とある飛空士への誓約


小学館 ガガガ文庫
とある飛空士への誓約1 /犬村小六

「たとえ敵味方に別れようと、我々は憎みあうことはない。友情は永遠だ」

うわぁ、泣かす気満々すぎるぅぅぅぅぅっっっ!! この第一巻は、敵対するウラノス軍により孤立した秋津連邦とセントヴォルト帝国の両国を代表する士官候補生7名が、一機の飛空艇の中で、時にぶつかりつつも友情を育み、セントヴォルト帝国を目指して敵陣を突破するという筋立てなのだけど、7名のうち、実は、ウラノス軍に組する二人が裏切る未来が提示されていて、さらに、今は同盟中の秋津連邦とセントヴォルト帝国も、やがて、敵味方に別れて戦うことになる未来が暗示されているという、とにかく、切なさ大爆発なフラグの数々っ!! まずは後で泣かせるための仕込みをどんどん入れてく展開なんだろうけど、フラグが効果を発揮する先の未来を想像すると、ぐわぁ、せつなすぎるじゃないか……(T-T)。

『飛空士』シリーズとしては、『追憶』『恋歌』『夜想曲』に続くシリーズ4作、9巻目。今回は、『恋歌』で出てきた「空の一族」側の物語ということでいいのかしらん。今のところ、大瀑布や飛空士と言った世界設定だけ前作と共有してるだけど、やぱり行く行くは、『飛空士』シリーズとして、一つに纏まっていくのかしらん?

[ 2013.01.08 ]


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とある飛空士への誓約2 /犬村小六

うわぁ、そういう展開かっ、あざとすぎるぅぅぅっ!! そして、乙女なイリアが楽しい。空中のダンスというか、そのあとが、うひゃぁぁぁぁ。……それにしても、もっと隠して引っ張るのかと思ってたけのだけど、わりと早く開示してきたなぁ。

奇跡の敵中突破で英雄に仕立てられた「エリアドールの七人」。彼ら彼女らの学園生活がはじまる……。と、学園生活が楽しければ楽しいほど、後の、裏切りや敵味方に別れての戦闘シーンが泣けてくることになるわけだけど、うーん、ちと弱いな。清顕とイリア、ミオは順調にフラグを積み重ねてるけど、セシルとか空気すぎるだろ(^^;。……まあ、今回は、場繋ぎ的なストーリーになるのは仕方ないけど、今後は、二人の裏切りからはじまるウラノスのエアハント侵攻は確定として、清顕とイリアが敵味方に別れて闘う未来を描くためには、セントヴォルトのウラノス属国化と清顕のワルキューレ入隊、殿下を担いで旧シルヴァニア王国の復興を賭けた戦いという流れかしらん? そんな単純じゃないかな? どちらにしろ、むしろ裏切ってからが本番か、まだまだ先は長いなー。

しかし、現代日本に生きてると、自分や仲間よりも家族を大切するマインドには、正直、共感できないよなー。加えて、野暮は承知だけど、ストーリー上は盛り上がるといったって、あんなにバレバレだと、家族含めて逮捕されるリスクが高すぎて、現実だったら、ああいう状況はありえないよね(^^;。

[ 2013.02.25 ]


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とある飛空士への誓約3 /犬村小六

うひゃ~、終始、ミオのレイプ目を眺めるような展開かと思ったら、一応、うれしはずかし展開もあって、ちょっとだけ救われるな。<をい まあ、とにかくミオが不器用すぎて、あまりに不憫すぎる。ミオがせつなすぎてせつなすぎて、読むのが、ほんとツライ一冊でした。

ウラノス側のスパイとなり、清顕と距離をとるミオ。一方、清顕とイリアは、少しずつ距離を縮めて……。と、ほんと、途中で自殺しなかったのが不思議なくらい、とにかくミオを追い込む追い込む。うわぁ、宗教じゃないけど、思想に染まって視野が狭くなってしまったミオの父親が怖すぎるわっ!! 一方で、ハチドリの人の、なんやかんやのフォローに救われる。本当に救いになってるかどうかは、これからかもしれないけど(^^;。バルタザールのかぐらへの想いも癒されるエピソードだけど、でも、さすがに失恋する展開しかねーよね(笑)。

状況が大きく動いたこの3巻だけど、まだまだイリアと清顕が敵味方に分かれる展開は遠そうだけど、今後、どうなるんだこれ。ミオもああなると、泥沼の展開にしかなりなさそうで、今後が、怖い、怖すぎるっ!!

[ 2013.07.28 ]


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とある飛空士への誓約4 /犬村小六

「肉体が童貞っぽくない」って、生々しいな(^^;。……ミオがウラノスに行って、どんなエロい女スパイ教育が行われるのかと期待してたのだけど<をい、そういう悲惨な展開はなく、うわっ、ここでそういう展開か!? まさか、『恋歌』と合流するのか!!

ミオとの別れから一年、清顕たちはセントヴォルトの最前線の精鋭部隊「ヴォルテック航空隊」で軍務に当たっていた……。と、前巻のラストから悲痛な展開しか想像できず、怖くてなかなか読めずにいたのだけど、実際、読んでみると、清顕とイリア、バルタザールとかぐやがいい感じに青春ラブコメしていて、アレ? ぜんぜん痛い展開がないぞ(^^;。特に、バルタザールは愉快な展開になっていて、非常に楽しい件。バルタザールが愉快な一方、清顕は優柔不断というか踏み込みが足りず、いまいちだ(笑)。『誓約』は、イリアと清顕が、最終的に空中戦で殺しあうことになる悲哀へ向かう物語だと思っているので、イリアも清顕も、もうちょっと踏み込んでいいと思うんだ。

そして、清顕とかぐやのラストの展開は、戦況的に、もっと先になるかと思っていたのだけど、このタイミングで来るかー。次巻は、かぐやさんのエロエロなシーンに期待しています。<ひでー

[ 2014.04.22 ]


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とある飛空士への誓約5 /犬村小六

――いま行くよ、クレア。
――愛おしい、風呼びの少女。
――きみのいる空へ。

いやー、秋津連邦との開戦。拷問による獄中死を待つばかりの清顕とかぐや、という重い展開にもかかわらず、まさかのアリーメンしか頭に残ってない(笑)。というか、↑は、『恋歌』のラストからの引用なのだけど、ここでこう来るかーーーっっっ!! イリアと清顕の泣けるシーンとかもあったはずなのに、全部、『恋歌』サイドに持ってかれた印象。クレア登場とはいえ、ここまでガチに『恋歌』に繋げてくるとは思ってなかったよ。バレステロスと、セントヴォルト、秋津連邦の同盟みたいな展開が示唆されるとなると、えっと、イリアと清顕の敵味方わかれて戦うという話は、いまいち魅力半減だよね。ストーリーの軸は、もはや、『恋歌』のカルエルとクレアになっていきそうな気がするんですが(^^;。

それにしても、今回の主役のバルタザール、わかり易くていい奴だなぁ。

[ 2014.04.26 ]


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とある飛空士への誓約6 /犬村小六

――ここで待とう。イリアが来るのを。

とゆわけで、清顕とイリアの殺し合いがついに。この物語は、心を通わせた清顕とイリアが、やがて敵味方に分かれて、互いを敵として殺し合うことが運命付けられていたのだけど、とうとうその時が来たか。互いに両軍のエースとなり、戦況の重大な局面で、自分以外に相手を撃ち落とすことができない状況。いやぁ、追い込む追い込む。清顕の葛藤と、そして、清顕とイリア、二人の輪舞。期待に違わぬ展開が、もう、素晴らしいなぁ。

そして、そこからのラスト。ちょっ、いままでのシリアスな内容が、いろいろと台無しになるぐらいに、もの凄く明るい未来を感じさせる展開になっちまったな、をいっ(^^;。ニナというかクレア側の話は、まだ、一波乱も二波乱もありそうなのに、もう、ハッピーエンドしか感じさせない雰囲気になっちゃたような気がするのだけど、続き、大丈夫なのか?

[ 2015.01.19 ]


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とある飛空士への誓約7 /犬村小六

おおおおおぉぉぉぉ、きたぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!

第三部スタート。6巻の清顕とイリアの空中戦で物語の山場は越えて、あとは正直、エンディングに向けてどう纏めるかという話だと思うんだけど、クレアは女王として何もできず、ウラノスの軍事力が強大すぎだっ。セシルを中心に、シルヴァニア王国、セントヴォルト帝国と秋津連邦、第二次イスラ艦隊が合流して、ウラノスと対峙、さらに、ウラノス内でも、クレアが議会を掌握して、という話になるんだと思うんだけど、思ったよりも大変そうだ。ま、ゼノンが死にそうなので、それをキーに好転していく流れなんだろうけれど。そういえば、かぐらといいミオといい、女の子に対する仕打ちが非道になりきれずに、わりと中途半端な気がするのは、気のせいでしょうか?<をい

清顕を巡る恋愛沙汰も多少あるど、残り二巻は、クレアとカルエルの『恋歌』の二人がメインになっていくのかしら? いやぁ~、待ちに待ってたラストのイラストが、もう、感無量ですよ。あと、『追憶』のほうは、なにか絡んでくるのかしらん? なにはともあれ、9巻完結予定ということは、残り二巻、楽しみだっ。

[ 2015.01.22 ]


小学館 ガガガ文庫
とある飛空士への誓約8 /犬村小六

うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 回避フラグが散見されてたので、てっきり、そうならないと思ってたのだけど、もう、衝撃のラストっ!! まだ、そうなったと決まったわけではないんだけどさー。うわぁぁぁぁ。

そゆわけで、『飛空士』シリーズも、いよいよクライマックス。ていうか、展開的にもうこの巻で決着つくのかとも思ったら、やはり最終巻は次か。終盤まで読んだ辺りで、アレ? ページ足りなくね?? と思ったりしたのは、ここだけの秘密だ(^^;。いや、前巻ラストでウラノス艦隊壊滅&カルエル登場までやったら、あとは、怒涛の展開でラストまで描き切るべきだと思うので、正直、この8巻はテンポ悪い。もはやウラノスが一方的に凹られる未来しか見えないのに、ここで無駄にページを重ねるのもなー。むしろ、どんだけ多国籍軍の兵力を増強すれば気が済むんだ?という話ですよ。なんか、微妙にストーリー構成に失敗してるような……。

それはともかく、舞台が大きくなってくると、清顕の存在感がなくなり、イリアがお色気担当になる件。ある意味、イリアは衝撃的すぎる。そして、もう、どうみても、バルタが主人公ですよ。国を超えた、かぐら、セシルとの三角関係<ちげーが素晴らしすぎるっ!! そして、さらにここでキャラ追加とか、マジ集大成かっ!! でも、“吉岡”はちょっとムリあるような(笑)。で、とにかく次で最終巻ということで、さっさと続きが読みたいです。

[ 2015.06.19 ]


小学館 ガガガ文庫
とある飛空士への誓約9 /犬村小六

「たとえ敵味方に別れようと、我々は憎みあうことはない。友情は永遠だ」

最高傑作。あまりに素晴らしくて、途中から、ひたすら泣きながら読んでいました。『追憶』『恋歌』『夜想曲』『誓約』と続いた飛空士シリーズの全ての物語が収斂されて結実するハッピーエンド。ミオのもたらした情報からバルタザールが作戦を立案し、清顕とイリアは、捨て身のプレアデス強襲を実行する……。エリアドールの七人をはじめ、クレアを迎えに行くカルとカルを信じて待つクレア、さらに、シャルルと千々和の想いを乗せた空戦。いや、ジェット機の登場で戦闘機の性能が勝敗を左右する時代の到来を感じさせる中、最高の技術を持つ飛空士たちのレシプロ機による空戦もまた素晴らしい。シリーズすべての想いが、この一冊に収斂し凝縮して描かれるさまは、まさに最高傑作以外のなにものでもないよね。

まあ、振り返ってみると、どうみてもバルタの物語で<をい、清顕とイリア、ミオの出番はさすがに厚いのだけど、カルとクレアの二人は、もう少し焦点当てても良かったような気がしなくもない。あと、エピローグを見ると、みんな気楽なのにセシルは微妙に貧乏くじ引いてるよ。……なにはともあれ、ほんとうに素晴らしい最終巻でした。

[ 2015.11.19 ]