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KADOKAWA カドカワBOOKS
サイレント・ウィッチ —another— 結界の魔術師の成り上がり(上) /依空まつり -
<結界の魔術師>ルイス・ミラーの学生時代を描いた番外編。娼婦の遺児として寒村で生きていた少年が、王子も入学するような名門の魔術師養成機関ミネルヴァに通うことになり、育ちの悪さから無茶苦茶し、やがて恋をするまで。ルイスの本編で見せる常識的な振る舞いと、「ミネルヴァの悪童」と呼ばれる素行の悪さのギャップが楽しく、そして、社会の底辺で将来を考えるもしなかった少年が、大切な人を見つけ人生の目標を見つける、すごく良い青春物語だね。
いやー、ルイスの無茶苦茶ぶりが楽しい一方、それが生まれからくるものなので少し哀しく、そして、そんなルイスを見守る周りの人たちが温かくていいよね。ルイスの才能を見出した<紫煙の魔術師>ラザフォード、ルイスの退学を訴えつつも真摯に魔術を指導するメイジャー先生、寮で同室のオーエン、友人となる第一王子のライオネル、そして恋人となるロザリー。ほんと暖かく良い物語。
1冊でわりと綺麗に纏まっているのに上巻ということは、下巻ではモニカとの絡みも描かれるのかしらん。ルイスも明らかな天才なのに、そのルイスから見たモニカ。いろんな意味で怖いわー。
[ 2023.12.22 ]