輪環の魔導師


メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師 闇語りのアルカイン /渡瀬草一郎

渡瀬草一郎の新シリーズは良質なファンタジー。いかにも長編シリーズの第1話といった作りは、ちょっと手堅すぎるようにも思えるのだけど、設定やキャラの見せ方は、やっぱ上手いなぁ。非常に期待できそうなシリーズです。

身分の違いに悩む二人の幼なじみ、見習い薬師・セロと貴族のお嬢様・フィノ。ある日、フィノの養父でセロの雇い主でもあるオルドバの元に、王立魔導騎士団が派遣される。王立魔導騎士団の隊長・ハルムバックは、セロの祖父が遺した魔導具に興味を示すが……。という感じで、幻の魔導具「還流の輪環」を軸に、翻弄される二人の幼なじみ、という話。いやぁ、魔導具を含めたファンタジーな世界観がきちんと作りこまれていて、なかなか魅力的。そして、キャラクタも、セロへの想いが病的なフィノがいいねぇ。まあ、この第一巻はあくまで導入なので、シリーズとしての面白さは今後次第だと思うのだけど、ホントに続きを期待させますっ!!

[ 2007.11.11 ]


メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師2 旅の終わりの森 /渡瀬草一郎

ヤンデレ、ヤンデレっ!! 相変わらず、フィノの黒くて病的な恋ごころは魅力的だなぁ~。そして、セロの天然の女ったらしぶりの素晴らしいこと素晴らしいこと(笑)。

そゆわけで、シリーズ第二弾。ロンバルドに到着したセロ、フィノ、アルカインのパーティーに、アルカインの仲間達は無事に合流できるのか? という話。相変わらず、キャラが魅力的で素晴らしい作品ですなっ。ただ、わりとシビアな情勢だと思っていたのだけど、緊張感の欠片もなく、のほほんとした展開になってるのは、どうよ(笑)。まあ、今回まではキャラ紹介的な要素が強いのだろうし、本格的に物語が始まるのは、次からかしらん?

[ 2008.03.15 ]


メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師3 竜骨の迷宮と黒狼の姫 /渡瀬草一郎

あああぁ、姫様登場で、フィノは、もっと激しくヤンデレ化すると思ったのにっ!! 裏切ったなっ!! 僕の期待を裏切ったなっ!!

……って、十分、フィノはヤンデレだという説はありますが(^^;。

魔族から逃げ延びたイリアード姫を保護するため、邪教の曰くつきの地下迷宮へ。という感じのストーリーはともかく、やはり楽しみは、我らがヤンデレ、フィノ様。いやもう、この物語は、ひたすらセロの周りの女性関係を描いていれば良いと思うよっ。病んでる風のキャラの多い作品だけど、その中でも、やっぱりフィノ様が一番だよね。ビバっ、フィノ様っ!! ……で、物語の方は、ヤンデレ化を含め、いろいろ期待させるだけさせておいて、結局、スルーしまくりで、しょぼん。物語の作りとしては、ちょっと酷いと思う。

[ 2008.07.14 ]


メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師4 ハイヤードの竜使い /渡瀬草一郎

フィノ怖いよフィノっ!! ヤンデレ! ヤンデレ! とにかく、ヒロイン役のフィノの黒さが目立つ、……というか、フィノの黒さしか記憶にないよっ!!

連れ去られたイリアード姫を救うため、王都を目指すセロたち。王都の手前の街・トラファードに立ち寄った一行は、セロの師匠・アネットと出会う……。という感じで、セロの師匠が、ふつーに若い女性であるという驚愕の事実っ!! そして、アネット登場で、いっそう燃え上がるフィノの嫉妬心っ!! いやぁ、一応、西天将・ルナスティアとの決戦間近というのに、のほほんとした雰囲気で、なんだか緊張感がないのはどういうことだろう。これでは、連れ去られたイリアード姫の立場は(笑)。いやもう、マジに、フィノが素晴らしいなぁん。

[ 2008.10.16 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師5 傀儡の城 /渡瀬草一郎

いよいよアルカインたちと西天将・ルナスティアとの最終決戦。ルナスティアに捕らえられたセロとフィノの運命は? ……という感じなんだけど、なんだか、いきなり新事実や過去ネタが開示されまくりで、王都奪還編のクライマックスというより、むしろ、続く第二部への仕込みになってしまってるのは、どうよ(^^;。いや、これはこれで十分おもしろかったし、今後への期待も倍増ではあるんだけど、こー、クライマックスの前に、「第二部はもっと凄いぞっ!!」みたいな展開は、やっぱ盛り下げる効果が強いので、ちとガッカリ。

[ 2009.03.09 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師6 賢人達の見る夢 /渡瀬草一郎

西天将・ルナスティアとの戦いも決着し、ひとときの安寧を得るセロたち。しかし、世界では、魔族だけでなく聖教会もセロを狙い暗躍をはじめていた……。という感じで、新章スタートなわけだけど、うわぁ、聖教会が巨悪すぎるよ、聖教会っ!! 魔族なんて、目じゃないぜ。

まあ、とにもかくにも新展開で、なにはともあれ今後に期待。しかし、いきなり物語のスケールが広がって凄いんだけど、もしかして、渡瀬草一郎の別作品とも繋がっていくのかしらん。未読の『パラサイトムーン』とかも読んだほうがいいんだろうか……。

[ 2009.07.17 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師7 疾風の革命 /渡瀬草一郎

女性陣の壊れ方が酷いことに。ヤンデレの感染力すげーよ(笑)。そして、ラストの展開の熱いこと熱いこと。敵味方入り混じった展開がすげぇ~~。

セロ一行は、エルフールを離れ、内乱が激化しつつあるサイエントロフへ。内乱への介入を進める魔族と聖教会、そして、セロたちの選択は? という感じで、最近は、必ずしも魔族が悪で六賢人側が正義ではないよ、という方向性が示されてたけど、いよいよ、敵味方入り混じった展開に。まあ、正義と悪という話だけでなく、もうちょっと政治的な話が絡むともっと深みが増すと思うのだけど、なかなかそこまではやらないか。……とりあえず、サイエントロフ編の序章としては、状況設定&説明がメインの巻だったけれど、めちゃ盛り上がるラストで、今後も非常に楽しみですっ!!

[ 2010.04.27 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師8 永き神々の不在 /渡瀬草一郎

がはっ、怒涛の展開すぎるぅ~~~。や、あとがきによると残り二巻ということで、魔族の親玉が出てくるわ、凄い展開だな。魔族、六賢人入り乱れての戦い。見え隠れするセロやフィノの過去。そして、ラストの展開がうわぁ~~。……加速する物語に、さっぱり先の展開が読めないのだけど、どうなるんだこれ?

[ 2011.01.13 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師9 神界の門 /渡瀬草一郎

うおおおぉぉぉぉっ、なんという怒涛の展開っ!! “神界の門”が開き、異形の神々の来訪。世界そのものが滅亡の狭間に……。物語もいよいよクライマックスということで、とにかくすっごい展開だな。盛り上がる盛り上がる。もう、あまりの怒涛の展開に、登場したばかりの魔族の人も一気に影が薄くなってる~。六賢人の人も役に立ってねぇ~。そしてその中で、セロとフィノはマイペースだなっ!! 神登場でも、あくまでヤンデレ、素晴らしい~。いやぁ、いまだ着地点が見えない展開が、ほんとに凄い。うわぁ、どう決着つくんだ、これは~~。

[ 2011.08.18 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
輪環の魔導師10 輪る神々の物語 /渡瀬草一郎

ヤンデレは世界を救う。いや、力ではなく、最後は想いの強さが勝る、という感動的な展開だったハズなのに、そこはセロとフィノなので、フィノの病的な妄執が神すらをも平伏すという感じで、なんだか微妙にコミカルな展開に(^^;。いや、いかにも『輪環の魔導師』らしいラストだけれども。

そゆわけで、『輪環の魔導師』もいよいよ最終巻。覚醒し神の力を振るうイスカ。セロとアルカイン達、および魔族の長ウィスカ達は、各々、イスカの待つ最終決戦の地、聖都ハルマニオスへ……。という感じで、いかにもラスボス戦という白熱した戦闘も見所だけど、やはり印象的なのは、フィノの病みっぷりという、それでこそ『輪環の魔導師』だよな。神すらもびびる想いとか、なにそれ(笑)。そんな二人に割り込んでいくティアネスも、なにげにすげーよ。

そして、後日談も含め、綺麗なラスト。ホント、素晴らしいシリーズでした。……惜しむらくは、『パラサイトムーン』を読んでなかったことか。『パラサイトムーン』を読んでたら、また、感動もひとしおなんだろうけど、普通の書店では、すでに入手が難しいからなぁん。

[ 2012.08.21 ]