翼の帰る処


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処 上 /妹尾ゆふ子

最高傑作級っ!! これは非常に出来の良いファンタジー。主人公が36歳の中間管理職というのも、私的に年齢や立ち位置が近いので、非常に感情移入できて素晴らしいのだけど、ただ、こんなオッサンが主人公というのは、ライトノベルとして、どうよ?(^^;

辺境に左遷されたことをいいことに、隠居しようと思っていたヤエト。しかし、突然やってきた皇女の副官に命じられ、その皇女と部下たちに振り回されることに……。という感じで、ファンタジー世界を舞台に、中間管理職の苦労を描いた作品。<をい。や、生真面目で自ら苦労を背負い込んでしまう主人公と、まだまだ幼い勝気な皇女、そして、野蛮人然とした北嶺の人々というキャラが、生き生きと描かれていて、その登場人物たちの悲喜交々が非常に楽しい。さらに、見え隠れするファンタジーらしい世界観と謎が、興味を引く引く。めちゃ、おもしろいぃっっっ!!

まだまだこれから広がる話だと思うのだけど、下巻で終わりなのかしらん? ぜひとも、シリーズ化して欲しいなぁ~。

[ 2008.11.12 ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処 下 /妹尾ゆふ子

面白いのは確かなんだけど、それはともかく、何故に上下巻っ!! ふつーに1巻、2巻、以下続くでいいじゃん。や、上下巻で綺麗に纏まってるわけではないし、あとがきによると、そのまま続くみたいだし、なんで、上下巻として売ってるのぉ??

ヤエトの体調を心配する皇女に命じられ、療養のため都に戻ってきたヤエト。しかし、その都では、皇位継承権を巡りキナ臭い動きが……。という感じで、ロリコンっ!! ロリコンっ!!<をい。や、新キャラのスーリヤは、当然、ラブコメ要員で、ヤエトを巡り、皇女とスーリヤの間であれこれ展開があると思ったのに、スーリヤの扱いが残念でありませんっ!! ……相変わらず、ヤエトの病弱で隠居を求めつつも生真面目な立ち振る舞いも楽しく、ファンタジー世界としての設定も秀逸で魅力的、物語的にもまだまだこれからという感じなので、とにかく続きが非常に楽しみです。

[ 2008.12.07 ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処2 ―鏡の中の空― /妹尾ゆふ子

うわぁ、意に沿わない上長の命令に仕方なく従いつつ、一長一短ある部下の扱いに苦労しつつ、そして、部下に任せ切れずに自分で仕事を抱え込んで倒れ込むという、相変わらず、中年サラリーマンには、涙なくしては読めないほどのシンパシーっっっ!! いや、いくら最近のライトノベルの読者層が上昇しているからといって、こんな年齢層を高めに設定して、ほんとに売れてるのかぁっっっ!!

というわけで、主人公のヤエトは、とうとう貴族に列せられるまでに至るので、我ら中間管理職の代表というには出世しすぎという気もするけれど、いやぁ、サラリーマンの苦労を、ライトノベルではありえないレベルで描ききっていて、とにかく共感しまくりっ!! もうそれだけで、素晴らしい素晴らしい。部下の扱いに悩む姿なんかは、ほんと泣けてくるよ(T-T)。

そして、スーリヤっ!! スーリヤっ!! スーリヤ再登場で、うひぃ~~~。ラストの引きも凶悪で、下巻がすげー楽しみすぎるっ!!

[ 2009.08.10 ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処2 ―鏡の中の空― /妹尾ゆふ子

……そこは、スーリヤを含めた三角関係展開じゃないのかっ!! いや、そもそもちょっとスーリヤの出番が少ないよなぁん。

そゆわけで、意図に反して四大公家の一つ《黒狼公》にまで出世してしまったヤエトは、皇子同士の後継者争いに巻き込まれるだけでなく、やがて、世界を守る救世主としての役割を期待されるように……。という感じで、我らが中間管理職の代表選手としての立ち振る舞いを楽しみにしていたのに、あっという間に、ファンタジーの主人公らしく大きい役割を担うようになってしまい、しょぼん。もうちょっと、上司や部下に苦労する現代サラリーマン的な生き様を見せてほしかった……。いや、それ以前に、隠居を目指すのか、皇女を盛り立てていくのか、それとも、世界を救う話に進むのか、ストーリー上で目指すべき方向性も散漫になってしまっているのが、さらに残念な印象。そりゃ最終的には世界を救う話になるんだろうけど、今の段階で、世界の危機を大きく扱うのは、ストーリー構成上、ちょっと早すぎるんじゃないかしらん?

[ 2009.09.08 ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処3 ―歌われぬ約束― /妹尾ゆふ子

中間管理職の希望の星。ヤエトっ!! ヤエトっ!! や、宰相までに出世し、有力貴族の地位も得たヤエト。そんなヤエトに縁談の話が。というわけで、ヤエトと皇女のフラグが着実に積み重なってる予感。まあ、ヤエトは、なんやかんやで、あっちこっちでフラグ作りまくってる気もするけど(^^;。……それにしても、相変わらず、仕事に忙しいヤエトに非常に共感できて、その上、きちんと出来の良いファンタジーが非常に楽しい。そして、シロバの雛二羽が和むなぁ~。

[ 2010.08.02 ]


幻冬舎 幻狼ファンタジアノベルス
翼の帰る処3 ―歌われぬ約束―(下) /妹尾ゆふ子

激しく体調悪いときに読むと、いつも以上に共感バリバリですねっ!! ……俺には、体調を気遣ってくれる幼女たちがいねぇorz。

行く先行く先で幼女をたらしまくるヤエトは、北方でも、無事、ルシルをゲットっ!! ほんと、このモテモテぶりはなんなんだっ。ルシルのあれこれとか、スーリヤとか、もう、ニヤニヤが止まらないぃ~~。や、マジにヤエトと少女たちの絡みが楽しすぎるのだけど、ただ、前巻の引きが、あんなにヤエトのピンチを煽っていたのに、なんだかスルっとクリアしてたりしてた部分は拍子抜け。……しかし、今回で一気に、皇帝との対立のフラグが立ちまくってる気がするのだけど、この先、どうなるんだ一体。

[ 2011.09.06 ]


幻冬舎 幻冬舎コミックス
翼の帰る処4 ―時の階梯― /妹尾ゆふ子

うわぁぁぁぁ、皇女様ぁぁぁぁぁっっっ!! なんという特攻っ!! いやぁ、素晴らしい素晴らしい。そして、ヤエト、存外女扱い上手かったのね……。

そういうわけで、幻狼ファンタジアがなくなって心配だった本シリーズですが、一応無事に続刊発売。新書二段組じゃなくなったので、字がでけぇ。……それはともかく、“隠居を許す”という帯の煽りのとおり、今回は、ヤエト周りの話が中心。皇女様は、あまり出番がないのにインパクトすげぇ。例のシーンで、今回の見所すべてを持ってった感じだ(笑)。一方、スーリヤは、えっと、そういう展開なの? その養子縁組のほうは、なにか火種になりそうな雰囲気だったのに、あれ? 普通に平穏な展開??

後継者争いも恩寵とヤエトの過去も気になるけれど、やっぱり、一番気になるのは、皇女様の行く末だな。ほんと、続きが早く読みてぇぇぇぇっ!!

[ 2013.03.17 ]


幻冬舎 幻冬舎コミックス
翼の帰る処4 ―時の階梯― /妹尾ゆふ子

皇女もスーリヤも出番が少ないと、いまいち物足りないなー。……というか、ヤエトはいろいろ手は打ってるけど、基本、倒れて直接関与しないうちに事が進んでいくので、いまいち話に乗りきれないなー。

隠居となっても変わらず忙しいヤエトは、ターンの預言者・ウィナエに導かれ、砂漠の深部へと……。と、次で最終巻ということで、話はどんどん進むのだけど、肝心のヤエトは、意識朦朧としててほとんどジェイサイドに背負われている予感。ウィナエには ほろりと来たけど、もうちょっとヤエトにはストーリーに絡んで欲しいところ(^^;。あとやっぱ、皇女様の出番がもっと増えないと物足りないなー。

[ 2013.12.22 ]


幻冬舎 幻冬舎コミックス
翼の帰る処5 ―蒼穹の果てへ― /妹尾ゆふ子

マジに、皇女と結婚しそうな勢いだなっ!! 今回は、真っ赤になった皇女が最大の見せ場(*^^*)。……皇女の、王座を取るとか既成事実を作るとかの発言があったわりには、大きくストーリーが動くわけでもなく、盛り上がりは抑え目な印象の今回。あー、さらにいえば、ヤエトが倒れることもなく、粛々と業務をこなしていくような展開だったなー。そろそろ、シリーズも終盤らしいので、エンディングに向けて倒れる暇もなく舞台を整えているような感じかしらん。辺境に左遷された隠居というかニート希望のおっさんが主人公というこのシリーズも、いよいよ大詰めかー。どんな結末になるか、楽しみだっ!!

[ 2015.04.07 ]


幻冬舎 幻冬舎コミックス
翼の帰る処5 ―蒼穹の果てへ― /妹尾ゆふ子

ちょっっっ、皇女様ぁぁぁぁぁっっっ!! 遂に迎えた最終巻だけど、すべて皇女様が持って行った感(笑)。素晴らしい最終巻でした。

そゆわけで、魔界の蓋が開かんとする世界の危機に対処しようとするヤエトだが、急転直下で怒涛の展開。……最終巻とはいえ、怒涛の展開すぎるだろっ!!

いきなり打ち切りになったような展開なんだけど、当初から全十巻予定だったということで、予定通りなんだよね、これ。このラストに向けて、一応、全十巻かけてプロットを組み立ててるつもりだということはわかるので、だからこそ、「ぽかーん」としか言えないようなこのストーリー展開は酷いとしか言えないし、全体に説明不足で出来は悪いんだけど、いやぁ、でも、皇女様が素晴らしい。やっぱり出番は少ないのだけど、それまでの不満を帳消しにして、すべて持っていったなぁ。そこでそうくるかっ。

これで、もうちょっとスーリヤが絡んできたら言うことなかったのだけど、まあ、スーリヤは、出てきただけでも良しとすべきところだよな。なんやかんやで、皇女様が素晴らしく読後感も最高な、満足できる最終巻でした。

[ 2016.09.29 ]