ライトノベルに関する10の誤解

ライトノベルでよくある誤解をまとめてみました。

まあ、ライトノベルを誤解している層って、リアル中二病高二病の人が多かったりするように見えるので、誤解とかそういう問題ではないような気もしますが。

誤解1: ライトノベルは内容が軽い

名前とイラストに騙されています。

同じ内容でもイラストがあるだけで軽く感じる側面はありますが、それだけです。実際には、ライトノベルにも軽くない小説は少なくありません。例えば、『されど罪人は竜と踊る』『ゴブリンスレイヤー』『灰と幻想のグリムガル 』などは、軽くないライトノベルとして名前が上がります。

そもそも、大人がハードな小説を読むと勘違いされてませんか? 一般的に、若者のほうが刺激的で難しい作品を好むといわれています。ライトノベルや中二病という言葉が生まれる前から「中学生は純文学を読む(そして、大人になると大衆文学を読むようになる)」と言われていたり、高校生ぐらいだと硬派でハードな小説を好むようなことも言われます。ライトノベルも、基本的に若者向けなので、大人の読むような大衆小説に比べて特に軽い作品が多いというわけではないんですよね。

誤解2: ライトノベルには定義が存在しない

ライトノベル≒若者向けの小説です。

ライトノベルは命名の経緯もあきらかになっているので、定義がないというほどあやふやなものではありません。パソコン通信「NIFTY-Serve」でコバルト文庫やソノラマ文庫などの若者向け小説について名付けられたことが知られています。定義論が揉めるといわれるんですが、そのほとんどが「俺の好きな作品をライトノベルに入れたい/入れたくない」という定義未満の話で、それこそ2ちゃんねるライトノベル版でいわれてる「他人の賛同を得られるとは限りません」って話ですよ。

小説のジャンルって、SFにしろファンタジーにしろミステリーにしろ純文学にしろ、どれも定義があやふやということになっています。その中でライトノベルは比較的定義が明確なほうで、わざわざ定義が曖昧であること強調するほどではありません。

誤解3: ライトノベルは中高生向け

だいたい、高校生~大学生がメインターゲットです。

もちろんレーベルによって違いますが、例えば、電撃文庫のターゲットは、高校生と大学生を中心に40代ぐらいまで、MFブックスは20代~40代、μNOVELは30~40代。また、ライトノベル系雑誌の読者年齢の平均は、ドラゴンマガジンが21.6歳、電撃文庫マガジンが20.6歳。だいたい、従来からあるレーベルは高校生~大学生辺りで、最近増えているライト文芸は20代、なろう系のレーベルは30代~40代をターゲットにしていると言われています。

誤解4: ライトノベルは読書初心者向けの入門書

児童文学と勘違いしてませんか?

たまに、児童文学と同様に「ライトノベルは子供向けにやさしく書かれている」と勘違いされている方がいるんですが、少なくとも中学生ぐらいになると、授業で古文なども読まされていて、現代文ぐらいは読めないと国語の成績が悲惨なことになります。大人と比べて、特に読解力が劣るというわけではないです。「若者の活字離れ」みたいなことをいう人もいるんですが、文化庁の調査などを見ても、本を読まないのは高年齢層で、若者ってわりと本を読んでるんです。なので、一般的なライトノベルは、若者向けにやさしく書くようなことは基本的にはありません。もっとも、小学生までターゲットにしていたあかほりさとるや花井愛子は別ですが、彼らが活躍してたのは20年以上昔の話です。

ライトノベルは若手作家が同世代の仲間に向けて自由に書いているのが特徴と言われています。そのため、マニア向けやオタク向けになりやすく、実際、そうなっていると思うんですが、そんな小説が初心者向けであるわけないですよね?

誤解5: 最近のライトノベルは質が落ちた

出版までのハードルは最近の方が高いといわれています。

1980年代や1990年代は、無名の新人でも出せば売れると言われていました。新人でも初版部数が多く、人気がなくても簡単に打ち切りにならなかったようなことは、たびたび話題になります。また、ライトノベル作家を目指す人も少なく、今と比べると比較的デビューも容易だったといわれています。例えば電撃文庫の主催する電撃小説大賞は、第1回(1994年)の応募数は656作品にすぎなかったのが、第20回(2013年)には最多の6,554作品を数え、その後も高い応募数を維持しています。それが必ずしも質につながるわけではありませんが、まあ、普通に考えると、昔のほうが質が高いとはなかなか言えないですよね?

誤解6: 最近のライトノベルは異世界転生ばかり

ライトノベルは月に200冊も出ているので、「〇〇ばかり」になることってありえないです。

最近の動向を知るには、新人賞受賞作を確認するのが手っ取り早いですが、昨年の電撃小説大賞受賞作を見ても、異世界転生は特にありません。また、2017年春のアニメ化したライトノベルを見ても、『エロマンガ先生』『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』『サクラダリセット』『冴えない彼女の育てかた』『クロックワーク・プラネット』『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『ソード・オラトリア』、特に、異世界転生ってないんですよね。

異世界転生の中でアニメ化したライトノベルというと『幼女戦記』、転生ではなく転移、異世界ではなくゲームまで含めると、『ゼロの使い魔』『ソードアート・オンライン』『ログ・ホライズン』『オーバーロード』『この素晴らしい世界に祝福を!』『Re:ゼロから始める異世界生活』という辺りが挙げられると思いますが、そもそも、似たような小説ばかりといわれるほど、似てます?

誤解7: 最近のライトノベルはエロばかり

昔からそんなに変わりませんし、一般的な小説のほうがエロいです。

1960年代、少女向けのライトノベル雑誌『Cobalt』の前身『小説ジュニア』にポルノまがりのコーナーがあったことは有名ですし、『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』『MAZE爆熱時空』『デビル17』『かのこん』等々、昔から問題視される作品はたくさんあります。まあ、それでも、一般向けの小説のほうがエロいということは、この話題が出るたびに指摘されるところです。

そもそも、エロさえあれば売れるということなら、今頃、美少女文庫か二次元ドリーム文庫などのジュブナイルポルノが最大手になってますよ。そんな簡単なものではありません。

誤解8: 最近のラノベ主人公は努力しない

昔から努力してません。むしろ、最近のほうが努力してるんじゃないでしょうか?

代表的なライトノベルをだいたい年代順にてきとーに並べていくと、『ダーティペア』『吸血鬼ハンターD』『ロードス島戦記』『スレイヤーズ』『魔術士オーフェン』『ブギーポップ』『マリア様がみてる』『キノの旅』『灼眼のシャナ』『涼宮ハルヒの憂鬱』『ゼロの使い魔』『狼と香辛料』『とらドラ!』『とある魔術の禁書目録』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』『ソードアート・オンライン』『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』『魔法科高校の劣等生』『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』『この素晴らしい世界に祝福を!』『Re:ゼロから始める異世界生活』と、典型的な努力型の主人公って、『ダンまち』のベルくんぐらいじゃないですかね? や、1990年代までは俺THUEEEEな主人公ばかりで、2000年代の中頃から学園モノを中心に努力するような主人公が出てきた印象があります。

誤解9: 少女小説はライトノベルではない

amazonでも ライトノベルに分類されています。

ライトノベル関連の書籍や書店でも、基本的に少女小説はライトノベルに分類されています。新井素子にはじまり、若木未生、前田珠子、樹川さとみ、今野緒雪、須賀しのぶなどなど、昔から男性からも人気の少女小説家はたくさんいて、特に、別物として考える必要はありません。

ただ、一部に違和感を覚える人が多いのもわかります。特に、ティーンズハートがブームだった1990年前後には、ティーンズハートやコバルトピンキーなど、特に恋愛系の少女小説は別ジャンルに分類されることが多かったと思います。ただ、その後のティーンズハートのブームの終焉や男女ともに人気のあった『マリア様がみてる』のブームによって、現在は、恋愛系の少女小説もライトノベルに分類されることが多いです。

誤解10: 昔の作品はライトノベルではない

「俺は当時ライトノベルとは呼んでなかったからライトノベルじゃない」という人も少なくないですが、そんな主語の大きな話をされても……。

パソコン通信「NIFTY-Serve」で1990年で命名された際に、1970年代に創刊されたコバルト文庫やソノラマ文庫が念頭に置かれていたことが知られています。また、その後の書評家や研究者の議論においても、おおよそ1970年代以降の若者向け小説を、ライトノベルに含める考え方が多いです。さすがに『源氏物語』や『南総里見八犬伝』をライトノベルに含めるのはムリがありますが、1980年代や1990年代の若者向けの小説の多くは、ライトノベルに含まれると考えて問題ありません。

[ 2017.07.02 ]

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