2025年 8月 25日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ 楽園ノイズ(7) /杉井光 -
久々に『さよならピアノソナタ』を読み直したのだけど、思っていた以上に青春して恋愛してたんだなぁ。それに比べて『楽園ノイズ』は、徹底的に音楽モノだよね。……とかいいつつ、今回は、水着回なんだけど(^^;。
そういうわけで、杉井光の青春音楽ストーリー。今回は、海辺のスタジオで夏合宿っ!! 相変わらず、真琴とヒロインたちの掛け合いが愉快で楽しく、インディーズながらもアルバムを作り上げていく展開も眩しいのだけど、ただ、その底辺で楽しい時間の終わりを確信し、そればかり意識している真琴が切ないよね。楽しい時間のはずなのに、終始、物語が終わりそうな雰囲気しかない。キョウコ・カシミア、神楽坂先輩からフェケテリコの解散の話が語られるけれど、『さよならピアノソナタ』と違って『楽園ノイズ』は、ほんとに真摯に音楽モノなんだよなぁ。
そういう風に終わりそうな雰囲気を出しつつ、そして、このファーストアルバムのタイトル。このままエンドロールが流れても不思議ではないラストではあるのだけど、あと、この物語はどのくらい続くんだろうか?
[ 楽園ノイズ ]
2025年 8月 31日
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集英社 集英社文庫
◆ 神曲プロデューサー /杉井光 -
雑誌「小説すばる」に2011年〜2013年にかけて掲載されていた作品で、音楽業界で売れずに何でも屋として生きている青年とカリスマ歌姫の恋愛のようで恋愛でない物語。いやまあ、『楽園ノイズ』に登場する蒔田シュンと海野リカコの物語なんですけどね(^^;。
「小説すばる」掲載ということで、『さよならピアノソナタ』や『楽園ノイズ』のような高校生メインの青春小説というわけではなく、主人公の蒔田は30歳。ただ、作中で「高校生からかわらない」と言及されてるように、ぜんぜん大人らしい主人公を描くつもりがなくて、もう、いつもの杉井光の主人公ですよ。というより、いつも以上にヘタレで大人な感じはしないよなー。
まあ一応、大人らしいところもあって、それは、音楽が生活費を稼ぐ手段になってる辺りか。ここら辺は、生活が保障されている高校生とは明らかに違う。特に蒔田は、音楽が好きで業界に進んだわけではなく、バイトで雑誌社に入ったら、作ってる雑誌がたまたま音楽系で、そこで雑用をこなすうちに何でも屋のような立ち位置になったという来歴。あくまで音楽は仕事の延長なんですよね。
『楽園ノイズ』では、すでに亡くなっている蒔田だけど、いやぁ、前の作品の主人公を殺すとかすごいな、杉井光。てっきり、『神曲プロデューサー』で病気の描写みたいなものでもあるのかと思っていたのだけど、死にそうな要素はなんもないんだよなぁ。
しかも、蒔田が亡くなったのは『楽園ノイズ』の前年。『神曲プロデューサー』のラストから亡くなるまで10年ぐらいあるはずなんだけど、『楽園ノイズ』を読む限り、その10年で音楽的な業績を残しているわけではなく、リカコとの仲が進展してるようでもない。『神曲プロデューサー』では着実に実績を重ね、関係を深め、これからも未来があるように描かれていたので、さすがにこれはちょっと。せつなすぎるだろ……。
[ 神曲プロデューサー ]




