神様のメモ帳


メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳 /杉井光

うわぁ、なんと痛々しく、それでいて綺麗なストーリー。序盤のフラグや伏線の立て方といい、キャラの見せ方といい、そして、綺麗な幕引きといい、とにかく素晴らしい青春ストーリー。せつなすぎる~~。

というわけで、私、『このライトノベルがすごい! 2009』の原稿で、杉井光をプッシュしてみたにもかかわらず、このシリーズは読んでいなかったので、今更ながら読んでみました。<をい。友人も作らず、一人根暗に生きていた少年・ナルミは、ひきこもりのニート探偵・アリスと出会い、ある事件に巻き込まれる……。という感じで、てっきり、ニート探偵の萌え小説かと思っていたのだけど、ぐはぁ、重い重いシリアスに重い。非常に真っ当な青春ストーリーなのな。いかにもな青春の痛みを描いた内容が、とにかくせつない。ストーリー構成やキャラの見せ方も素晴らしく、ほんと、非常に面白かったです。……で、こんなに綺麗に纏まった作品なのに、これで、続編あるのか。うわぁ、綾夏の扱いはどうなるんだぁ。

[ 2008.11.26 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳2 /杉井光

主人公のナルミのあまりのヘタレ具合に、何度読むのを中断したかわかりませんが、読み終わってみると非常に良い物語でした。ヘタレなナルミの後半の頑張りもまた素晴らしかったっ!!

ニート探偵・アリスの下に、二億円を抱えたタイ人少女からの依頼が……。というわけで、ひきこもりの少女探偵のアリスと、その助手のナルミが事件に立ち向かう青春ミステリの第二段。うじうじと悩むナルミを中心添えた、非常に良い青春ストーリーでした。いやぁ、ヘタレの限りを尽くしつつ、最後にはきちんと結論を出して立ち向かうさまは、いかにも王道的な展開で、素晴らしい素晴らしい。むちゃストレートに魅力的な作品でした。ただ、アリスをはじめキャラクタは、萌え的には弱まった印象で、ちと残念。いやまあ、萌え的に弱いだけで、四代目をはじめ、キャラ自体は、非常に魅力的に描かれてたりはするんだけど(^^;。

[ 2009.02.19 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳3 /杉井光

ほんと、綺麗な青春ミステリになってるなぁ。自分たちの拠り所である園芸部に纏わる事件、奇跡的に回復した彩夏とのぎこちないやりとり、尊敬するテツ先輩との決闘と、いかにも青春、青春したストーリーが、いやぁ、素晴らしいっ!!

ニート探偵・アリスとヘタレな探偵助手・ナルミのシリーズの3冊目。彩夏が戻ってきた。記憶をなくしたまま……。という感じで、1巻の事件で意識を失った彩夏の奇跡の回復と、彩夏とナルミの拠り所である園芸部に纏わるストーリー。いやぁ、1巻を振り返るような、そして、いかにもベタな青春ストーリーが、ほんといいなぁ。ぎこちなくて不器用な、彩夏とナルミ、そして、アリスのやり取りが、もう、最高っ!! や、これで、シリーズも終了なのかしら? ほんと、せつなく綺麗なシリーズでした。

[ 2009.02.28 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳4 /杉井光

最高傑作級。うわぁ、相変わらずの、泣きたくなるような優しい物語が素晴らしいっ!! そして、アリスの可愛さは、やっぱり異常だと思う(*^^*)。

平坂組の創設者が帰って来た。四代目の敵として……。という感じで、ニート探偵アリスと探偵助手ナルミの物語も四冊目。とにかく、ナルミを想うアリスの言動が、わかりやすいツンデレテンプレートで、もう、これ以上なく可愛いのだけど、それはともかく、今回の物語の中心を占めるのは、平坂組リーダー・四代目。平坂組の創設と絡めた優しく哀しい友情の物語がホント素晴らしい。そしてなにより、そんな四代目を支えるナルミの活躍が、特に、「文句があるやつは前に出ろ」辺りの熱いシーンは、目頭が熱くなるぐらい魅せるなぁ。いやもう、ぜんぜん、ニートじゃないじゃんっ!! そして、そんなナルミを引き止めてしまっていると考えてしまうアリスの葛藤もまた、素晴らしいなぁ。

ついでに、作中で出てくるインディーズバンドの描写が、さりげないファンサービスになっていて、そこもナイス。露骨に書きすぎると興ざめだけど、ああいうレベルのさりげなさは好きだなぁ。

[ 2009.07.13 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳5 /杉井光

短編四篇。その中で青春野球小説?「あの夏の二十一球」が印象的で面白かった。てか、オンライン野球ゲームの「パワープレイボール」こと「パワレボ」が愉快すぎる。なにその無駄な方向に機能充実なゲーム。そして、ナルミの変なスキル(^^;。……どの作品も、ほろ苦さと切なさの混じるいい話に仕上がっていて、相変わらず、素晴らしいなぁ。

それにしても、コミカルな要素が強いせいか、いつもに増して、あまりにナルミが鈍過ぎるだろ。そして、アリスに比べて、彩夏は完全に脇役になってしまってるなー。

[ 2010.05.17 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳6 /杉井光

想像を超えてせつないストーリー。杉井光、やっぱり巧いなぁ。……ミンさんの元に香港マフィアの親族が訪ねてくることがはじまる、ミンさんの父、花田勝を巡る物語。花田勝の謎の行動と、そこに秘められた親子の心情が、せつないせつない。そしてもちろん、いつもと違わぬアリスとナルミのやり取りがホント楽しい。や、アリスの好意がダダ漏れすぎるだろっ!! そして、ナルミはマジにジゴロだよなぁ(^^;。とにかく、アリスがめちゃ可愛いすぎるです~。

[ 2011.02.20 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳7 /杉井光

うわぁ、相変わらず、切なすぎる物語だ。鏡像の奇跡とラストシーンに涙。そして、ナルミに対するアリスの態度が可愛くて可愛くて、にやにやが止まらない。前からあそこまで露骨でしたっけか(^^;。

というわけで、今回の依頼者はアイドル歌手の夏月ユイ。うわぁ、ほんと、ユイとナルミの二人にヤキモキするアルスがたまらない~~。とにかく、アリスが可愛くてしかたないのだけど(^^;、物語もせつなくて素晴らしい。鏡像の奇跡が哀しすぎる。そして、“靖国で逢おう”か。淋しくて切なくていい話でした。

[ 2011.07.28 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳8 /杉井光

うわぁ、今になって、彩夏に纏わるあのはじまりの物語の再来か。相変わらず、せつなく哀しい筆致は素晴らしい。……でも、すごく重要なこのネタで、ニコイチなバランスの悪い構成になっているのは、もったいないよ。エンジェル・フィックスの話は、きちんと独立した一冊として書いてくれれば良かったのに。

この巻は、四代目を中心に、三代目襲来とエンジェル・フィックス再びな話を一つの物語に仕立ててるんだけど、これが中途半端でバランス悪いのよ。四代目と父親とのエピソードも彩夏の物語もいい話だっただけにもったいない。特に、エンジェル・フィックスのほうは、四代目との仲違いと修復の過程の描写が、かなり端折られていて、いまいち説得力弱くて唐突だよね。

それにしても、アリスの気持ちの駄々漏れ具合は、もう素晴らしすぎるねっ!! くらくらするぅ~~。

[ 2011.11.21 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
神様のメモ帳9 /杉井光

三年ぶりの新刊、そして、最終巻。ラストにふさわしい物語と結末で非常に満足。素晴らしかったです。

そゆわけで、ニート探偵・アリスと助手・ナルミのラストエピソードは、アリスの家族、紫苑寺家に関する騒動。まさかのアリスが事件の当事者ですよっ!! アリスの秘密に踏み込むには、こんな感じのエピソードしかないのはそうなんだけど、アリスの秘密はともかく、アリスとナルミの絆の見せ方が上手いな。婚姻届から同居話とか、どういう展開(^^;。そして当然、救出時にやりとりが、もうもうたまらないなぁ~。

……ラストも、オーソドックスではあるのだけれど、だからこそ、非常に綺麗で、とにかく満足です。非常に好きなシリーズだったけれど、そのラストを飾るに相応しい最終巻でしたっ!!

[ 2014.12.08 ]