福音の少年
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 魔法使いの弟子 /加地尚武 -
おもしろい、おもいろい。なんといっても、各キャラクターたちが生き生きと描かれているのが良いねぇ。元は、[TVA]『エヴァ』の二次創作でしたっけ? ……って、元になった二次創作『錬金術師ゲンドウ』は、まだ、Webで公開してるのかー。ざっと『錬金術師ゲンドウ』を読んでみると、大枠は変わらず、名前の置換&大幅な加筆修正といった感じかしらん?
錬金術師の父と魔女の母を親に持つ地味な少年・御厨恵は、父に造ってもらった全長15cmのホムンクルスの少女・アナに夢中。さらに、ドイツからやってきた上級魔女・エリカも同居するようになって、御厨一家は今日もにぎやか。という感じのホームコメディ。いやぁ、どこかで見たようなとぼけたキャラクター達が、ホントに魅力的。『エヴァ』の雰囲気を残しつつ、それでいて、『エヴァ』のキャラとは異なる魅力を持つ生き生きとした別個のキャラとして、きちんと成立してるのよねぇん。そして、1910年のハレー彗星の来訪により魔法がもたらされた世界という設定も、なかなかに Goodです。ストーリーは、短編を無理矢理繋げて一つの長編に見せかけてるような部分があって、そこは気になるのだけど、まあ、まだ序盤だからなぁ。続刊に大期待っ!!
[ 2007.06.20 ]
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 闇の王子 /加地尚武 -
シンジ恵が、いい感じで“漢”してるなぁん。二人の女の子に時にはエッチに振り回されつつ、気弱なりに芯のあるところをみせる少年。きちんと各キャラの気持ちの変化も描いていて、いやぁ、非常に良質の恋愛モノだわぁ。そして、ラブコメなだけでなく、ストーリーも盛り上がる盛り上がる。細かな『エヴァ』ネタや、歴史のifの小ネタの扱い方も楽しくて、ほんと、めちゃおもしろいっ!!そゆわけで、魔界からやってきた「闇の王子」こと、
カヲル光、登場。圧倒的な力を持つにもかかわらず、正体を隠して恵に近づく光の目的とは?といった内容。とにもかくにも、アスカエリカ大活躍っ!! ツンデレ万歳っ!! いやぁ、まさに見本のようなツンデレぶりが、非常に素晴らしいです。ツンデレらしく、美味しいところはレイアナに持っていかれてしまうところなんざ、涙なしには読めません(笑)。ほんと良質なラブコメで、めちゃくちゃ面白い。ただ、伏線かと思ったらスルーしまくりだったりと、とにかく無駄が多い構成は、さすがに酷いと思うぞ。まあ、ストーリー自体は、めちゃくちゃ面白いからいいんだけど。……とにかく、次巻もエリカが楽しみですっ!!
[ 2007.08.21 ]
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 虹のウロボロス /加地尚武 -
うわっ、いきなりスケールが大きくなってるなぁ。そして、少年の成長物語として、非常に綺麗で良質になってますよっ!! なんといっても、ぐいぐいと読ませる展開が、めちゃくちゃ面白かったです。……でも、その分、今までの恋愛&ホームコメディ的な部分は、ほとんどどこかに行ってしまってるんですけどぉ~。
魔法使いの最高位「ウィザード」に就任してしまった恵。その地位と影響力を実感せぬままの軽率な失言で、世界は大混乱に叩き落される……。というわけで、平均以下の中学生が、自ら引き起こしてしまった大事件に、はじめは呆然となにも出来ず、やがて立ち向かう中で成長していく、という良質な成長物語。アナもエリカも出番が減ってしまって、恋愛&ホームコメディ的な部分が弱くなってしまったのは残念だけど、これはこれで、非常に面白かったです。……しかし、ここまで恵が成長してしまうと、今まで通りにはストーリーは進められないと思うのだけど、特に、アナやエリカとの関係は、どうするつもりなんだろう。
[ 2007.10.12 ]
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 王立図書館十字軍 /加地尚武 -
だははははっ、トールキンにラブクラフトかよっ!! ネタの仕込みは楽しく、ラストは感動的で好きなんだけど、……ただ、あからさまに下手だよなぁ。むしろ、未完成品? や、シーンの要/不要の選択が不十分だったりしてストーリー構成が明らかに酷い。まあ、このシリーズはもともと構成は酷いんだけど(^^;、この巻はなおさら酷い部分が目立ってしまっている感じ。
そゆわけで、仮想の書架世界を管理する姉妹たちは、皆、眼鏡っ娘。そんな、眼鏡っ娘たちにピンチが迫る、という話。まあ、前巻で、世界を巻き込む大きな話を描いてしまったので、続きは書きにくいだろうなぁ、とは思っていたのだけど、やっぱし、しんどいなぁ。構成も酷いし、キャラの魅せ方も微妙。せっかく、楽しいネタをいろいろ仕込んでるのに、もったいない。正直、あまりに完成度が酷く、出版するレベルになってないと思ったんだけど、もうちょっと、なんとかならなかったのかしらん?
[ 2007.12.14 ]
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 放課後のアポストロス /加地尚武 -
恋する三つ編み眼鏡っ娘登場っ!! あとがきによると、次の次が最終巻。いかにも、ラストへ向けた序章といった続きを期待させるような内容で、いやぁ、面白かったです。
アナをストーキングしていた盛本拓哉は、偶然、魔法使いに対抗できる“力”を手に入れる。その“力”はネットを通じて拡散し、やがて、世界中で魔法使いとの対立を生み出していく……。と、前巻の完成度があまりに酷かったので、正直、期待せずに読んだのだけど、思った以上に楽しかったです。まあ、相変わらず稚拙な部分は目立つのだけど、すげー今後の展開を煽る内容になっていて、おもしろいおもしろい。いやぁ、元が [TVA]『エヴァ』の二次創作だからネタとして当然かもしれないケド、キリストかよっ!!みたいな。まあ、今回はあくまで仕込なんで、結局のところは、続き次第ではあるんだけど、とにかく、期待しちゃいます。
[ 2008.02.16 ]
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 時の神に抗いて /加地尚武 -
魔法使いvs憑かれた者の最終戦争っ!! いやぁ、盛り上がる盛り上がる。すっげーおもしろかったっ!!
緊張が高まる世界情勢。黙示録に予言された最終戦争を防ぐことは出来るのか? という感じで、いかにも最終巻間近といった、テンション高く怒涛の展開っ!! とにかく、ぐいぐい引き込む&一気に読ませるストーリーが、めちゃ面白かったです。まあ、前中盤では構成が悪くシーンで意図した効果が十分に発揮されてなかったり、肝心の後半の山場ではいまいち描写が弱かったりと、既刊と同様、やっぱり完成度は低いんだけど、それを気にさせないぐらい、ストーリーに引き付けられましたっ!! いやもう、次回で最終巻ということで、すごく楽しく盛り上がってます。そして、急展開のラストシーン。次もめちゃ期待していますっ!!
[ 2008.04.17 ]
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徳間書店 徳間デュアル文庫
福音の少年 闇と光を統べるもの /加地尚武 -
このスケールの大きさは凄いなぁ。……ただ、結局ラストまで、完成度は低いまま。いや、このスケール感だけで、十分おもしろくはあるものの、さすがにここまで完成度が低いと、編集の人がなにを仕事しているのか、疑問で疑問で仕方が無い。ていうか、間違いなく、編集の人のチェック入ってないでしょ(^^;。
エヴァの二次創作として始まったこのシリーズも、いよいよ最終巻。憑かれた者との戦いでウィザードとしての力を失った恵は、魔力を取り戻すための旅に出かける……。という感じなのだけど、この最終巻は、正直、読者置いてけぼりで、ぽかーん。いや、このシリーズは、もともと、単に作者が書きたいものを、そのまんまシーンの取捨選択もなしに垂れ流してる風なところがあったのだけど、この最終巻は、なおさらその傾向が強いのよ。シーンを整理して構成をきちんと組み立てれば、最終巻にふさわしく、もっと凄く盛り上がって面白くなっただろうに、もったいないっ!! ……まあ、スケールの大きなラストは、いかにも面白かっただけに、こー、素人が見てもいくらでも改善の余地がある完成度でしかないのは、とにかく、もったいなくて残念だなぁん。
[ 2008.08.14 ]