『星の瞳のシルエット』約20年ぶりの新作を読んで

20年ぶりぐらいで少女漫画雑誌「りぼん」を購入。2015年7月号。20年前は、コンビニで買っていたのだけど、今は、ほとんどのコンビニで扱ってないのんね。一刻も早く手に入れるため、早朝のコンビニを10軒ぐらい回ったのだけど、どこも取り扱いがありませんでした。少女漫画雑誌で最高部数を誇っていた「りぼん」も、今やその発行部数は10分の1以下に減っているとは聞いていましたが、こういう形で発行部数の減少を体感することになるとはなー。

今になって「りぼん」を買ったのは、『星の瞳のシルエット』の新作読みきりを読むため。りぼん創刊60周年企画とはいえ、連載終了から26年、番外編の『ENGAGE II』から数えても19年、いまさらどういうことだってばよっ!! 『星の瞳のシルエット』は1985年12月から1989年5月まで掲載された、当時の「りぼん」の連載陣の中で、もっとも人気を獲得していた作品です。同時期の連載陣ではアニメ化された『ときめきトゥナイト』のほうが知名度は上ですが、人気投票では『星の瞳のシルエット』のほうが上だったはず。『星の瞳のシルエット』は“250万乙女の聖書(バイブル)”と呼ばれているけれど、私個人にとっても、私の好みや人格形成の根幹を成す、まさに“聖書”のような作品です。

『星の瞳のシルエット』のストーリーを簡単におさらいしておくと、幼い頃にもらった「星のかけら」を初恋の大切な宝物として持ち歩いている女の子・香澄は、ある日、親友の真理子から好きな人ができたと打ち明けられ……。と、親友の想い人が初恋の少年とわかり、やがて、泥沼の恋愛に突入していくという内容。柊あおいは、「りぼん」の中では年齢高めな優等生タイプの女の子に受けがよかったのだけど、この泥沼の恋愛模様は、さらに世代や性別を超えて広く支持を集め、「りぼん」の発行部数を200万から250万へ押し上げた功労者でもありました。ちなみに、『星の瞳のシルエット』の連載終了と同時に中学生高校生以上の読者がいっきに抜けて「りぼん」の読者層は急激に低年齢化。スタジオジブリでアニメ化された『耳をすませば』は柊あおいが『星の瞳のシルエット』の次にはじめた連載なのだけど、その低年齢化の影響をもろにかぶって、即効で打ち切りになりました。まあ、打ち切られた結果、「コンパクトにまとまっている」とジブリから評価されて映画の原作に選ばれたとの説もありますが。柊あおいはその後、「りぼん」読者の年齢層と自分のファンの年齢層のギャップに苦しむことになります。

で、今回の新作。『星の瞳のシルエット』の続編というと、すでに、香澄、おケイの大学時代を描いた『ENGAGE』『ENGAGE II』があるので、さらにその先の結婚編か? それとも子供世代か?と戦々恐々としていたのだけど、なるほど本編と『ENGAGE』の間を埋める高校卒業を題材に持ってきたかっ!! 『ENGAGE』発売当時、ファンから「違和感があるよねー」と散々突っ込まれていた大学生の香澄や久住の変化に、今になって、その違和感を埋めるような作品を出してくるとか、すげーよっ!! もしかして、作者本人もその違和感を気にしていたのかしら。<をい。なるほど、本編と『ENGAGE』を綺麗に繋ぐ『星の瞳のシルエット』の新作として、きちんと納得できる作品に仕上げてあって、当時のファンなら誰が読んでも満足できる内容だ。香澄、久住に、真理子、沙樹、おケイ、司、日野くんと、主要キャラも無理なく登場させているしなっ。懐かしすぎる。

もうひとつ懸念だったのは、連載中もどんどん変わっていったキャラの絵で、今の柊あおいに当時の香澄たちが描けるのか?という辺りだったけれど、26年たってもあまり変わってないな。いや、真理子や沙樹、おケイは違和感ないのだけど、肝心の香澄ちゃんと久住くんは、多少、違和感があるか。まあ、香澄と久住も髪型に特徴がないので、今の絵柄がそのままでちゃうからなー。あと、私の大好きな森下さんももうちょっと可愛く描いてほしかったと思わなくもない。柊あおいの最新作『桜坂ノスタルジア』の絵柄はわりと好きなので、もうちょっと違和感ないかと思ったのだけど。

まあ、なにはともあれ、今になって『星の瞳のシルエット』の新作が読め、さらに、それがきちんと満足できるないようだったとは、これ以上、素晴らしいことはありません。ただ、それにしても、今回の新作も副題が『ENGAGE』なのだけど、なぜわざわざ混乱するような副題を(^^;。

そいえば、恐ろしいことに来月、『星の瞳のシルエット』のオリジナルドラマCDが出るようなのだけど、この販売方法って、リアルガチャじゃないですか……。アカン。

[ 2015.06.04 ]