さよならピアノソナタ


メディアワークス 電撃文庫
さよならピアノソナタ /杉井光

すばらしいすばらしい。非常に綺麗な青春モノでボーイ・ミーツ・ガール。ヒロインは謎を秘めたツンデレ少女。そして、さらに当然、幼なじみ役もフォーマット通り忘れていません。音楽を中心にした演出も秀逸で、なるほど、評判がいいのも頷ける内容です。

少年・桧川ナオは、ゴミ捨て場でピアノを弾く少女・蛯沢真冬と出会う……。と、天才ピアニストとして名を馳せたにもかかわらず、誰も寄せ付けずに一人ギターを掻き鳴らすツンデレ少女・蛯沢真冬と、そんな少女に感化され振り回される主人公、桧川ナオの物語。音楽ネタを多量に使用した演出と、きちんと計算されて組み立てられた、王道的なストーリー展開が、とにかく素晴らしい。ホント、伏線の回収の仕方と、演出が見事だよなぁ。非常に綺麗な青春ストーリーとして仕上がっています。ただ、あくまで青春ストーリーであって、恋愛モノとしては多少弱いのが残念かしら。せっかくのボーイ・ミーツ・ガールなのに。や、杉井光は、唯一読んだ『火目の巫女』が肌に合わずに読んでなかったのだけど、これほど面白いなら『神様のメモ帳』とかにも手を出してもいいかもしれないなぁ。

[ 2008.02.22 ]


メディアワークス 電撃文庫
さよならピアノソナタ2 /杉井光

最高傑作っっっ!! 全編素晴らしいのだけど、特に、千晶の汗の飛び散る様が見えるような、臨場感溢れるライブハウスのシーン。あまりの素晴らしさに、読んでて泣けてくるよ。いやぁ、心情表現と音楽は、非常に相性がいいよな。マジに素晴らしすぎる~。

真冬、千晶、神楽坂先輩と、ナオの民俗音楽研究部。4人は海での合宿、そして、はじめてのライブへ……。と、いやぁ、悩み多き青春、各メンバの想い、それを、音楽に載せて描いた傑作。音楽を絡めた演出が、とにかく圧倒的で素晴らしいわ。合宿での演奏、その後、そしてライブシーン。ほんと各場面場面でのキャラの心情が見事に描かれていて、すごいすごい。そして、ストーリー的にも、恋愛要素が強くなって、より好みの線になってるしなっ!! ただ、展開自体は、ぎこちない感じもするんだけど。作者の人は、キャラを動かすのに、わりと苦労してる予感が(^^;。まあ、それはともかく、ほんと素晴らしかったぁ~~。

[ 2008.03.17 ]


メディアワークス 電撃文庫
さよならピアノソナタ3 /杉井光

どんだけ鈍感で不器用なんだよっ!! グダグダ悩む少年にやきもきしつつ、だからこそ、素晴らしい青春物語として仕上がってるのんなっ!! 音楽を絡めた演出は相変わらず素晴らしく、すげ~面白いっ!!

合唱コンクールから体育祭、文化祭。真冬の幼なじみユーリ登場で、さらに複雑化する恋模様。といった感じで、相変わらずのナオの鈍感さにやきもきしつつ、非常に楽しく読みました。新登場のユーリも、その中性的な立ち位置が、グッドグッド。や、ユーリは一体、どっちのライバルになっていくんだ(笑)。……非常に青春してるナオの悩みと、不器用で清々しい民音のメンバたちと、一人かっこいい神楽坂先輩。そして、作品を彩る音楽と絡めた演出が、ほんとに素晴らしいなぁ~。

[ 2008.08.13 ]


メディアワークス 電撃文庫
さよならピアノソナタ4 /杉井光

ナオは、あまりに酷いヘタレだ。……や、最後は綺麗に纏めてるけど、ナオのヘタレぶりが目立つ話でした、最終巻なのに(^^;。

クリスマスを目前として錯綜する恋模様。そして、真冬に不吉な予兆が……。と、前半の、いかにも不幸一直線を予兆させるフラグの数々が、もう、えげつないことえげつないこと。そして、ナオのヘタレぶりがあまりに酷い(笑)。さらに、哲朗の頑張りどころは、なにか間違ってる気が(^^;。という感じで、感動のシリーズ最終巻っ!!

や、総じて、素晴らしい音楽と恋愛のシリーズでした。ナオは、ヘタレすぎるけどなっ!!

[ 2008.12.15 ]


アスキー・メディアワークス 電撃文庫
さよならピアノソナタ encore pieces /杉井光

うわぁ、プロポーズに至る道程が素晴らしく綺麗。ナオの鈍感は相変わらず酷すぎるっ!!

4巻で完結した『さよならピアノソナタ』の“アンコール・ピース集”と銘打った、主にその後のフェケテリコの面々を描いた短編集。まあ、本編も綺麗に終わってるので、それに付け加える内容としては、正直、蛇足だと思うんだけど、どの短編も杉井光らしくとても綺麗。特に良かったのは、ナオと真冬のプロポーズを主題とした「"Sonate pour deux"」と哲郎メインの「だれも寝てはならぬ」。ナオの鈍感はともかく、言外に訴える真冬がとにかく可愛いっ!! そして、哲郎が、それに輪をかけて可愛いすぎるだろっ!!

[ 2009.10.12 ]