『魔法科高校の劣等生』のよくわからない読者の傾向

『魔法科高校の劣等生』は、もっとも好きなライトノベルのひとつなのですが、その『魔法科高校の劣等生』が、最近、話題になってました。

発端となる小天狗さんのツイートですが、『魔法科高校の劣等生』に対する批判はかなり的確なような。『魔法科高校の劣等生』の補足説明を入れまくるようなスタイルは、無駄に冗長で文章を読みにくくしてるだけでなく、突っ込みどころを増やしてるケースも多々あり、さらに作者の想いも透けて見えやすくしているため、結果、作品は叩かれやすく作者批判にもつながりやすくなってるんですよね。“さも「頭が良さそう」に見せたい、その実頭悪い文体”という表現は、『魔法科高校の劣等生』の特徴の一面を正確に捉えてると思います。

そういう癖の強い『魔法科高校の劣等生』なので、ライトノベルの入門書に選ぶのは間違いという話になるんですが、そもそも、『魔法科高校の劣等生』って、むちゃくちゃ売れてるわりに、具体的なファンがどこら辺にいるのか、いまいちわからないんですよ。各種人気投票の結果を見てると、少なくとも、ラノベファンに受けているようには見えない。例えば、『このライトノベルがすごい!』の2015年版の結果は以下。ちょうどアニメを放映してたときのランキングなので、普段よりブーストかかってるハズの結果です。

  • 総合: 13位
  • HP票: 5位
  • 協力者票: 圏外(11位以下)
  • モニター票: 7位

HP票はWebで受け付けた一般票、協力者票はライトノベルを年間100冊以上読む業界関係者とブロガーを中心としたラノベファンで年齢層高め、モニター票が中高生へのアンケート。『魔法科高校の劣等生』の場合、モニター票の7位もアニメ化作品にしては高くなく(モニター票ではアニメ化作品はとりあえず上位に入るので)、つまり、中高生に特に人気があるというわけでもなく、業界関係者やラノベファンにもほとんど受けてないことがわかります。HP票は5位なので、そこそこ高めですが。

さらに、同じく『このライトノベルがすごい!』2015年版から各書店の売り上げランキングを見ると、

  • とらのあな: 12巻->19位
  • 紀伊国屋: 12巻->2位、13巻->3位、14巻->5位
  • TSUTAYA: 13巻->5位、12巻->6位、14巻->8位
  • Amazon: 13巻->10位、14巻->13位、12巻->16位

オタク向けに特化している とらのあな での売り上げの低さが目立ちます。つまり、オタク層よりも一般層に売れていると。紀伊国屋やTSUTAYAのランキングを見ると、もっとも売れているライトノベルのひとつであることは間違いなく、普通に考えれば、人気投票でトップ争いを演じても不思議ではないと思うんですよね。

一応、電撃文庫で出版された当初は、以下の記事のようにWeb版時代からのファンが絶賛してる姿はよく見られました。10代だけでなく30代も含めた幅広い世代で受け入れられると語られています。Web版のファンが、いまでも熱心に買い支えているのでしょうか。

[ 2015.07.15 ]