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アスキー・メディアワークス 電撃文庫
ウィザーズ・ブレインIX 破滅の星<上> /三枝零一 -
“ここには、もう、絶望しかない”
天樹真昼の死をきっかけにした、賢人会議と人類との全面戦争。少し前まで、悲劇的な世界に微かな光が見え隠れしていただけに、いっきに破綻に突き進む展開が、まさに絶望ですよっ!! 魔法士と人類の共存がもはや望めなくなったばかりか、主要キャラが敵味方別れて殺し合いを行う展開。凄まじすぎるっ!!
賢人会議にサクラ、ディー、セラ。シティ側にイル、ファンメイ、エド。世界再生機構に祐一、クレア、ヘイズ。あとは、どっちつかずの錬とフィア。たまに忘れるけれど、祐一以外は、だいたい幼児小中学生ぐらいなので、小中学生が世界の命運を担っているとか恐ろしいな。特に、描かれていない構成員も含めて、たぶん凄く低年齢な賢人会議。主要な魔法士の中で唯一大人な祐一は、シスター・ケイトやルジュナのように政治力を持ってないし、若者らしい勢いもないので、かなり不遇な扱いで酷い。最強なのに……。
サクラの言う全人類の殲滅は、たぶん、人類皆殺しではなくI-ブレインの移植による全人類の魔法士化辺りが狙いじゃないかと推測してるのだけど、それにしては、問題を解決するような伏線がまったくないどころか、むしろ周到に希望の芽を摘みまくってるのが酷い。真昼の遺言を見て決断した辺りで、少なくとも、本気で人類皆殺しを考えているわけではないと思うのだけど……。
しかし、真昼の遺言は、サクラと錬宛てだったハズなのに、錬は見せてもらってないばかりか、トバッチリ受けまくりで、さらに、なじられるとか、錬が不憫すぎるなっ!! てか、フィアはどうなる!?
[ 2014.12.20 ]