やっぱりラノべ文庫(紙)の売上減は酷い。ライトノベルの市場規模と衰退論の話

たまに見かけるラノベの売上減と衰退の話。メモ程度に雑にググって数字を拾い集めてみました。ベースが異なる数字が混ざっているので比較するのはあんま良くないんだけど、まあ、大まかなトレンドがわかればいいや、ということで。

ライトノベルの市場規模

  • 2022年の市場規模は276.6億円(文庫(紙)108.0億円、単行本(紙)103.5億円、電子65.1億円)
  • 2012年の市場規模はラノベ文庫(紙)のみで284億円
  • 文庫(紙)は2012年の284億円をピークに下降トレンド入り。特に2017年以降の減少が酷い
  • 単行本(紙)は2016年に100億円を超え以降横ばい
  • ライト文芸の市場規模は不明
  • 2010年以前では、ラノベブーム前の2003年が170億円、ブーム化した2004年が264億円。ハルヒがアニメ化した2006年が344億円

関連情報

  • 小説(紙)全体の市場規模は、ざっくり2011年4000億円→2021年2000億円
  • 電子書籍は2015年1502億円→2021年4662億円
  • 児童書は2010年代を通して1000億円前後で推移
  • ラノベ文庫(紙)がピークだった2012年はSAOがアニメ化した年に当たる
  • ラノベ単行本レーベルの創刊ラッシュが始まったのは2012年
  • ラノベ文庫本レーベルは2014年以降ほとんど創刊されず、代わりにライト文芸レーベルが創刊されている
  • 児童書のラノベ化が進んだのは2000年代後半から

こう数字を並べてみると、ラノベ市場全体では売上が大きく減少しているわけではないものの、やはり、文庫(紙)の売上減は酷いな。『ハルヒ』の頃から比べたら344億円→108億円だよ。これはラノベが衰退していると言われても仕方がない。

ただ、数字を議論する上での問題は、ライト文芸の売上が含まれていないことなんだよなぁ。2014年以降、新しいラノベ文庫レーベルは基本的にライト文芸レーベルとして創刊されているので、ラノベ文庫(紙)としてはずっと新規参入がない形になるんですよ。これだと、実態と関係なく統計上は常に売上減のバイアスがかかることになる。まあ、ライト文芸はラノベと異なるという立場に立てば、出版社は2014年の時点でラノベ文庫に未来はないと新規参入はやめ、その結果が2017年以降に数字になって表れただけ、という解釈もできるのだけど。

ラノベ文庫(紙)の大幅な売上減で「ラノベの若者離れ」というコメントもよく見かけるのだけど、君らがいる場所は我々が20年以上前に通過した場所だぁぁぁぁっっ!! って、いや、20年前からラノベ読者の年齢が上がっていることは言われていて、だからこそ、高価格帯の単行本への移行がスムーズに進んだわけです。単行本の登場によっていきなり年齢低めの読者が減って年齢高めの読者が増えたわけではなく、元々、年齢高めの読者が多かったことが可視化されただけ、というのが正しい。

むしろ気になるのは、単行本レーベルの登場によって、比較的高年齢向けの単行本レーベルと低年齢向けの文庫レーベルで棲み分けが起きつつあるようにみえること。これと似たようなことが1990年代の少女向けレーベルでも起きていたのですが、その時は、結局、低年齢層向けのレーベルは壊滅してます。今、同じことがラノベ文庫レーベルで起きていないかちょっと心配です。低年齢の読者は単純に金を持っていないので、年齢層を下げれば下げるほど売上も下がることになっちゃう。

まあ、ヒット作一本で大きく数字が動く市場なので、『ハルヒ』や『SAO』クラスの作品が出てくれば、すぐに状況は変わるわけですが。逆に、『ハルヒ』や『SAO』がヒットした年の344億円とか284億円とかの数字と比べても、あまり健全ではない気がします。

参考

[ 2024.01.21 ]