[映画]『シン・ゴジラ』感想

周りで評判が良かったので見に行ったのだけど、なるほど素晴らしい。特に、前半の、短いカットでテンポよく進む展開が堪らないですね。後半の、みんな大好き新幹線や在来線も、やっぱ好きすぎる。ただ、前半に比べると、後半は無駄に思えるシーンも増えてテンポもいまいちで、ちとダレる感がするのが残念でしたけど。

いやー、考えてみれば、ゴジラシリーズって、そんな好きじゃなかったんですよね。昔見たのって、昭和時代の低年齢向けになった頃の作品だと思うのだけど、あれは子供心に子供だまし感がひどかった記憶しかない。大人になってから、初代ゴジラも見たのだけど、「オキシジェンデストロイヤー」を巡る人間模様が茶番にしかみえなくて、さっぱり良さがわからんかった。同じ特撮でも、ウルトラマンシリーズのほうは、そこそこ楽しんでみてた記憶があるんですけどねー。

総監督の庵野秀明に関しても、昔、『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』の頃の印象で、好きでこだわる部分とそれ以外の落差が酷いというか、好きなシーンだけを撮りたいタイプの人で、脚本や監督をやらせちゃいけないと思うんですよね。ただ、今回の『シン・ゴジラ』に関しては、その好きにこだわる部分が存分に発揮されて良い作品に仕上がった感じ。ゴジラ上陸、再上陸といい、自衛隊との戦闘といい、日本政府の対応の見せ方といい、ほんと、好きで楽しんで作ってる感じがアリアリとしていて、見てて楽しすぎた。どう考えても観客とか意識してなくて、自分で作りたいものを作ってるだけだろっ。

後半、石原さとみ演じる米国特使のドラマ部分や、3.11を意識した脚本は、明らかに安っぽくってテンポも悪く、そこら辺は残念。初代ゴジラを観た時も、「ゴジラが東京を破壊してそれで終わればよかったんじゃね?」と思ったのだけど、今回の『シン・ゴジラ』も、下手な物語やテーマなんて用意せず、ゴジラとの闘いだけ描いとけばよかったんだけどなー。

[ 2016.08.14 ]