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小学館 ガガガ文庫
月とライカと吸血姫 月面着陸編・下 7 /牧野圭祐

いよいよ月へと向かうクライマックス。しかし、クライマックスのわりに物語は淡々と進む。いや、いつのまにか月は通過点になっていて、イリナとレフ、二人の本当の物語は地球に戻ってからなんだな、と、しみじみと読み終えてあとがきを読んだら、あれ? 今巻で終わりかー。あのラストだと、当然、続くのかと思ったのだけど、オープンエンド的なラストとして、これもアリか。余韻の残るいいラストだったと思う。

人類初の月面着陸。ライトノベルで月面着陸というと、野尻抱介の『私と月につきあって』を思い出さずにはいられないのだけど、大きなトラブルは起きなさそうと予想はできても、着陸の瞬間は、やっぱりハラハラしっぱなしだ。いや、『私と月につきあって』と違って、史実のアポロ計画がベースな『月とライカと吸血姫』では、大きなトラブルを起こしてもリカバリーできないので、まあ、大きな事故もなく、淡々とプロジェクトを進行させるしかないんだけど。だからこその、この筆致ではあるんだろうけど。

これからのイリナとレフの行く先には想像が膨らむのだけど、この世界、絶対、転生者とかタイムリープ能力者がいそうな世界で、怖いわー。

[ 2021.11.22 ]