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メディアファクトリー MF文庫J
クソゲー・オンライン(仮) 「運営は全員逃げたけどなんの問題もないわ!」 /つちせ八十八

異色作『ざるそば(かわいい)』で衝撃的なデビューをはたした つちせ八十八 の新作。新人二作目なのに、コミカライズ同時進行とか、MF文庫Jの編集部は力入れまくりだと思ったら、なるほど、これはおもしろいっっっ!!

物語は、バグだらけでまともに遊ぶのも困難な世界初の VRMMO『ソード&マジック・オンライン』。ふとしたことから、運営が全員逃げ、サービス終了の危機に陥っていることを知ったプレイヤーの少年ササラキは、ゲームマスターの権限を得て運営を立て直そうとする。と、まあ、タイトル通りの内容。世界初の VRMMO が例の『ソードアート・オンライン』のように完成度が高いわけなく、黎明期なんだから酷くて当たり前で、むしろ、黎明期だからこその楽しさがあるよね、というコンセプト。この着想は正しいわ。……でも、世界ではじめて VRMMO をリリースできるような資本と技術力を持った企業で、社長以外全員逃げてる状況って、どういうことだよ(笑)。

つちせ八十八って、まだ、デビュー二作目のはずでデビュー作の『ざるそば(かわいい)』も新人だからこそ書けるような作品だと思ってたのだけど、この『クソゲー・オンライン(仮)』は、いやー、読みやすく、おもしろく、女の子たちはかわいいと、なんだかめちゃくちゃ完成度高いんですけどっ!! ツンデレでいい格好しいのヒロイン・アズラエルと謎の少女アリスと、主人公のササラキの三角関係も素晴らしいな。クソゲーの立て直しも、黎明期らしい混沌とした雰囲気は出て楽しいのだけど、いや、さすがにバグだらけなのにプログラマが活躍しない時点で、ちょっと無理があるだろ(^^;。

しかし、編集部も力を入れているわりに、1冊で綺麗にまとまっているのがちと気になったり。続きはでるのかしらん? そもそも、『ざるそば(かわいい)』の続きはー?

[ 2016.06.26 ]