ゆらゆらと揺れる海の彼方


メディアワークス 電撃文庫
ゆらゆらと揺れる海の彼方 /近藤信義

オーソドックスな戦記モノ。なかなか面白かったですよ~~~。

“それは後に「第二次エルメロー沖会戦」と称される大会戦の始まりだった”みたいな戦記ファンタジー。天才故に疎んじられてる副官クラスの騎士が主人公で、敵国には常勝の天才皇帝がいるという構図。きちんと盛り上がるべきところで盛り上がる、ほんとに面白くって、そこそこ厚いページ数なのだけど、その長さを感じさせずに読めたり。いやぁ、おもしろかったよ~~。

でも、正直、設定も展開も粗が多くて、細かいトコを気にしだすと、ちょっとアレ。や、実力が足りないなら、そんなにいろんな設定をぶち込まなければ良いのに。あと、電撃らしく、謎の不思議少女も出てくるけれど、この娘も活かしきれていない印象で、素直に、戦記モノに徹すれば良いのになぁ。<そもそも、人物配置や演出手法を見ると、「萌え」は解ってない人みたいだし。……まあ、デビュー作ということで、今後に期待ですなん。

[ 2004.01.23 ]


メディアワークス 電撃文庫
ゆらゆらと揺れる海の彼方(2) /近藤信義

エミリアが、うわぁ~、うわぁ~、うわぁ~~

そゆわけで、[文庫]『銀英伝』モドキの戦記ファンタジー。今回は、アールガウ神聖帝国側を描いたものだけど、エミリアがなかなか美味しい~~。……しかし、ラシード&ジュラ側だけでなく、アールガウ神聖帝国側も描いてくということは、やっぱりかなり大きなシナリオを構想してるのね。正直、この作者の力量では無謀だと思うのだけど。

や、1巻も粗が多くて下手だと思ったのだけど、この2巻は輪をかけて酷い。エミリアとノウラがいなかったら、ゴミと断じて切るぞ(<今回、ノウラもなかなか良い役どころを与えた感じで、その点は、ぐっど)。設定的な甘さも感じるのだけど、加えて、ストーリー構成も描写力も、新人だといっても、かなり劣る。冒頭シーンとか篭城シーンとか、かなりダメダメだろ。少なくても、こういう長編は、もちっと力量を付けてから挑むべきだと思う。む~、良いものは持ってるので、頑張って欲しいところなんだけどねぇ。

[ 2004.04.12 ]


メディアワークス 電撃文庫
ゆらゆらと揺れる海の彼方(3) /近藤信義

う~ん、続きを買うかは迷うなー。やっぱり、端的に下手なのが……。

そゆわけで、『銀英伝』を彷彿とさせる戦記ファンタジーの第3弾。戦記モノのオーソドックスな展開にライトノベル的な要素を加味した内容で、そこら辺のセンスは良いのだけど、やっぱり作者の能力が追いついていない。文章がいまひとつで、内容的にも粗が多すぎて説得力にも乏しい。う~ん、こういうデビューしたてで技術的にまだまだな作者に対しては、担当編集がもうちっと口を出すべきだと思う。良いものをもってるだけに、すげーもったいないと思うんですけど~。いや、今回、いまいちストーリー的な魅力に欠けていたので、なおさらそう思ったり。

とりあえず今回で、第一部完なのだけど、あとがきを読むと、さらに、世界を広げるのかよっ!! や、今でさえ、かなり作者の能力を超えていると思うのだけど、さらに関係する国を増やしたら、もうストーリーを制御できずにわやくちゃになるしかないと思うんですけど。ああぁ、やっぱり、続きは買えないかなぁ。

[ 2004.09.25 ]