好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!

SBクリエイティブ GA文庫
りゅうおうのおしごと! (20) /白鳥士郎

本編完結。いやー、最終章に入ってからは微妙な内容が多く、正直、不安が多かったのだけど、終わってみたら、綺麗な最終巻でした。きちんと銀子とあいの関係に決着をつけた上で、あのエピローグがいいねっ!!!

最終巻。棋力を失いつつある あい は、その能力を失う前に、プロ棋士へ編入し、そして、銀子との対局を実現することができるか? 一方、あい の想いを受け取り、八一との結婚ではなく、プロ棋士への復帰を選んだ銀子は……。というわけで、もちろん最終巻は、銀子とあいの最終対局っ!!

いやまあ、シリーズの最終対局は、あい vs 八一の竜王戦だと思っていたので、弱体化した あい と銀子の対局というのは物足りなさを覚えてたんだけど、それが、どうしてどうして、決戦に向けて相手を振り返り研究していく過程がエピローグのようにいままでの登場人物を振り返るような構成になっていて、さすが最終巻と言わざるをえない内容。そして、そこからの対戦と対戦後のやりとりがとにかく素晴らしい。勝った方、そして、負けた方も。本当に素晴らしい最終巻でした。

でも、あいと銀子はともかく、同時に進行する八一vs捌きの巨匠との対決は、正直、今更感しかなくて、どうしてこうなった? それに、むしろ物語的に重要なのは、天衣と創多なんじゃね? やたらAIをテーマにしていたのに、最終巻では、ほとんどAIがらみに尺を使ってないんだよねー。間違いなく最強の棋士なのに、将棋界のために身をひく天衣は切ないよね……。

綺麗さに誤魔化されているけれど、対局の描写やその後の戦績をみるに、あいの終盤力も復活したわけではなく、ツギハギだらけの終盤力を序盤から中盤の改善と、そして泥臭さで補っているにすぎなんだよね。そのことに対局していた銀子も見守っていた八一も気づいていないのも切ないな。「見守る」とは……。

[ 2025.07.14 ]