スクールライブ・オンライン


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン /木野裕喜

作者の懸念どおり、前半の劣等感溢れまくりな主人公がヒデェ。いや、それを我慢して読み続けると、大型アップデート後の後半はおもしろくなるのだけど、ただ、主人公が何かしたというより、単に棚ぼたラッキーなだけの展開なのは、どうにかならなかったのか……。

そゆわけで、授業がMMORPGで、成績=レベルな栄臨学園。そんな学校で落ちこぼれだった新藤零央は、ある日の大型アップデートで一躍注目プレイヤーに……。と、授業がゲームなのも、スクールカースト底辺が一夜で立場が一変するのも、なんか、落ちこぼれの妄想そのまんまという感じでストレートすぎる。そんな夢のような設定、展開なのだけど、そもそも、なんでゲーム好きが落ちこぼれてるんだよ(^^;。前半は、設定も甘く、主人公も酷く、正直「どうするんだ、これ?」と思ったのだけど、アップデート後は、ふつーに、剣と魔法の青春ラブコメになって、おもしろかったです。好き好き光線出しまくりな沙耶と、零央に懐きまくりなユマ、零央をいぢリ倒す知早先輩、そして、真っ直ぐで鈍感な主人公の零央と、なかなか楽しいパーティ。単にこのメンバで団ジョン攻略してるだけで十分おもしろいと思うのだけど、特に前半とかは、なんでいろいろ変な要素を加えちゃったかなー。

[ 2013.07.14 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン2 /木野裕喜

やっぱ、キャラのやり取りがすげー面白いんですがっ!! や、1巻は後半持ち直したものの前半が酷すぎてアレだったのだけど、この2巻は、きちんと1巻後半のノリで進んでいて面白かったです。鈍感な主人公を中心に、個性的で愉快なヒロインたちとのやり取りが最高っ!!

というわけで、授業がすべてMMORPGという学園を舞台に、仲間を集めて自分のギルドを作るまでが1巻。この2巻はトップギルドの一角<紺碧の海>の対決、と。キャラのやり取りはスゲー面白いのだけど、ストーリーのほうは、うーん、前半の<迷子天使>との戦いは良かったのだけど、後半、卑怯すぎる敵とピンチからの大逆転的な展開の割には、カタルシス的な部分が弱いんだよなぁ。正直、終盤の逆転劇の描き方は、いまいち上手くなかったよねぇ。あと、主人公も作者も善人過ぎると思うのだけど、悪役はもちょっと懲らしめないとスカッとしないと思うの(^^;。

[ 2014.07.03 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン3 /木野裕喜

うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ。今回は、水着回&コメディ回と思って油断してたら、いきなり凄い設定をぶち込んできたんですけど、うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ。

そゆわけで、授業がすべてMMORPGという学園を描いたシリーズ第三弾。この巻は、リアルもゲームも夏休みの中、他の城主ギルドとリアルでの場外バトルが……。という感じで、基本コメディの形式を取りつつ、4大ギルドのうちの2つと戦うという展開。1巻から作者があとがきで、水着、水着とうるさかったのだけど<をい、やっとその念願の水着回っっ!! ……なのだけど、そのラストは、いきなり重すぎるわっ!! あああぁぁ、これは超絶に切ない……。

これ、はじめから予定してた展開なんだろうか? むちゃくちゃ重い展開に、きちんと描き切ったら凄い作品になりそうだけど、この作者の作風って、あまりハードな作風ではないし、作者の力量的にちょっと心配だ(^^;。いやほんと、やりきれたら、傑作間違いなしだ。大期待。

それにしても、随所に『艦これ』ネタが入りまくっているのだけど、作者の人、『艦これ』に毒されすぎだろ(笑)。

[ 2014.07.05 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン4 /木野裕喜

うわぁ、《高天原》強すぎるだろ……。おそらくこいつらを倒すのが最終目標になると思うのだけど、それにしたって、ここまで圧倒的なのはヤバすぎるだろっ!!

そゆわけで、授業がすべてMMORPGという学園を舞台にしたシリーズの第4弾。今回は、残る城主ギルド《陽炎騎士団》の顔見せ。リーダーの火西先輩とその妹・穂香登場というわけだけど、穂香のその設定なら、そりゃそうなるわなー。火西先輩のシスコンぶりといい、穂香の性格といい、ほのぼのとしていいねぇ。清く正しく妹していて穂香ちゃんマジ可愛い(*^^*)。

そしてそこからの後半の展開が、うわぁ、マジに《高天原》強ぇ~。ゲームバランス酷すぎだろ。<をい。会長の異常さが突き抜けてるのだけど、頭いぢられてるのかしら? なんでこんな奴が人望集めて、生徒会長になれたんだ? というか、黒幕の<ART>から見たら、こんな異常者を協力者に仕立てるとか、リスク以外のなにものでもないよな。そもそも、協力者といってもたかだか外部の被験者の一人に、組織の存続に係わるクリティカルな情報と権限を渡してるんだろ。ぜひとも、<ART>側の担当の意見が聞きたいところだ。

うーん、前巻ラストで、いきなり凄い設定をぶち込んできたのだけど、懸念していたとおり、力量不足で、説得力がなさすぎる……。えっと、外部に情報が漏れたら確実にアウトな案件なのに、ここまで情報が駄々漏れなのは、情報管理どーなってるのよ。<ART>が無茶してるのは、実験の影響が出る頃には撤退済みでばれないハズ、というのが前提なのに、情報は漏れ漏れだわ、実験中にこんなに影響をばら撒いているわ、マズイどころの話じゃない。ヤバイ実験してるのバレバレすぎて、<ART>の幹部は大慌てな状況だと思うのけど、実験計画の立案者はバカなの? 死ぬの? <ART>の違法行為が表に出る/出ない以前に、生徒の記憶障害や多数の精神的な問題が発生してるだけで、事業主体の<GS>が慌てて介入してくる状況だよね。<ART>が反社会的な組織で法律はじめ社会的な制裁が関係ないというなら、なおさら、みんな警察に相談しようよ。ゲームやってる場合じゃないっ!!<をい。いや、こういう突っ込みが野暮なのは承知してるのだけど、それにしたって、普通に考えたらゲーム内でいくら頑張っても根本的な解決にならない&外部を巻き込めば簡単に解決する問題設定なので、もっと上手く設定なり物語なりを組み立てないとイカンよなー。

[ 2015.02.09 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン5 /木野裕喜

巻末短編の「Episode沙耶」がいいっ!! 小学生の頃の沙耶と零央の話で、沙耶の想いの原点を描いたもの。相手の機微がわからず人付き合いが苦手な沙耶の、クラスメイトに対する一生懸命な純粋さがいいわぁ~。もちろん、零央への想いもほほえましくて、素晴らしいっ!! ……でも、ええっと、その後親友の位置を占める感じの真理って本編で出てきたっけ??

本編のほうも、沙耶の記憶奪回編ということで、期待と予定通りに盛り上がる展開。剛田先輩にはちょっとびっくりしたけど、悪くはない。しかし、悪役の会堂は、やっぱりイカレてるなぁ。マジに、頭いぢられてしまってるんじゃなかろうか?

あとがきによると、ここで一区切りでシリアス終了、次回はコメディ寄りということのようだけど、<ART>の人体実験目的のアップデートの話はどうなったんだ? いっそ、このままなかったことにしてくれないかなー。や、木野裕喜の作風は良くも悪くも「小学生の考えるようなリアリティレベルの夢物語」というところで、学校の枠を超えたような話はどだい無理、実際、<ART>絡みの話はあまりに出来が酷いのに、なんで、こんな設定を突っ込んできたんだ? 書く前から無理なのわかるだろ。

[ 2015.02.12 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン6 /木野裕喜

学園祭&生徒会選挙。学園祭で目立てば当選というのは物語的には上手いのだけど、そんなんで会長を選んでこの生徒たちはそれでいいのか(^^;。選挙戦となる学園祭は楽しいのだけど、他の候補者たちが小粒すぎるのが残念だなー。結局、候補者たちより現ギルマスの三年生のほうが目立っていて、生徒会選挙という点では、いろいろ描写が失敗しているような……。

それはともかく、やっぱ、<ART>絡みの話がないほうがおもしろいわ。今回は、深刻な話はなく、基本、学園祭できゃっきゃうふふしているような内容なので、楽しい楽しい。まあ、沙耶の正妻としてのポジショニングが強すぎるので、ラブコメ的にはもうちょっと波乱があっても良かった気も。杏奈がちと弱いだろ。まあ、零央周辺のラブコメ以外も、微笑ましいイベント盛りだくさんでいいねぇ。

巻末収録の短編は、智早と篁の過去編。篁怖いよ、がくがくぶるぶる。いや、昔は心優しかった篁がある切っ掛けで変わったことを描こうとしてるんだろうけど、むしろ、昔から異常でしたという風にしか見えない件。あー、これはもう更生できないわ。<をい

とりあえず次巻は怒涛のクライマックスか。<ART>絡みの陰謀は、設定的に出来が酷く失敗してるようにしか思えないのだけど、多少はマシなラストを見せてほしいなぁん。

[ 2015.08.26 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン7 ラストマン・スタンディング(前) /木野裕喜

木野裕喜の無垢で純真なセンスはやっぱ素晴らしいわ。はじめのキス対決も素晴らしいのだけど、中盤の谷本のやり取りも最高っ!! 木野裕喜の最大の魅力は、恋愛にしろ友情にしろ、小学生のようなピュアな感覚で書ける部分だと思うのだけど、今回のエピソードはそれらがいかんなく発揮されていて素晴らしかった。この稀有なセンスは、ほんとに最高すぎるっっっ!! もちろん、いよいよ物語完結に向けてはじまった、攻城戦からのラスト展開も、熱く次巻を期待させる展開で良かったわ~~。

そゆわけで、最終巻を予告しながら、結局、一冊で纏まらず最終章の“前”巻となりました、と。いや、初っ端からキス対決とか本筋と関係ないような桃色な展開を書き始めたら、そりゃ一冊で収まらないだろ(笑)。そもそもクライマックスといいつつ、≪高天原≫と戦うまでは距離ありそうなんだけど、ほんとに次で終わるのか!? まだ、前哨戦でラストに向けての舞台づくりという感じ。その舞台づくりは、……やっぱ、<ART>絡みの設定は、突っ込みどころが多くて酷すぎるな。どこの世界にそんな稚拙な運営をする企業がいるのか、って話ですよ。木野裕喜は良くも悪くも小学生なセンスなのだけど、<ART>絡みは、ほんと悪い意味で小学生の知識で考えた会社というレベルでしかなく、せっかくいいところも多い作品なのに、この設定に関しては、マジ何とかしてほしかったわ。

……なにはともあれ、次回、最終巻が楽しみですっ!!

[ 2016.01.07 ]


宝島社 このライトノベルがすごい!文庫
スクールライブ・オンライン8 ラストマン・スタンディング(後) /木野裕喜

感動のグランドフィナーレ!! 仲間と力を合わせて、最強ギルド≪高天原≫との最終決戦っ!! 主要キャラ全員に魅せ場がある展開で、とにかく熱い。いやー、こういう一見恥ずかしいぐらい、いい意味で青臭い物語を真正面から描かせると、やっぱ、木野裕喜は素晴らしいわ。いい最終巻でした。

そゆわけで、いよいよラストバトル。実力が段違いなだけでなく、不正チートまでかましてくる最強ギルド≪高天原≫およびギルマス会堂との闘い。≪心の欠片≫の仲間だけでなく、駆け付けたほかのギルドの仲間たちとともに、青臭い友情と理想を語りながら、一つ一つの関門を抜けていく展開が、めちゃ熱いね。いままで登場したすべてのキャラに魅せ場を作っていて、いや、剛田を優遇しすぎだろ(笑)。チート技で、会堂前の樋口先輩や磯辺先輩もむちゃくちゃ強敵で側近からここまで強くてどうすんだ?話なんですけど、むしろ、主人公・新藤の成長が際立ってる印象。いやー、ここまで真正面の成長物語も素晴らしい。でも、これほど新藤が強いと、来年、先輩陣が卒業したら、会堂以上に無双できるよなー。<をい

ゲームメーカーで黒幕な<ART>絡みの話は、最期まで突っ込みどころ満載でダメダメだったけれど、青春と友情をてらいもなく真正面から描いた本作は、ほんとに素晴らしかった。木野裕喜は、ほんとに青臭い青春ストーリーを書かせたら、数多いるライトノベル作家の中でも他にいない稀有な才能だと思う。最高だったっ!!

[ 2016.03.20 ]