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本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第三部「領主の養女III」 /香月美夜

本好きシリーズ10冊目。貴族の子供たちが集まる子供部屋で、ローゼマインの教育改革がはじまる……。中身が大人とはいえ、いちばん小さくて教育を受ける立場なのに、完全に先生の立ち位置なのが笑う。いや、孤児院改革から対ヴィルフリートもそうなんだけど、本を流行らせるために識字率を高めるという個人的な野望があるとはいえ、どう見てもおかしくて笑えるよなぁん。

そういえば、この作品の特筆すべきは、これだけ長いシリーズなのに、場当たり的な設定がなく、基本的な設定もラストまでのおおまかなプロットも、おそらく最初に考えて物語が綴られているように見えるのが凄い。今回の、貴族たちは冬の間は貴族街に集まり、大人は社交、学生は貴族院、子供は子供部屋に分かれて生活するという設定も、かなり早い段階で考えられていたことがわかるし、そもそも、タイトルからも、平民→巫女見習い→領主の養女となることが最初から想定されてたんだよな。いや、紙づくりから始めた序盤は、どうみてもタイトル詐欺かと思っていたのだけど、今や、文官になれば司書になれることが明示されてるし。

ハッセの罰は、……領主一族が領民の生殺与奪の権利を完全に握っている世界というのは、めちゃくちゃ凄いな。そりゃ、逆らったら町丸ごと処分という発想になるのもわかる。こういう世界なら、領主はもっと好き勝手してもよさそうな気がするけど(^^;。

[ 2017.11.22 ]