最果てのパラディン


オーバーラップ オーバーラップ文庫
最果てのパラディンI 死者の街の少年 /柳野かなた

リーダビリティ溢れた筆致でぐいぐい読ませる文章、素晴らしいよっ!! 内容は、べたべたな異世界転生モノで、冒頭、転生前の屑ニートなプロローグは、いかにも地雷臭が漂いまくっていて酷かったのだけど、本編に入ってからは、むしろ堅実な作りが魅せる異世界ファンタジーだよなっ。

そゆわけで、なろう系の異世界転生モノ、しかも、ベタにベタを重ねたような内容で、引きこもりの屑ニートが異世界で人生をやり直す物語。や、「そんな知識と性格だったら、前世でもニートにならなかったんじゃないか?」とか「そんな前世の記憶があったら、まっとうな人間に成長できないよな」とか、異世界転生モノの根本的な部分に違和感を感じてしかたなかったのだけど、そこは気にしたら負けか。高い文章力とベタで堅実な展開が特長的。人里離れた廃墟でアンデッドの三人に育てられる前世が屑ニートな人間の子供という構図なのだけど、舞台と登場人物をうまく限定しつつ、謎を散りばめて興味を持たせる展開が素晴らしいわ。

今回は、生まれ変わった赤ん坊が成長して親元を旅立つまでを描いてるけど、次は、よくある異世界ファンタジーのように広く異世界を旅しながら騒動に巻き込まれるような話になるのかしらん。舞台と登場人物を小さく限定したところが上手い部分の一つだと思ったのだけど、普通に広い世界に旅立ったら、さて、続きはどうなるかしらん?

[ 2016.07.16 ]


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最果てのパラディンII 獣の森の射手 /柳野かなた

1巻は、アンデッド3人と主人公のみという尖がった舞台設定だったので、2巻はどうするのかすごく不安だったのだけど、うわっ、マジにスタンダードなファンタジーになってる。旅をして仲間を集め協力して中ボスを倒すという、いや、ここまで普通に振ってくるのはすごいな。

そんなふつうのファンタジーになった2巻だけれども、堅実な筆致で相変わらずおもしろい。丁寧にフラグを立て伏線をはって回収していく物語づくりは、ほんと素晴らしいね。常人離れして強い主人公ウィルの扱いもうまいな。でも、タイトルを回収して、とりあえず北の大陸に行くような感じもあるのだけど、続きはどうするんだろ?

それにしても、あくまで萌え要素は排除していく方向か。メネルなんて、ふつーであればヒロインポジション以外ありえないだろっ。

[ 2016.08.01 ]


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最果てのパラディンIII<上> 鉄錆の山の王 /柳野かなた

良い意味で王道、良質なファンタジーになったなぁ。今回は、これまた王道な竜退治の前編。仲間とともに《獣の森》に巣食うキマイラを倒して二年、新たな街を発展させるなど領主として活躍する中、邪竜復活の啓示を受け……、と、この上巻は竜退治に旅立つまでなのだけど、ウィルでは万に一つも勝てる見込みのない強大な敵との闘いに赴く決意を丁寧に描く内容で、これは素晴らしいファンタジーです。

二年経って、ウィルはともかく、メネルが大幅にレベルアップしてたのは、ちと都合が良すぎる気もしたのだけど、まあ、仲間にも恵まれながらも、女っ気がないのは相変わらず。あくまで硬派に進めるつもりかっ。なにはともあれ、同時刊行されている下巻も、引き続き楽しみだぜっ!!

[ 2017.01.05 ]


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最果てのパラディンIII<下> 鉄錆の山の王 /柳野かなた

どうにも女っ気がないと思っていたのだけど、そういう展開かいっ!! 元はなろう発の良質な正統派異世界ファンタジー。今回は、圧倒的な力を見せる邪竜討伐なのだけど、主人公の懊悩と決心を描きつつのその後の熱いバトルが素晴らしいな。

神によって勝ち目のない戦いであることが啓示されたり、ガスによって話し合いによる解決が示唆されたり、どう考えても強すぎる敵に対して搦め手で攻めるのかと思ったら、まさかの正面から乗り越える展開で、これは熱すぎるっ!! 道中、美人エルフが仲間になったり、前巻でメネルが大幅に強化されたりしてるのに、結局、ウィル一人の闘いとして完結していて、王道だけど、これはどういう(^^;。

しかし、ここで最強レベルの邪竜を倒してしまうと、あとはそれこそラスボスの《上王》ぐらいしか敵がいないような気がするんだけど、続きはどうするんだろ? まあ、強敵を出せばいいというもんでもないんだろうけど。

[ 2017.01.07 ]