人類の足跡10万年全史
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草思社
人類の足跡10万年全史 /スティーヴン・オッペンハイマー -
いやぁ、面白かったです。10数万年前にアフリカで生まれた現生人類が、いかに地球上に広がっていったのかを、ミトコンドリアDNAとY染色体の分析結果を主にして、さらに実際の過去の気候変動や遺跡の年代測定の結果を加味して論じた内容。
ただ、無駄が多い文章な上に説明も冗長でわかりにくく、正直、あんまり読者のことを考えてかかれてるとは思えなかったり。文章を必要最低限に削った上で、もっと、的確な図を使って説明して欲しかったよなぁ。あと、自説と異なる学者を貶すようなことを、わりとページ数を割いて書いてるんだけど、それもどうかと思うんだけどなぁ。
そゆわけで、以下メモ。
- 多地域進化説vs出アフリカ説は、出アフリカ説で決定
- 12.5万年前の間氷期にサハラを越えてレバント地方(シリア、イスラエル辺り)に進出した痕跡はあるが、この人たちはその後の気候変動で絶滅
- 現代人に続く出アフリカは、8.5万年前の氷期に、エチオピアから紅海を超え、アラビア半島へ
- これらアフリカを出て行った人は、貝を主食とする海岸採集民
- 出アフリカ後、ユーラシアの海岸沿いにどんどん移動していき、7.5万年前にマレー半島、ニューギニア、7万年前に極東、6.5万年前にオーストラリアまで達している
- この7万年前に極東に入った人が、縄文人、アイヌ人に当たる模様
- ヨーロッパ進出は、5万年前。ヨーロッパ人の故郷はペルシャ湾岸で、トルコ経由とコーカサス経由の 2つの経路で侵入した
- 内陸の中央アジアへの進出は4万年前。経路は、1)インドからヒマラヤの西端経由、2)中国から西へ、3)ビルマからチベット経由、4)ロシアから東への 4つ
- 中央アジアに入った人のうち、ビルマを故郷とする人たちがモンゴロイドとなる
- 現代人のうち、遺伝的にも外見的にも、10万年前からあまり変わってないのがオーストラリア、ニューギニアの人で、アフリカ人より変わっていない。いちばん大きく変わったのはモンゴロイド
- アメリカ進出は、2.5万年辺りと考えられているが、実は良くわかっていない。遺伝子からみると、アメリカ原住民には 5つの系統があり、アジアの人々―極東に初期に入ってきた海岸採集民、モンゴロイド、コーカソイド辺りが起源。一度、ベリンギア(氷期に広い陸地として表れるベーリング海峡周辺地域)でしばらく過ごしたあと、氷期終了に伴い、アメリカに入っていった?
[ 2007.09.08 ]