第1回『このライトノベルがすごい!』大賞、感想まとめ
この9月に新創刊された このライトノベルがすごい!文庫 もだいたい感想が出揃ってきたので、各地の感想をまとめてみました。創刊されたのは5冊。全て、新人賞受賞作の新人作品です。
まずはじめに簡単に纏めると、5冊とも別々の方向に尖がっているとの意見が多くて、好き嫌いが分かれていた作品が多いのだけど、それでも、ほとんどの作品で「序盤は酷いけど最後まで読んだら……」という感想が散見されたのが印象的でした。新作は序盤を読んで購入を決める人も多いと思うのだけど、売上的に大丈夫なんだろうか(^^;。……それはともかく、個々の作品の感想を見て回ると大雑把には、
- ランジーン×コード: ライトノベルらしい世界観や物語については評価は高いものの、全体の出来についてはネガティブな意見も目立つ
- 僕たちは監視されている: “真っ直ぐ”なストーリーに好感を覚える人が多い
- ファンダ・メンダ・マウス: ほとんどの人が“文章が読みにくい”といいつつ、“スピード感”や“ドライブ感”が素晴らしいと全体としての評価は高い
- 伝説兄妹!: 主人公の性格の酷さを挙げつつも読後感の素晴らしさを挙げる人が多い
- 暴走少女と妄想少年: ラブコメというよりも、友情と青春の素晴らしさを挙げる人が多い
という感じでしょうか。ちなみに、個人的には、そもそも、これだけいろんな方向性の作品を取り揃えているにもかかわらず、萌えも恋愛要素も薄い作品ばかりなのは何故だろう? と思わずにはいられません。いや、それが、この文庫の目指すカラーなんだろうケドさ……。
大賞
- ランジーン×コード /大泉貴 (→感想リンク)
- 世界の有り様までも改変してしまう「コトモノ」を巡る陰謀に立ち向かう迫真の物語に圧倒されました (ラノベ365日)
- しっかりと世界観を作りこんであるライトノベルらしい作品 (いつも月夜に本と酒)
- 序盤はちょっとコトモノのことが掴みづらいんですが、見えてきてからのサスペンスと、人と人の思いを描く展開は、とても良かった (booklines.net)
- 流行り(?)の言語 SF をライトノベルレーベルでやるとこうなる,的な物語 (十七段雑記)
- イマイチ遺言詞とコトモノの設定が頭にすんなりと入って来ず、読むのが大変でした (まあいいか。)
- 描かれている登場人物の感情、想いや決意と言ったものが上滑りして、私の中まで届かなかった (徒然雑記)
- 物語を一冊にまとめたのは素晴しいことだが、内容が内容だけに詰め込みすぎている感は否めない (Infinity recollection)
- あれあれと思っている間に終わってしまいました。分厚いわりには掘り下げ不足 (西の風のすむところ)
- 3ページ読み終えて、ああ、普通に駄目な文章なんだと思いました (うぱ日記)
金賞
- 僕たちは監視されている /里田和登 (→感想リンク)
- 設定は歪んでいるけれど、話としては真っ直ぐ。そんな印象の1冊 (まあいいか。)
- このライトノベルはすごい真っ直ぐだなぁ。ストレートに心を揺さ振ってきて眼を離せない (ラノベ365日)
- 真っ直ぐなストーリーに好感を覚えました (屠られ日記!)
- 相手を尊敬する思いを描きながら、友としての思いとライバル心をも見せてくれて、とても素敵でした (booklines.net)
- 話の掛け合いと、人との交流に壁を持たざるえない少年少女の青春が魅力 (Fall Cherry)
- すべてを曝け出し、しかし多くの秘密を抱え、それでもなお繋がろうとする人と人との関係。寄り添おうとする心と心の物語。うん、懸命で素敵なお話でした (徒然雑記)
- 設定は良いし、扱っている問題を落とし込んだのもいいと思うのだけれど、物語がイマイチ感が強かった (Infinity recollection)
- 導入での説明もそうだけど,悪い意味で引っかかるところが多い (十七段雑記)
- 冒頭の印象が悪くて、感情移入なんかはできなかったです。登場人物はもう少し少なくしても良かったかもしれません (西の風のすむところ)
栗山千明賞
- ファンダ・メンダ・マウス /大間九郎 (→感想リンク)
- くそったれという文字が踊る一人称の語り口は、はっきりいって読みにくいんだけど、勢いに乗せられてがっつりいってしまう (booklines.net)
- 文章は物凄く癖があって読み辛くて、非常に読む人を選びそうなんですが、とにかく主人公が格好良い (まあいいか。)
- 独特な文章が目を引くが、ヒーローはしっかり活躍し、ヒロインはいっぱい、笑いとシリアスのバランスも良くエンターテイメント性の高い (いつも月夜に本と酒)
- 読み始めた途端に数えきれないほどの「くそったれ」が乱舞する畳み掛けるような口語体の文章。その勢いに乗せられて思わずどんどん読み進めていってしまう (FULL MOON PRAYER)
- 最後の展開は、信じられないほどに熱い。最初に読み始めたときに感じた斜に構えたイメージからは想像も付かないような終着点に、ワクワクした (今日もだらだら、読書日記。)
- 疾走し続けるようなドライブ感と、サイケデリックな酩酊感 (Koto-pinion)
- 構成やら何だったのかという突っ込みがないわけではないが、説明を省いたスピード感は素晴しくて、引き込まれたという意味では凄かった (Infinity recollection)
- 枝葉末節、細かい部分は色々気になることもありますが、ただただマウスの勢いと力強さに呑まれてしまう (西の風のすむところ)
特別賞
- 伝説兄妹! /おかもと(仮) (→感想リンク)
- 読んでてムカっ腹がたってしょうがなかったんですが、それなのに読後感はとても良くて、やられたと思う (booklines.net)
- キャラクターの印象付けが上手かったおかげでうるっと来てしまった.すげー良かったです (十七段雑記)
- ハイテンションと勢いと、笑いと涙と、とにかくぐだぐだ言わずに読めばわかる! (Koto-pinion)
- ちょっと良い話としてまとまっているんですが、主人公がどうにも好きになれないのが辛い (まあいいか。)
優秀賞
- 暴走少女と妄想少年 /木野裕喜 (→感想リンク)
- 思わず「帰って来い」と言いたくなる妄想の連続と妙に熱の篭ったフェチトークがこの作品のキモ (いつも月夜に本と酒)
- これは楽しかった!友達から始まる恋っていいなー (booklines.net)
- ラブコメ濃度が薄いのは残念でしたが、学園青春コメディとしてはツボは抑えてるなぁっていう作品 (屠られ日記!)
- 美少女ヒロインにあるまじき「ゲロめんどくさい」「う○こ~」「キショイ」等の口癖で周囲に毒吐く強烈なキャラクターと主人公・善一に対する肉体言語な掛け合いの面白さががすばらしかった (彩彩華美)
- 序盤は、割と普通のラブコメっぽいかなあと思って読んでいたのですが、終盤の青春展開にやられました。友達ってありがたいよね (随想)
- 最終的に青春まで持っていってくれて、読後感はすっきりしていた。オチはご都合主義な気がしないでもないが、清清しい (Infinity recollection)
- 微妙。ヒロインの性格があんまりにもアレ過ぎて、どうにも好きになれませんでした (まあいいか。)
[ 2010.09.21 ]