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小学館 ガガガ文庫
月とライカと吸血姫 /牧野圭祐 -
米ソの宇宙開発競争が過熱していた1960年。ソビエト連邦は世界初の有人宇宙飛行を目指し、実験台として犬や猿の代わりに吸血鬼を宇宙へ送る「ノスフェラトゥ計画」を進めていた……。って、舞台はソ連ではなく仮想の国かっ!!
そゆわけで、実験台に選ばれた吸血鬼の少女とその監視役の少年との、良い意味で、非常にベタで予想そのまんまなボーイ・ミーツ・ガール。素人は先の読めない展開を望みがちですが、王道こそ正義。素晴らしきかな、ベタでベタベタな展開。これぞ至高。予想通り、期待通りに、きちんとラストで泣かせる展開は、マジ素晴らしいっ!!
ただ、もったいないのは設定で、史実のソ連の宇宙開発をベースにしてるのだけど、そうであるなら、もっと細部まで史実に寄せてリアリティレベルも上げて、単なるボーイ・ミーツ・ガールだけで終わらない物語に仕立てるか、もしくは、もっとファンタジーの色をのせて、よりドラマチックな物語にしてほしかった気がするなー。中途半端な史実が、中途半端に足かせになってる印象。いや、ソ連の宇宙開発のエピソードやソ連の風習についてもそんなに詳しいわけではないので、詳しかったら、実は違う感じ方をするのかしらん?
[ 2017.01.24 ]