魔法少女育成計画


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 /遠藤浅蜊

魔法少女でバトルロワイアルって、なんという悪趣味っ!! いや、『魔法少女まどか☆マギカ』を経て、来るべくして出てきたような作品なのだけど、ゲスいというか、溢れ出る悪意が素晴らしすぎるっ!!

N市で活躍する魔法少女は16名。ある日、マスコットのファヴから、魔法少女の人数を半減しなければならないと聞かされ……。というわけで、人の役に立つために活躍していた魔法少女たちに、悪意やエゴを剥き出しにさせ、やがて互いに殺し合いをはじめるように仕向けられるという話。『まどマギ』のキュウべえに着想を得た作品だと思うんだけど、キュウべえはそもそも倫理観が人間と異なる、という感じだったのに対し、こちらのファヴは、倫理観が壊れて明確な悪意を持っているというのが特徴。魔法少女たちを殺し合いさせるように導くさまは、ほんとえげつないっ!!

ラストもカタルシスや救いがあるわけでもなく、ほんと酷い。だからこそ、素晴らしい。まあ、もうちょっと純真無垢で正義感あふれる女の子たちが堕ちていく様に焦点を当ててくれていれば、なお良かったんだけど、魔法少女といいつつ、わりとはじめから利己的で、魔法少女のステレオタイプから外れる子が多かったのは、物語を動かす上で、仕方なかったのかしらん。……まあ、それはともかく、騙し出し抜く心理戦を交えた魔法少女たちのバトルと救われない展開が、最後まで手に汗握り夢中に読ませる内容で、ほんと面白い作品でした。

[ 2012.07.05 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 restart(前) /遠藤浅蜊

これはゲームであっても遊びではない

いや、もともと、ソーシャルゲームが入り口になってる設定だったけど、今回は完全に次世代MMORPGやね(^^;。どう「restart」するのかと思ったけれど、きちんと前作からの続編で、今回のゲームもきちんと前回の事件が原因であるらしいのは素晴らしいな。前作同様、運営により殺し合いを強いられる魔法少女たち、という構図は変わらず。なんか、マジにデスゲーム。ただ、前編だけではぜんぜん全体像は見えない、見せないようなつくりだし、傑作となるか駄作となるかは後編次第かしらん。

しかし、マジカルデイジーがせつない。青春の全てを魔法少女活動にささげ、ふと振り返ると、友人もなく金もない地味で華のない大学生が一人……。そして、主人公格のペチカのウジウジとした性格が、微妙にイラついたりするわけですが(^^;。……どちらにしろ、ホント、来月発売予定の後編が楽しみだっ!!

[ 2012.11.11 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 restart(後) /遠藤浅蜊

スノーホワイト、たくましくなったなぁ。

魔法使いが殺し合いを強いられるデスゲーム。一人、また一人と、脱落していく少女たち。と、相変わらず、悪趣味な物語だけど、概ね予想通り、期待通りの展開で、おもしろかったっ!! まあ、王道的な展開は好きなんだけど、変化球あるネタだったので、もうちょっとインパクトある展開があってもよかったかな、と、正直ちょっと思うけど(^^;。……魔法少女たちの物語の中でもペチカがほんと良かった。ペチカの物語は、サイドストーリー的に、一冊にして文庫化して欲しいぐらいだなぁ。そして、のっこちゃんの生き様がかっこよくて泣けるっ!!

[ 2012.12.16 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 episodes /遠藤浅蜊

『魔法少女育成計画』『魔法少女育成計画 restart』で出てきた 33人の魔法少女それぞれの日常を描いた短編集。只でさえ登場人物が多い作品で、その一人一人に焦点を当てようとした力作に、ただただ脱帽。すげーよ。

どの短編もそうだけど、死んでいった少女たちの、幸せだったり懸命に生きていた日常を描いたものなので、とにかく読んでて切ない。ただ、一編一編は短いし、広がりようもない話が多いので、単体の物語として面白いというわけではなく、あくまでオマケというかファンサービスだよなぁ。ねむりんとか、トップスピードとか、ほんと切ないなぁ。

[ 2013.05.11 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 limited(前) /遠藤浅蜊

積んでるうちにアニメ化も決定してた『魔法少女育成計画』。傑作アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のフォロワー的な作品だけど、この『limited』も相変わらずエグイなー。いかにもマスコットキャラに騙されて魔法少女にされた七人の少女たち。さて、今回は、何人生き残るんだ?<をい

騙されて魔法少女にされた少女たちと、騙したマスコットキャラたちを追う魔法の国の捜査官たち、さらに、真に凶悪な魔法少女たちも加わり、この三つの勢力が戦う三つ巴の密室バトル。歴戦の魔法少女たちの中で、新人魔法少女たちもなんとか頑張ってますな。でも、魔王パム、どこの鬼教官だ(笑)。今回の魔法少女たちの中でも、なかなかいいキャラだ。

しかし、以前読んでからしばらく経ってるので、いまいち以前出てたキャラは忘れているな。や、基本、一話完結なので、忘れててもそんなに支障はないのだけど。そもそも、魔法少女の総数が多すぎて覚えていられない問題。そいえば、今回、シリーズ全体の主役的な立ち位置だったスノーホワイトは出てこないのかなー。リップルはいまいち印象ないぞ。<をい

[ 2016.02.15 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 limited(後) /遠藤浅蜊

えぇ~~~~~、もっと惨たらしく残虐に拷問するんじゃなかったのぉ。

まあ、そんな期待ハズレだったトコは別にして、ホントえげつないな、このシリーズ。ファニートリックの魔法とか、よくそんな恐ろしい攻撃を思いつくなぁ。そんな残虐な魔法、どう見ても、魔法少女の使うタイプの技じゃねぇ。そこまでやらないと倒せないプキンは、不自然に強すぎて、作者の悪意を感じる(^^;。プキンと同格のような描かれ方をしてたソニアや魔王パムに比べても、めちゃくちゃだろ。ここまでの強さは、意地でも殺す気満々すぎるっ!!

そして、エピローグが愉快すぎるっ。お前が黒幕かっ!! ……しかし、リップルは、ホント悪意の塊だな、この作者っ!!

[ 2016.02.18 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 JOKERS /遠藤浅蜊

もやもやしたまま終わってしまったのだけど、これも作者の計算か。むしろ、今後への布石的な巻だよね。

魔法の国に所属しない、人造魔法少女登場。その人造魔法少女の秘密を探るために、謎のメールで集められた魔法少女たちは……。と、はじめから、いかにも死にそうな人造魔法少女たちとプリズムチェリーが泣ける(T-T)。や、相変わらず、大した見せ場も与えられずに、雑に殺されていくのが凄い。それでこその『魔法少女育成計画』っっっ!! 久々のスノーホワイトのメイン回だけど、ただ、大活躍という感じでもなく、いまいち物足りないかなぁ。ぼかした結末で、プフレやフレデリカがなにを暗躍しているのかもわからず、いまいちすっきりしない。続きを読めば、もやもやは解消されるのかしらん。

[ 2016.10.14 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
魔法少女育成計画 ACES /遠藤浅蜊

おおう、いつの間にか、「魔法の国」を巡る大きな話になってる。今までみたいに精神異常な魔法少女が殺戮を繰り返すだけの話じゃなくなってて、その分、魔法少女が虫けらのように死ぬ展開が少なくなってるな。少なくなっただけで、死ぬんだけどね。<をい

今までは、各巻毎の繋がりは弱かったのだけど、今回は、前回『JOKERS』をプロローグとした大きな物語の序章みたいな話になってるのんね。あくまで序章みたいな感じなので、ぜんぜん全体像が見えね~。「魔法の国」の礎たる三賢人。その三人の賢人に人事部門長のププレを加えて、「魔法の国」を巡る大きな話になっていくんだろうけど、てか、前回死んだグリムハートが「魔法の国」のトップ3の一人だったんかいっ。ププレも、三賢人の一人プク・プックも、どういう企みで動いているのか、さっぱりわからず、どうなるんだ、これ? 一方で、主人公たるスノーホワイトとリップルも、うわわわぁぁぁ。人造魔法少女の生き残り、プリンセス・デリュージの行く末も含め、とにかく続きが気になるわぁ。

[ 2016.10.30 ]