2021年 11月 1日
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徳間書店 トクマノベルズ
◆ ハイスクール・オーラバスター・リファインド 最果てに訣す the world /若木未生 -
とうとう完結。30年間追い続けていただけに、しみじみとした感慨しかない。
30年前、当時、小説はほとんど買っていなかったんですが、好きだった漫画家の杜真琴の表紙イラストに惹かれて購入したのを覚えています。私が買ったときには、すでに『炎獄のディアーナ』辺りまで出ていたと思うのだけど、第一巻『天使はうまく踊れない』を読んでめちゃくちゃ気に入り、それからすぐに既刊を揃え、その後は、若木未生の作品はすべて買い、やがて若木未生以外のコバルト文庫も買うようになり、と、とにかく物凄く好きで、自分の読書遍歴にも大きく影響を与えた作品でした。特に、崎谷と神原さんの関係にすごく魅かれたんですよね。
2000年を超えた辺りからは、刊行ペースは遅くなり、たまに出ても物足りない巻もあったりしたけれど、足掛け30年、主要キャラ、すべての物語に決着をつけて、きちんと完結した。とにかく感無量です。
この最終巻については、まあ、今回で完結と聞いた時点でわかってはいたけれど、雷将勝呂との開戦すらまだだったのに、そこから雷将や九那妃を含めたもろもろの決着を、たった1冊に纏めるのは、さすがに無茶すぎる。無前王や彩ちゃんとか、1冊書けるような展開の数々があからさまに省かれているのは残念だけど、それも仕方ないか。とにかく綺麗に完結した。それが、なにより素晴らしい。
[ ハイスクール・オーラバスター ]
2021年 11月 3日
最近、YouTubeを見ていると、やたらアクアリウムの動画が流れてくるので、思わず、アクアリウムをはじめてしまった。はじめてみると、なるほど、シミュレーションゲームの『Cities Skylines』みたいに、パラメータを見ながら自分の思い描く情景を作っていくような面白さがあって、これは、ハマる人がいるわけだ。
で、アクアリウムは全くの初心者なんですが、はじめるにあたり購入したものとかを纏めてみようと思います。全部、Amazonで購入したのだけど、わりと送料が高く、合計で1万円にもなってしまった。もっと安くできると思ったんだけどなー。
水槽
GEX グラステリアフィット200LOW 2000円
アクアリウム系のサイトをみてると「初心者には60cm規格水槽がベスト」みたいな解説がやたら出てくるのだけど、いやいや、60cm規格水槽ってかなり重いらしくて、床が抜けないことに気をつけつつ水槽を載せる専用の台も必要っぽいじゃないですか。読書クラスタなら、床が抜けることを気にするなんて、めちゃくちゃ上級者ですよ。それを初心者に勧めるなんて、かなりおかしい。アクアリウム系YouTuberの部屋をみると、もう何台も何台も何台も何台も水槽を持っている人ばかりなので、たぶん、アクアリウム系のサイトの人も感覚がマヒしてるんだと思う。
一方で、YouTubeの動画では、100均の容器に余ってるメダカとエビと水草を入れて、ごちゃごちゃした装置もつけず餌すら与えずに「こんなのでもぜんぜん飼えますよー」みたいなのもたくさん出てくる。いやー、初心者向けには、どうみてもこっちだろ。自分にも、簡単&格安にはじめられそうな気がするー。
というわけで、水槽を買ってみたわけです。はじめは100均で容器を探してみたのだけど、インテリアにするにはちょっといまいちだったので、ここは奮発して、アクアリウムメーカーの水槽を買ってみた。20cmx10cmx10cmの小型水槽。机に置くにはちょうどいいサイズ。
ライト
植物育成ライト 2500円
大学院では水生植物の研究をしていたので、やっぱ、水草育てたいじゃないですか、水草。
水草って、ショップだと水の中で育てる前提で売ってるのだけど、藻類はともかく種子植物は、空気がないとふつーに死ぬんですよ。ずっと水の中でなぜ枯れないのか、大学院時代のうろ覚えな知識からすると、さっぱりわけがわからない。代謝を落としたうえで、光合成でがんがん酸素を作って生き延びているんだとは思うんだけど、そうだとすると、ライトがないと、絶対ヤバい。マジ死にそう。
そんなことを考えて、光合成に効く赤い光を含んだタイマー付きの安いライトを買ってみました。買った水槽のメーカーからも、この水槽に対応するライトは出ていたのだけど、定価で6500円もするので、さすがに専用のライトは買えんわー。
水質検査薬
Tetra テスト6in1 1300円
初心者向けの解説を見てると、「魚のためにバクテリアを育てよう」という説明が必ず出てくるのだけど、いやいや、雑菌まみれのこの世界で、特定のバクテリアを繁殖させるとか、どう考えても無理ゲーだろ。アクアリウムやってる人って、チーターなの?なんか特別なスキルかジョブを持ってるの??
水質の浄化をバクテリアの生物濾過に頼るのって、ふつーに素人には難易度高いと思うんで、素直に水質検査薬を買ってみました。要は、日々、水質をチェックして、水が汚れてたら、水を換えればいいんですよ。
で、生体を導入してから、ほぼ毎日測っているのだけど、水質悪化を示すNO2とNO3は、生体を入れた一週間後ぐらいに数日間だけ高くなったものの、基本的には安定してる。そんなに汚れるものではないっぽい。pHなんかも安定してるのだけど、ただ、CO2だけやけにばらつきがあるんだよなー。CO2の値はpHとKHから計算式で導いているようなのだけど、正しいのか、これ?
土
GEX 水草一番サンド 2kg 1500円
水草を植えるには土が必要なのだけど、これもいろんな種類があって、よくわからない。大別すると、肥料が入っているものと入っていないものがあり、肥料が入っていると水草はよく育つけれど水が汚れやすいとかそんな感じ? あと、土は、水のpHや硬度にも影響を与えるので、そこら辺も考えて選ばないといけないらしい。知らんけど。
で、結局、よくわからないので、名前で購入しました。たぶん、水草を育てるのにはこの土が一番なんだろう。
水草
ショートヘアーグラス(水上葉) 2束 1500円
小さい水槽には定番っぽいショートヘアーグラスという水草を買ってみたのだけど、あれ?背丈が20cmぐらいある。うちの水槽は高さが10cmしかないんですがorz。
仕方ないので、葉と根を切って植えたのだけど、なにか想像していたのと違う感じになってしまった。泣きたい。一応、根茎部分が残っていればそのうち生えてくると思うのだけど、YouTubeの動画をみてても、切って植えてる人はいないんですよね。まあ、このショートヘアーグラスとかいう草、どうみても見覚えのある雑草にしかみえないので、雑にカットしてもたぶん平気だとは思うのだけど。
エビ
ミナミヌマエビ 20匹 1000円
生体を何匹飼うのが適正なのか調べたところ、うちの水槽の大きさだと、1~2匹ぐらいしか飼えないらしい。そして、水草には数匹はエビを入れておけという話があるらしく、つまり、お魚は飼えないのか(T-T)。
そういうわけで、エビの中では定番らしいミナミヌマエビを飼うことにしたのだけど、価格を調べてみたら、基本、10匹単位。しかも、10匹も20匹も値段が変わらないのね。……なるほど、推奨1~2匹の水槽だけど、俺は20匹飼うぜ!!
ちょっと無茶かな?とは思ってはいたのだけど、ああああああぁ、水槽に入れた次の日から、毎日死ぬ。1匹づつ死んでいく~。水質検査薬では、特に水質悪化は認められなくって、なんだこれ、パラメータが全く役に立たねぇんですけど。クソゲーだ。……結局、一週間、8匹の犠牲で、連続死は止まったのだけど、これはシンドイな。
まとめ
水槽2000円+ライト2500円+水質検査薬1300円+土1500円+水草1500円+エビ1000円で、合計9800円。他に、メンテナンス用のピンセットやハサミ、スポイト、飾りに石も買ったので、初期費用で10,000円を超えてしまった。やっぱ通販だと送料分が高いんだよなぁ。魚や水草は、送料を考えちゃうと、少量だけ買うのがなかなかに難しいのもツライ。
メダカはやっぱ飼いたい気もするのだけど、ここにメダカ10匹セットを追加するのは、無謀かなぁん。ミナミヌマエビも死ななくなったし、シミュレーションゲームだと、そろそろ災害みたいに、ちょっと刺激的な状況を作ってもいい気はするけど。<をい
2021年 11月 8日
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オーバーラップ オーバーラップ文庫
◆ 信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略 8.光の勇者と人魔戦争 /大崎アイル -
マコトがいれば、桜井くんいらないんじゃ(笑)。
「水の国」「太陽の国」「木の国」「火の国」と巡り、今回から、いよいよ魔王軍との人魔戦争に突入。まずは、魔王ザガンとの決戦となるわけだけど、マコトがあまりに強すぎて、最高戦力であるハズの桜井くんはいらないんじゃないか疑惑が(笑)。まあ、桜井くんには、マコトの恋人という役割があるけれど。もう、桜井くん、マコトのことを好きすぎだろっ!!
桜井くんをはじめ、この作品は、ギスギスした人間関係がなくて、ほんと癒されるよなぁ。イケメン勇者なんて、ほかの作品では、敵役の咬ませ犬みたいな扱いも多いのに、桜井くんはどうみても恋人役で、この作品の人間関係は、ホントなごむ要素しかない。
そういえば、この世界はレベルアップは採用してないんだよな。今回みたいな展開だと、経験値たまり放題なのにもったいない。マコトのスキルは、RPGプレイヤーなんだけど、RPGといったら、レベルアップするもんじゃないのかー。いや、これ以上強くなってどうするんだ?という話はあるのだけど。
2021年 11月 22日
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小学館 ガガガ文庫
◆ 月とライカと吸血姫 月面着陸編・下 7 /牧野圭祐 -
いよいよ月へと向かうクライマックス。しかし、クライマックスのわりに物語は淡々と進む。いや、いつのまにか月は通過点になっていて、イリナとレフ、二人の本当の物語は地球に戻ってからなんだな、と、しみじみと読み終えてあとがきを読んだら、あれ? 今巻で終わりかー。あのラストだと、当然、続くのかと思ったのだけど、オープンエンド的なラストとして、これもアリか。余韻の残るいいラストだったと思う。
人類初の月面着陸。ライトノベルで月面着陸というと、野尻抱介の『私と月につきあって』を思い出さずにはいられないのだけど、大きなトラブルは起きなさそうと予想はできても、着陸の瞬間は、やっぱりハラハラしっぱなしだ。いや、『私と月につきあって』と違って、史実のアポロ計画がベースな『月とライカと吸血姫』では、大きなトラブルを起こしてもリカバリーできないので、まあ、大きな事故もなく、淡々とプロジェクトを進行させるしかないんだけど。だからこその、この筆致ではあるんだろうけど。
これからのイリナとレフの行く先には想像が膨らむのだけど、この世界、絶対、転生者とかタイムリープ能力者がいそうな世界で、怖いわー。
[ 月とライカと吸血姫 ]
2021年 11月 24日
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KADOKAWA 電撃文庫
◆ 続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー(3) /佐島勤 -
本編、そして、一条とほのかの短編を含めた三部構成。うーん、一条とほのかの話は、完全にいまさらで蛇足感が凄い。この短編、必要? こういう無駄な話を入れてくるのは、ものすごく佐島勤らしいといえばらしいんだけど。
本編のほうは、いやいや、ちょっと突っ込みどころが酷いだろ。『魔法科高校の劣等生』の世界だと、今の平和な日本と違って、防衛大臣は今よりもずっと重要なポストだと思うんだけど、その防衛大臣がなんで論功行賞のお飾りなんだよ。大臣含めた内閣よりも元老院を国の中枢として強調したい演出だってのはわかるんだけど、その元老院の樫和も、いろいろと迂闊なバカにしか見えないんだよなー。だってさー、樫和以外の関係者は殺す殺さないって話になってるんだぜ。それで、樫和を殺すって話にならないのはすげー不自然ではあるんだけど、そもそも、この程度の案件で安易に虎の尾を踏みに行く樫和さんは、迂闊すぎて自殺癖でもあるようにしか思えない。まあ、樫和を出しておきたい物語上の都合なんだろうけど、マジにバカなの?
今回の達也のデモンストレーションも、魔法技術の有益性を示すというほどぜんぜん有益ではなく、むしろ、「大気圏外からの大質量攻撃がいつでもできる」という脅しにしかなっていないんだけど、作中では誰もそのことに触れてないのもすげー気持ちが悪い。なんだこれ?
[ メイジアン・カンパニー ]
2021年 11月 28日
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KADOKAWA
◆ KADOKAWAのメディアミックス全史 サブカルチャーの創造と発展 /佐藤辰男 -
「ライトノベル史を語る上で欠かせない内容らしいのに非売品なので読めない」と話題だった本書が、BOOK☆WALKERで期間限定で無料配布ということで読んでみました。
著者はメディアワークス、角川グループホールディングスで社長をやっていた佐藤辰男。もともとは社史として社員向けに書かれたんだと思うのだけど、「KADOKAWAは後継者に川上量生を得て、今後、ますます発展する」みたいにも読める構成で、でも、その後の川上量生の社長退任とか夏野剛の社長就任までは語られてなくて、これ読んだら、KADOKAWAの社員は困るんじゃないか? まあ、大部分はコロナ前に書かれていたらしいんだけど。
そもそも、この社史を読むと、グループ内にここまで豊富な人材がいるのに、なんで外に人材を求めるんだ?と思わざるを得ない。角川歴彦のスティーブ・ジョブズ的なモノへの傾倒も語られているので、出版畑の人間ではなく川上量生や夏野剛に会社を託したくなる気持ちもわかるんだけど、でもさー、それって、角川春樹が映画に傾注して会社を傾けたように、角川歴彦もまたスティーブ・ジョブズ的なモノに目がくらんで会社傾けるんじゃないか?と非常に怖い。まあ、夏野剛のKADOKAWAの業績自体は悪くないのだけど。
と、最近10年ぐらいの話は、BOOK☆WALKERも海外進出もドワンゴとの提携も、成長率はともかく業績的にはそこまで結果を出してるわけではないし、そんなに面白い話ではないのだけど<をい、凄いのは、1990年代の角川書店のお家騒動からメディアワークスの設立までを、騒動のど真ん中の視点で描いてるんですよ。……角川お家騒動で電撃文庫が創刊され、角川スニーカー文庫と電撃文庫の泥沼の競争がその後のライトノベルの発展に寄与していくんで、ライトノベル史において非常に重要なイベントだったんですが、でも、KADOKAWAにとっては汚点でしかないアレを社史に書いていいんだ(笑)。ただ、編集者視点ではなく経営者視点なので、まあ、作品作りの変化みたい観点ではあまり語られてないのは残念。
さらに昔、1980年代の『コンプティーク』や『Newtype』辺りの創刊の話も面白かった。いやー、『Newtype』って、アニメブームもそろそろ終わりだよね、みたいなタイミングで登場したので、当時、創刊には違和感しかなかったのだけど、ああ、アニメブームの状況を見てたわけではなく、あくまでテレビや映画の周辺という視点しかなかったのか。『Newtype』は1985年創刊なのに、1980年代後半から1990年代前半にかけてのアニメ界への言及がごっそり抜けてる。『エルガイム』の次がいきなり『エヴァ』なんだよな。ただ、『Newtype』創刊のおかげで、サンライズから『ガンダム』の版権を獲得して初期のスニーカー文庫に貢献した、みたいな話は凄い。
ライトノベル的には、スニーカー文庫の創刊って、従来はファンタジーフェアの成功を受けて登場したといわれることが多かったのだけど、本書によれば、ファンタジーフェアの影響は小さく、むしろ、『コンプティーク』や『Newtype』のスピンオフなのか。そう考えると、スニーカー文庫って、従来のジュブナイル小説がアニメやゲームのエッセンスを取り込んでライトノベルになったみたいな言説と違って、ゲームやアニメ文化そのものの直系の子孫なんだな。これ、凄くない?