。いや、これはこれで いい話ではあるんだけど、保胤と時継のやり取りも微笑ましいんだけどっ、こういうネタだったら、めちゃくちゃ号泣するような話を期待するだろっ!! 好みの問題ではあるんだけど、期待と異なる内容で、あうう、残念無念。
[ 2007.08.30 ]
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メディアワークス 電撃文庫
陰陽ノ京 巻の五 /渡瀬草一郎 -
4巻から5巻が出るまで4年空いてるのだけど、内容的には違和感なく、変わってないのは凄いなぁ。吉平の弟、吉昌登場で、人間の体を捨て妖となった元道士が晴明らを狙う、という内容。まあ、可もなく不可もなく、というところかなー。悪くはないのだけど、予想よりもどうにもこじんまりとした話になってしまっていて、ちと物足りなかったりも。
[ 2007.09.04 ]
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アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼 /渡瀬草一郎 -
一冊で綺麗に纏まった良作。構成といい、描写といい、文章といい、ほんとに巧い。そして、メディアワークス文庫でも、『陰陽ノ京』らしい雰囲気を保ったままの良い作品でした。
狙われた左大臣・藤原実頼。加茂光榮は、内密のうちに事件の解決を命じられるが……。という感じで、平安時代の京を舞台とした『陰陽ノ京』シリーズ最新刊。電撃文庫からメディアワークス文庫に移籍して、主人公は慶滋保胤から賀茂光榮へ変更になったものの、内容的にはいつも通りの『陰陽ノ京』でした。
いやぁ、とにもかくにも、散りばめた伏線を回収して次に続ける綺麗な構成がお見事。ほんとに綺麗に纏まっていて、素晴らしいなぁ。内容は、いつも通りの『陰陽ノ京』で、いや、むしろ、わかりやすい性格の光榮が主人公になったことで、物語の方向性も、すっきりはっきりして、私的には、かなり Good。そして、吉平、貴年のカップルは初々しくていいよねぇ。……一応、続編含みのラストだったのだけど、このまま、光榮メインで続くのかしらん。そうだとしたら、続きも楽しみです。
[ 2009.12.27 ]
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アスキー・メディアワークス メディアワークス文庫
陰陽ノ京 月風譚 其の弐 雪逢の狼 /渡瀬草一郎 -
20年ぶりに復活した白山は、陰陽寮の道士を襲いはじめるが……。と、光榮メインの『月風譚』は、いまいち恋愛色が弱くてどうかと思ってたのだけど、今回は、吉平と貴年がホント頑張ったっ!!<をい。白山にまつわる物語を綺麗に一冊に纏めた良作。渡瀬草一郎は、ホント巧いなぁ。相変わらず、リーダビリティが高く、非常に読みやすい。ただ、いまいち華やかさに欠ける欠けるきらいがある予感だけどな(^^;。
[ 2010.11.21 ]