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オーバーラップ オーバーラップ文庫
最果てのパラディンI 死者の街の少年 /柳野かなた -
リーダビリティ溢れた筆致でぐいぐい読ませる文章、素晴らしいよっ!! 内容は、べたべたな異世界転生モノで、冒頭、転生前の屑ニートなプロローグは、いかにも地雷臭が漂いまくっていて酷かったのだけど、本編に入ってからは、むしろ堅実な作りが魅せる異世界ファンタジーだよなっ。
そゆわけで、なろう系の異世界転生モノ、しかも、ベタにベタを重ねたような内容で、引きこもりの屑ニートが異世界で人生をやり直す物語。や、「そんな知識と性格だったら、前世でもニートにならなかったんじゃないか?」とか「そんな前世の記憶があったら、まっとうな人間に成長できないよな」とか、異世界転生モノの根本的な部分に違和感を感じてしかたなかったのだけど、そこは気にしたら負けか。高い文章力とベタで堅実な展開が特長的。人里離れた廃墟でアンデッドの三人に育てられる前世が屑ニートな人間の子供という構図なのだけど、舞台と登場人物をうまく限定しつつ、謎を散りばめて興味を持たせる展開が素晴らしいわ。
今回は、生まれ変わった赤ん坊が成長して親元を旅立つまでを描いてるけど、次は、よくある異世界ファンタジーのように広く異世界を旅しながら騒動に巻き込まれるような話になるのかしらん。舞台と登場人物を小さく限定したところが上手い部分の一つだと思ったのだけど、普通に広い世界に旅立ったら、さて、続きはどうなるかしらん?
[ 2016.07.16 ]