黄昏色の詠使い


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで /細音啓

うわぁ~~、綺麗、感動、素晴らしいっ!! 新人作品としては、非常に良く出来た内容に仕上がっています。オススメっ!!

第18回ファンタジア長編小説大賞<佳作>。赤・青・黄・緑・白の五色を基本とした召還魔法が広く使われる世界。エルファンド名詠学舎に通う少女イブマリーは、ある想いを胸に、五色のどれでもない「夜色」の詠唱を、たった一人で夢見ていた……。いやぁ、イブマリーとカインツの二人の想いが、非常に綺麗に紡がれていて、Good。一世代下になる、クルーエル、ネイルらの成長物語としても、良く出来ていて、とにかく“綺麗”。新人さんなので、話の組み立てに、多少の難はあるけれど、ストーリーとしてもきちんと盛り上がり、やはりなんといっても、綺麗な想いと、綺麗なラストが、ホントに素敵ですっ!! あと、竹岡美穂のイラストも相変わらず素晴らしいです。ちょっと内容とは違和感を感じなくもなかったりしたけど(^^;。

[ 2007.01.22 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いII 奏でる少女の道行きは /細音啓

1巻同様、綺麗で良い話でした。それに、この作品に対する作者の思い入れも良く伝わってくるのもいい感じ。……ただ、ちょっとシチュエーションや展開に無理があるように感じられたのが、残念なんだよなぁん。

夏休み。ネイトたちは補講の一環として海辺の分校へ。旅行ではしゃぐ級友たちの中で、エイダは一人悩みを抱えていた……。というわけで、1巻では脇役だったエイダをメインに添えて、エイダの特殊な生い立ちと悩みを描きつつ、今後に繋がる伏線を仕込む、と言った内容。少女の自分探しの話としては綺麗でいいんだけど、とりあえず、いきなりカインツ影薄い(笑)。さらに、いろいろな点でストーリー内での「夜色名詠」の扱いが暴落してるのがちょっと(^^;。……単巻ならばこれで良いけど、1巻の続きとして読むと、いろいろと無理があるのが残念だよなぁ。さて、続きはどうなる?

[ 2007.05.23 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いIII アマデウスの詩、謳え敗者の王 /細音啓

いろいろと新しく伏線が張られまくりでスケールも大きくなり、いやぁ、先が楽しみっ!! 先が楽しみなだけでなく、この巻だけで見ても、後半の盛り上がる展開は素晴らしく、非常に面白かったです。

世界各地で発生する謎の灰色名詠の使い手による襲撃事件。そして、トレミア・アカデミーも襲われ、ミオが巻き込まれる。クルーエルやエイダたちは無事にミオを救出できるか? そして、灰色名詠の使い手の目的とは……。という感じで、灰色と夜色の関係、そして、見え隠れする謎の存在。さらに、クルーエルとネイルの想いと未来はどうなる? という内容で、ほんと先が楽しみだなぁ。盛り上がるストーリーもさいこーーーっ!! ただ、説得力を出すための説明の仕方がかなり下手なのが気になったりもするんで、そこだけは改善して欲しいよなぁ。や、設定はわりと細かく考えられてるように思えるんだけど、どうもその見せ方のせいで後付けのように見えてしまっていて損してる予感が。

[ 2007.07.24 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いIV 踊る世界、イヴの調律 /細音啓

最高傑作級っ!! くぅ~~、散りばめられる意味深な謎の数々でストーリーに引きつけまくりっ、そして、お約束な展開で、盛り上がる盛り上がる。もうもう、ちび君、頑張る頑張るっ。さらに、クルーエルの裸に注がれる妖しい視線と、いやぁ、ホント、ゾクゾクくるなぁ。

体調を崩すクルーエルと、断片的に見え隠れする名詠式の秘密。やがて、クルーエルを中心に物語は動き出す……。という感じで、いやぁ、意味ありげに世界の謎を散りばめつつ、キャラを追い詰めつつ、そして……、と、お約束なストーリー進行はホント素晴らしいなぁ。クルーエルとネイトの想いも非常に綺麗に描かれていて Good。あとがきによると、続く5巻で一つの区切りということで、次巻もめちゃくちゃ期待ですっ!!

[ 2007.11.19 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いV 全ての歌を夢見る子供たち /細音啓

後半のシーンは、とにかく綺麗なんだけどなぁ。ただ、そこに到るまでが、あまりに下手すぎる。単に舞台を作るためだけに作者の都合でキャラを動かすのではなくて、にんとも。もっと後半を盛り上げるためにきちんとキャラを掘り下げて書かんといかんと思うのだけどなー。後半が良かっただけに、もったいないなー。

意識を失い眠りつづけるクルーエル。治療の術のないまま衰弱していくクルーエルを、ネイトは、ただ、看病し続ける……。というわけで、後半のシーンはとにかく綺麗で素晴らしく、作者の人もこれが書きたいがためにシリーズを書いてきたような、そんな思い入れの伝わる内容になっているのだけど、ただ、そこに到る前半がなぁ。いや、後半のための舞台を整えるために、いろいろキャラを動かしてるのだけど、それが作者の都合にしか見えないのが、ダメダメ。やっぱりこの作者の人、説得力を出すための説明が下手すぎる。とりあえず、後付けで言い訳のように説明を追加する書き方は止めたほうが良いと思う。今回は、プロットに無理があるところを、理由を説明してなんとか誤魔化そうとする部分が散見されて、特に酷かったのがなぁ。『Episode I』の山場だっただけに、とにかく残念でした……。

[ 2008.02.26 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いVI そしてシャオの福音来たり /細音啓

作者の人、遊んでるなぁ(笑)。今回は、短編集ということで、本編とは関連の弱い、軽くコミカルな話が中心。全体に、ちょっとオチが弱めな印象はあったのだけど、十分に面白かったです。っていうか、本編とのギャップがありすぎっ。特に、刃物マニア同好会、もとい、料理研究会は、凄すぎるだろっ!! ホント、遊びすぎだっ!!

本編の続き、第二楽章に繋がる表題作「そしてシャオの福音来たり」も収録されているけど、これについては、その第二楽章を読んでみないと、なんとも言えず。それこそ、第二楽章次第だなぁん。

[ 2008.04.24 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いVII 新約の扉、汝ミクヴァの洗礼よ /細音啓

相変わらず、クルーエルとネイトの名詠シーンはとにかく綺麗だなぁ。加えて、ネイトを恋愛の対象として意識し始めたクルーエルは、微笑ましいこと微笑ましいこと。くぅ~~~。

<孵石>と似た特徴の触媒を持つという凱旋都市エンジュ。その触媒の正体を探るため、<イ短調>に協力する形で、ネイトとクルーエルはエンジュに旅立つ……。と、なにかを知りつつ言葉を濁すアーマ。そして、そのエンジュの地で、いよいよシャオとネイトは対峙するっ!! いかにも、新章スタートといった風に謎を散りばめつつ、いいところで次巻に続いてるので、まあ、続巻に期待ということで。

ただ、やっぱり情報の提示の仕方が下手だなぁ。思わせぶりに書くだけ書いて、結局、なんの効果を出してなかったりして、どうにも読者の反応と効果を計算して提示できてない予感。開始当初に比べて、かなり話も広がっているので、このままでは不安だなぁん。

[ 2008.08.25 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いVIII 百億の星にリリスは祈り /細音啓

前半は、説明が下手すぎる論文を読んでるようにしか思えなくて、正直、かなり酷いと思ったのだけど、後半に入ってからは、とにかくスゲー。特に凄いのが、ネシリスvsファウマの激しいバトル。そして、そのネシリスを見つめるシャンテの想いっ!! もうもう、くらくらするぐらい、むちゃおもしろかったぁ~~

シャオから語られるクルーエルの秘密。互いに譲れない想いを確信し、ネイトとシャオは激突する……。という感じで、いよいよ始まる<イ短調>とシャオ一行のガチバトルっ!! そして、ネイトとクルーエルの恋愛も核心へ!! いやぁ、クライマックス間近ということで、すげー燃える展開でした。そして、その中でラストに挿入されている、贈奏「友達だから」がマジ泣ける。これで、次巻かっ!! 続きがとにかく楽しみですっ!!

ただ、前半の設定語りについては、丸々全部を登場人物に語らせるという手法そのものが下手だと思うのだけど、その内容自体も、読者に提示するには、まだまだ作り込みが甘くて、完成度が低い印象でした。もしかして、ここで無理やり設定を提示しなければいけないような、大人の事情とかでもあったのかしらん?

[ 2009.01.03 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いIX ソフィア、詠と絆と涙を抱いて /細音啓

最・高・傑・作っ!! ああああああああつっ、クライマックスで盛り上がる盛り上がる。そして、その先に待ちうける二人の決断が、あうあうあうあうあう(T-T)。とにかく熱い展開と綺麗で感動的なシーンが、これ以上なく素晴らしすぎるっ!!

ミクヴァ鱗片を巡るネイトとシャオの対決もクライマックス。次回で最終巻ということで、とにかく盛り上がる上に感動的なシーンがてんこ盛りっ!! クルーエルとネイトの二人の想いが、ほんとに綺麗で感動的に紡がれていて、素晴らしい素晴らしい。うひぃ~~、思い出しただけで、ほんとにほんとに泣けるほどに感動的だよっ。あうあう、はわわあああぁ~~~。や、クルーエルとネイトだけでなく、カインツvsファウマも感動的に仕立ててあって、ああもう、ほんとにとにかく素晴らしいっ!! 続く最終巻も大期待っ!! とにかくとことん素晴らしかったぁ~~~。

[ 2009.03.24 ]


富士見書房 富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いX 夜明け色の詠使い /細音啓

感動の大団円。全てが綺麗に纏まったラストは素晴らしいの一言。……とにかく、綺麗なラストなので、それ以外、何も書く言葉が出てこないのだけど、強いて言えば、ミオの活躍は良かったねぇ~。逆に、シャオの扱い弱かったのは、そこはちと残念。や、それはともかく、シリーズを締めくくるのに相応しい、ほんとに綺麗なラストでした。

[ 2009.08.23 ]