楽園ノイズ


KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ /杉井光

杉井光十八番の青春音楽ストーリー。杉井光らしく女々しい主人公が、杉井光らしく癖のある女の子たちに引っ張られながら音楽を奏でていく……。めちゃくちゃ杉井光らしい内容で、もちろん杉井光らしい傑作に仕上がってます。素晴らしいっっっ!!

とにかく杉井光らしさ満載、いつもの杉井光なんだけど、強いて目新しさを上げれば、主人公が自作の音楽をネットに上げてるYutuberってとこか。再生数稼ぎに女装して演奏したら、音楽教師にバレてこき使われるようになる展開。ただ、せっかくの女装ネタなのに、あくまで切っ掛けとしてしか使われてないのはちょっと惜しい。そんな主人公の仲間になっていくのは、天才的なピアニストの凛子やドラマーの詩月といった一癖ある女子高生たち。彼女たちとハーレム的なバンドを組んでいくのも完全にパターンなんだけど、彼女たちもちょっと掘り下げが弱いんだよなー。一冊では、絶対ぜんぜん紙幅が足りてないだろっっっ!! あー、内容的には一冊で綺麗に纏まっているのだけど、シリーズ化はしないのかしらん? まあ、掘り下げの弱い彼女たちに代わって、この作品のヒロインは完全に華園先生で、というか華園先生は完全に卑怯すぎるだろっ。感動すぎて泣くぞっ!!

キャラの掛け合いと音楽を絡めた描写はほんとに秀逸で、その中でも音楽に関しては、WANDS の“Same Side”の扱いが非常に印象的でした。ネットで検索して聴いてみても、音楽に対する感受性のない私には、いまいちよくわからんかったけれど(^^;。

[ 2020.05.26 ]


KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ(2) /杉井光

杉井光節っ!! やっぱ、青春音楽モノを書かせたら、杉井光はめちゃくちゃおもしろいわっ!!!!

1巻が綺麗に纏まっていたので、まさか続編が出るとは思わなかった。シリーズ前提だったのか。杉井光らしい主人公と天才的な演奏センスを持つヒロイン三人の高校生バンドを描いた青春音楽モノ。内容的には、家族関係のイベントも発生するのだけど、それはわりとどうでもよくて、キャラ達がわちゃわちゃ会話しているだけで、すげーおもしろい。そして、杉井光の筆致が、やっぱり最高っ!!

ただ、1巻でキレイにまとまっていただけあって、アレから続いても大きなストーリーがよく見えないな。まあ、キャラ達がわちゃわちゃしてるだけでダラダラ続いても、それはそれでありな気もするけれど。メジャーデビューする方向で進むのかなぁ。

[ 2021.05.17 ]


KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ(3) /杉井光

安定の杉井光で、ほんと杉井光の音楽と青春をベースとした切ない物語は最高だな!!

『楽園ノイズ(3)』も三冊目、今回は、新メンバー加入。新メンバーは主人公の真琴とポジションが被るベーシストで、バンドの危機か? という内容。まあ、例によって、真琴がグダグダしてるだけですが(^^;。

イベントとしてクリスマスがあったりするので、いつもよりラブコメ的な感じが強いのだけど、そのせいで、いつも以上に真琴の華園先生推しが強調されて酷いな(笑)。ただ、蒔田さんの仕込みはうまいのだけど、ライブ前の華園先生のアレコレはちょっと微妙な気がするなぁん。

続刊前提だからだと思うのだけど、ちょっと尻切れというかいろいろと終わっているわけではないのが残念。ちゃんと続きは出てくれるのかなぁ?

[ 2021.09.20 ]


KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ(4) /杉井光

杉井光の青春音楽ストーリー第4弾。今回は、短編と中編の2作構成。正直ちょっとバランスが悪い。っていうか、短編集っぽい構成だったせいもあるんだろうけど、PNOとしてバンド活動してないじゃん。今から活動再開、みたいな導入だったのに(^^;。

まあ、ストーリーとしては番外なんてことはなく、今回は、伽耶の受験を絡めた青春らしい将来の悩みを軸とした物語という感じ。相変わらず、漫才のようなキャラの掛け合いがとにかく楽しい。そして、これだけヒロインがたくさん絡んでくるのに、正ヒロインは、やっぱり華園先生なんだな。次巻は二年生かー。

それにしても、黒川さんはともかく、蝶野さんは今後どう絡んでくんだ? 今回だけの出演っぽくはないよね?? いやー、毎回ゲストキャラが出てくる連作短編のような作りなので巻が進むにつれて関係者は増えていくんだけど、主要キャラ以外のキャラとの絡み方はわりと中途半端な感じで、全体の軸になるストーリーが見えないんだよなぁ。まあ、キャラが漫才してれば楽しい作品ではあるのだけど。

[ 2022.03.14 ]


KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ(5) /杉井光

華園先生のヒロイン力っ!! ……って、最終巻でもないのに、この展開使っちゃうのか。ええっと、こうなると、作品のテイストも微妙ながらも決定的に変わる気がするんだけど、次回から、大丈夫なの!?

今回の『楽園ノイズ』はホワイトデーから伽耶の卒業にかけて。大きな音楽イベントがあるわけではなく、オムニバス的に、朱音、詩月、伽耶、凛子と一人づつにフィーチャーして、真琴が彼女たちをあくまでバンドのメンバとしてしかみてないことを強調してからの、華園先生への想いの深さを見せつけるという、なかなかえげつない展開。でも、そこまでやってるのに、大きな変化を感じさせるものではなく、読後感は良くも悪くもフツーでしかなく、なんかもったいないなー。てか、ほんと次回から、どーすんの?

うーん、ちょっと反応に困る今回の内容だったけど、本筋と関係ないところで、ラストエピソードでの生徒会長の祝辞が凄く良いメッセージだった。そう、高校の三年間ってそういう時間だよな。これは、全ての高校の新入生に届けたい言葉だと思う。

[ 2022.09.05 ]


KADOKAWA 電撃文庫
楽園ノイズ(6) /杉井光

あとがきでは、コンクール対決が中核のように書かれているけど、どう考えても、真琴の、いや、物語としてもスクラップ&ビルドを目指したお話。このまま完結してもいいような、非常に素晴らしい読後感で、それはある意味いつも通りだけど、まだまだ続くよね? PNOや華園先生との関係も大きく変えそうな予感を感じさせつつ、物語としては着地点が見えない。アーティストとしては、すでに、凄い領域にまで到達してると思うので、このあとどうエピソードを作っていくんだろうか。

とにかく、今回で、伽耶も後輩として入学してきて真琴たちも二年に進級。進級したばかりなので、いろいろイベントはあると思うのだけど、ほんと、どこに進むんだ、この物語?

[ 2023.05.22 ]